5年間で中国No2まで成長したピンドゥドゥ(Pinduoduo)ってどんな企業
Pinduoduoとはどんな企業
Pinduoduoとは「Value and happiness for Everyone」Costco+Disneylandをコンセプトとして掲げ、数年前からすでにレッドオーション状態の中国EC業界に敢えて開拓し、5年の間にNo2にまで急成長し、No1のアリババにも一目置かれている大注目の企業。
売上、流通高
2020 3Qでは流通額がYoY 73% の急成長で1475 Million RMBまで登って、売上高もYoY 89%の急成長。
ユーザ状況
AlibabaでアクティブユーザYoYが9%の中、Pinduoduoの月間アクティブユーザ数がYoY 50%という急成長で 653.4 Millionまで登って、No1 Alibaba 881 Million を追いかけつつ、No3 JDの441.6 Millionと大きく差をつけている。
CtoM (Customer to Manufacture)というビジネスモデルを基本にしている
供需モデルから需要モデルにシフトし、工場側がもっと計画的に生産し、在庫リスクを減らし、工場から直接大量に配送することで送料も減らし、減らした分を全て顧客に還元できるモデルになっている。
実際に存在するいくつかのビジネス事例
・需要に応じて生産をするためノーブランディング
・工場で生産したラベル(商品完成後に商品に貼られるラベル)がない商品も流通可能
こういった商品はブランディング費用、マーケティング費用、ファネルごとに払う費用が全て省けるため、かなりの低額で流通させることができた。ただし、品質保証はできず、工場に委ねさせている部分もある。しかし、路上販売しているものよりPinduoduoでは補償金、処罰制度があるため、多少の保証はできる。そもそも中国では、農村にいる大多数の人には購買力がそこまでないので、そういった人たちには価値提供できている。
・農業生産品の直接販売
貧困地域にいる農家さんと直接連携し、サプライチェーンを短くさせることで農家さんたちにも確実に価値提供できた。
・ロングテイルで売れてない商品の販売
ブランド品であるが、デザインが古いため、中々売れず、在庫と資金の負担だけになっているものも、Pinduoduoで流通して、品質にこだわるが高い値段であると支払いできない人たちに価値提供ができた。
・ブランドものの海賊販売
中国では当たり前のように、Taobaoの初期と同じで、Pinduoduoでもブランド品の海賊版、品質が劣化のものもたくさん流通してしまっている。しかし、Taobaoほどの規模になってないため、プラットフォームに払う広告費用もそこまで高額ではなく、その分でエンドユーザに還元できている。
CtoMモデルを実現にあたって
1>ソーシャル関係の最大限活用
AlibabaのTaobaoではWechat上への共有ができないが、PinduoduoではWeChatの親会社のTecentが25%以上の株を保持していることもあり、PinduoduoにWechat上のリンクを拡散しても良い環境が作れた。基本的には友達にシェアし、共同購入すればするほど安くなっていき、最終的には0円となるケースも多く見られる。こういった仕組みで一気に中国の中高年、田舎にいる貧困層にインフルエンスされていった。
AlibabaとJDでは物の購入とソーシャル関係は結びついてない。Pinduoduoが初めてこの二つの要素を最大化にしたプラットフォームと言えるであろう。
2>ゲームとショッピングをうまく融合させ、ヘビーユーザをどんどん育成していった
Costco+Disneylandモデルの通り、ゲーミフィケーションをうまくApp上にとり入れて、例えば、Dou Dou Orchard でバーチャルのフルーツを育てると、収穫できるようになると、実物として無料でPinduoduoから顧客に届くといった仕組みで、お友達共有で獲得した新規ユーザを逃さずにヘビーユーザとさせた。
3>スマートフォンファーストで、Feed型でトップ画面を構成
全てのページが個人個人にパーソナライズしたFeed型で構成して、時間の無駄なく、どんどんワクワクして新しい商品を発見できる。
2015年に設立されたPinduoduo、2017年には、取扱高が1,000億人民元(約1兆7,000億円)を超えており、この金額はTaobao(淘宝)が5年前に、JD(京東)が10年前に到達した金字塔に匹敵する。これを達成させるため、初期に捉えた施策をいくつか紹介します。
1>共同購入
