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人生を終えるとき本当に大切なこと

※過去のWordPressブログの記事の再投稿です。

何度も紹介している一番好きなTEDトーク。以前は英語の自動翻訳だったのでわかりにくい日本語字幕でしたが、今はちゃんとした日本語訳がつけられたので、以前よりもわかりやすい内容になっていると思います。以前、見るのを諦めた方は再度チャレンジしてみてください。

大事なクライアントさんにシェアする機会があったので、こちらでも再シェア。以下過去記事の引用です。

動画を見る場合は右下で日本語字幕を選べます。

スピーカーのミラー医師は、ホスピスケアに従事している医師で、自身も若い頃に事故で体の一部を失う死を経験しています。自分の経験と長年のホスピスでの経験から、現在の医療システムの限界を指摘し、特にやり直しのきかない人生の終末期をよりよく過ごせるための医療システムを作る提案をこのトークでお話ししています。

これはシステムだけの話ではなく、個人がどう自分の死をデザインするか、ひいてはどう生きるかを考える良い機会でもあり、またご家族のケアに際してもとても大切な事かと思うので、改めてぜひご紹介したいと思います。

ミラー医師は、現在の医療システムは医療としては優れているけれども、人が死を迎える局面において機能不全があると指摘しています。なぜならば、医療システムは本質的に人のためではなく病気のためにデザインされているから。

病院は人が死にゆくためにデザインされている場所ではなく、病気のためにデザインされているが故に患者に不必要な苦痛を与えることも多くなっています。アメリカの医療の話をしていますが、これは日本も同じです。

おそらく、私の年代、40代・50代になると、自身の慢性病の経験や、家族の介護や家族を看取られた方も増えてきていると思うので、これを実感されている方も多いと思います。私の父も亡くなるまで胃瘻で2年間生かされていました。どれだけ辛かったろうと思います。

このような現代の医療システムに対し、死を迎えるに際して意図と創造性を持ったデザインのシステムに変えていこうというお話です。

その糸口として3つのポイントを挙げています。

不必要な苦痛をシステムから取り除くこと

やむを得ない苦痛と不必要な苦痛を明確にすること。やむを得ない苦痛は人生の一部として受け入れるしか仕方がないけれども、それは自分より大きな存在を感じることやケアラーからのサポートで緩和することが可能である。ところが、現システムでは不必要な苦痛を与えることが多い。ただ、不必要な苦痛はシステムが生んでいるものだから人の手で変更することが十分に可能である。

感覚や体で美の領域を感じることで保てる人としての尊厳を尊重すること

死の準備をができた多くの人を見て来たけれども、彼らが準備ができていたのは、心の平安や超越を経験したからではなく、見放され醜くなった自分の人生に嫌になった結果であることが多い。

自身の経験の中で、事故で火傷の治療中、看護師が外から持ってきてくれた雪玉が、火傷を負った手に触わった感触や手の中で溶ける感覚に感じた喜びと陶酔感、その瞬間に自分が生きるか死ぬかよりもこの地球に存在するものの方が重要に感じられる、いわゆる超越の感覚を感じることができたと語っています。死に向かっていくに際し、匂いや感触など五感でものを感じることは心の平安や超越を感じられる有効な手段である。

視点を上げて、ウェルビーイング、より健康である事、にフォーカスすること

人生・健康・医療を「ひどくならないように」設定するのではなく「よりよくするため」設定していくこと。病気中心のケアシステムでなく、人を中心としたケアシステムを作るためにはそこに創造性、生産性と遊び心を加えることで実現可能です。政策、教育と訓練、システム、設備が同じ志の元に整えば、このデザインの実現は可能であることを訴えています。

また、重要なことは、生があるがままにその最後までを全うできるよう、自分自身の中に物理的・精神的余地を作ること。そうすることで、年をとり死にゆくことが、ただ人生の舞台から去ることではなく、その人の人生の終末のクライマックスに向かう過程となりえます。

また、死が近づいた人々にとって最も重要なことは:

  • 不必要な苦しみを避け、安らぎを見つけること

  • 家族や愛する人に心の内を打ち明け、心の重荷を降ろすこと

  • 心の平安を見つけること

  • 精神性に繋がること

  • この世界の神秘さ、美しさ、不思議さに感動する感性を感じること(a sense of wonderment)

ということがリサーチでわかっています。

A sense of wonderment。これをミラー医師は強調していますが、私もこれが生きる喜びだと感じます。

Primal sensorial delights that say the things we don’t have words for, impulses that make us stay present — no need for a past or a future
言葉で言い表せない物事を語る原始的な五感で感じる喜びは、私たちに「今この瞬間」を生きさせる力になります。そこに過去や未来は必要ありません。

これはミラー医師も触れていますが、認知症の患者さんにも有効な対応です。

必要な人に届きますように

以上が過去記事の引用ですが、これを実践する方法として、日常生活においてはマインドフルネスがありますし、また、疾患などに関わる場合はサイモントン療法やイメージ療法などがあります。サイモントン療法はがん患者向けにデザインされた心理療法ですが、患者本人だけでなく家族のケアもサポートします。また、がんだけでなくあらゆる慢性疾患で利用できるものです。

また、病気がなくても、自分の人生や生き方を見直す機会になると思います。興味がある人は調べてみてください。


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