基本的なロジックは卸しと同じで、購入量を増やすことで、工場と値段交渉できる力が強くなって、単価も低くなる。もし設定された人数まで到達できなければ、オーダーがキャンセルされるか、差額が各消費者で補うかとなる。この中でもタイムセール、1元での販売、Lotteryなどの要素と合わせた共同購入イベントが生まれている。
年々新規顧客獲得単価が高い中で、この方法が新規顧客獲得、ユーザアクティブさせる、オーダー量を増加させるには効果的な方法になっている。
2>砍价(友達にリンクを踏んでいただくと値切ることができる)
日本でものを買うときに値段交渉の習慣があまりないが、中国では古くから値段交渉の習慣があり、今でも実店舗で値段交渉ができるお店がたくさん存在している。この機能は値段交渉をOnline化し、しかも交渉させる行動は自分の友達に共有して、友達がリンクを踏むことで成立させる。
一回目の値切りでは結構安くしてくれる、例えば、150円の商品で、一回目の値切りで100円も下げてくれる。ただし、0円までにはかなりのWechatグループに共有して、友達にリンクを踏んでいただく必要がある。0円まで到達できなければ、商品がもらえない。商品がもらえないというところで、実際にはそんなに活発ではない印象を受けるかもしれないが、新規顧客とリピーターも区別されており、新規顧客が値切りしやすく設計されており、どんどんヘビーユーザになっていく。暇があって、安くものを買いたい人はどんどん中毒になっているのが現状である。
値切りの工程でコメントを見る、コメントする、特定の商品を閲覧するなどのチャレンジタスクも導入されている。
店舗は自分たちのマーケティング手法で色々とアレンジできる。
例えば、
・特定の商品を訴求したい場合、その商品を閲覧させる。
・公式アカウントをフォローして欲しい場合、フォローしてから値切りする
・新規ユーザの獲得をしたい場合は、招待したユーザに新規登録させる
・APPをダウンロードして欲しい場合、招待したユーザはAppダウンロードしないと値切りが設立しない
値切りの行動を刺激するため、タイムリミットも設定され、0円で商品をゲットできるため、ユーザはその時間になるまで、一生懸命に友達に共有してしまう。プログレスバーの表示で、どれぐらいの人が共有して無料で商品をゲットできたかなど、色々な手段でエンドユーザを刺激している。
値切りに協力してくれた友達にも福袋の形でこの値切りタスクを送っており、かなり強いネットワーク効果、ユーザ心理学を最大限に利用して設計されている。
3>共有することでキャッシュバックされる
例えば、友達に一回共有することでランダムな金額のお年玉がもらえる。100元以上じゃないとおろせないというチャレンジ。↑と同様で最初の一回で70円近くお年玉がもらえて、あとはどんどん金額が低くなって、100円をもらえるため、色々なグループに共有しないと到達できない仕組みとなっている。もちろん、同様にタイムリミットや、クーポン券が消費できる期間も設定されている。
4>1分間のタイムセール・1元で豪華商品の抽選権利をゲット
1元で豪華商品の抽選権利をゲット、というイベントは気軽に参加できるため、大人数の人が参加し、賞品を当たった人にはとても嬉しいと同時に、1元を払った人もそこまで損した気分にはならない。
5>Miniゲーム
農場、農園、ツムツムといったゲームが提供され、各ゲームにはレベルアップの要素が導入されており、ライトユーザがどんどん使ってヘビーユーザになって、プラットフォームから離れなくなっている。
Alibabaがよく監督されている商店街、JDは健全な小売店であれば、Pinduoduoは路上販売、自由マーケットであると言える。急成長の中で偽物、品質が低いものばかりといった課題があって、中高収入層への浸透にも課題になって、その辺りに関して2019年で実施した施策を次回で紹介したいと思います。ぜひ、ご期待ください。
最後に
ゲーム、EC、ソーシャル関係を全部活用したPinduoduoはイノベーティブな会社だと思います。マーケティング・販促手段では日本でNGのケースもかなりあると思いますが、AlibabaとJDが二極化している中、新しい風を吹かせたので、とても刺激になりました。日本でももっともっとこういった活気的、新規性のある戦い方が生まれるようになって欲しいです。
Pinduoduoについてもっと知りたい、中国の他の企業に関してもっと知りたいなどのリクエストがあれば、ぜひ、コメントしてください。
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