4.6 【DIY】壁のメンテナンス

 輸入壁紙店のお兄さんに「モルタルに貼る時には、シーラーを塗って膜を作っておかないと、すぐに剥がれてきちゃうからね。シーラー塗るのは簡単簡単。壁紙を貼る前の日までにシーラー塗ってね。乾くまで一日置く。そして貼ればOK。」とざっくり聞いていた。

彼の話を聞いていると、めっちゃくちゃ簡単に思える。私にもできそうに思える。ポジティブシンカーだ。見習いたい。

ミズキさんにも、「モルタルはシーラー塗って、パテで補正して、ですよね。」と確認しておいた。

ミズキさんはサラッと言う。

「パテして、サンディング(研磨)して。これを3回する。」

え?3回?

「パテするでしょ。それをサンディングするでしょ。そうするとね。痩せてくるのよ。パテが。」

「え?縮むってことですか?」

「そうそう。水分が抜けるから痩せるわけよ。触ったらわかると思うけどちょっと凹んだ感じになって。そこでもう一回パテをする。そしてサンディング。」

「.........」

「で、痩せてくるから、またパテしてサンディングして。三周すれば、まぁキレイになるよ。これやっておかないとね、壁紙貼った後に.......すぐ分かる。意外と見えるのよね、これが。」

3回かよー。うち、どれだけ壁あるのよーっ!!!

「天井も、ですよね。」

「そうそう。天井もね。これ分かる?石膏ボードのところにもネジ埋めたところが段差になっているでしょ。こう言うのもパテで埋める。3回ね。」

正直、あまりよく見てなかったのだが、キレイに見える石膏ボードには、等間隔にネジ止めされていて、それが大量にあったのだ。石膏ボード一面にっ!!!ちなみに天井も石膏ボードねっ!

割と軽く考えていたのだが.......orz

壁紙を貼る前に、前段階として必要なプロセスは以下の通り。

1)壁紙をキレイに剥がす。
2)裏紙を水スプレーとコテを使って剥がす。壁の素材によっては一面に裏紙がキレイに残る場合もあるので、その場合は裏紙の状態で残しておく。
3)粉がついてはいけない部分(窓やエアコン、設備など)をテープ付き養生シートを使って、養生をしておく。
4)モルタル壁のサンディング(研磨)を行う。この時点では手作業で。
5)壁についた汚れを固く絞った雑巾で拭き上げる。
6)モルタル壁の場合は、テープ付養生シートなどで床面を保護した上で、シーラーを塗る(ローラーまたはハケ)。養生は必須ではないが、かなりボタボタ落ちるので、しておいた方がいいとは思う。一日おく。
7)壁にある凹凸を平坦にするために、パテ処理する。
8)パテ部分を平坦にするためにサンディングする(手でもマシンでもOK)。
9)7)から8)を、あと2回繰り返す。
10)養生シートを外して、サンディングの粉を掃除する。

ふぅ。

壁紙用のパテは、粉末の形で販売されているものと、すぐに使える状態になっているものとある。両方使ってみたが、個人的には粉状のものの方が合理的だなと思った。確かにすぐに使える状態に練られてバケツに入っているものは、適当な粘度で調整済みで何も考えずに使えるが、乾かないように常にビニール袋を閉じて蓋をしておかなければならない。しかもあっという間になくなってしまう。商品の状態ですでに重い。逆に粉パテは、その時に使う量だけ水で溶くようにすれば、残りの粉末は長期間保存可能だ。作業が完了したと思っても、後になって凹凸に気付くこともある。そんな時でも都度パテを作れば良い。私は、近所のホームセンターで購入したのだが、硬化するまでの時間が大きく書かれている。60や120など。手早い方やスケジュールがタイトな場合は、この数字が小さいものを選ぶと良いと思う。使ってみた感想では、硬化時間と作業のやりやすさに差はなかったように思う。

パテだが、コテ(パテ)板に乗せて混ぜ混ぜしながら大判のステンレスのパテベラで塗ってもいいし、小さな容器で溶かして、そのまま小さなプラスチックのヘラで塗ってもいい。広範囲に作業する場合は、パテベラを使うのが断然やりやすい。

実際の作業は、壁紙屋本舗さんのページを穴が開くほど読んだ。

壁紙屋本舗「壁紙を貼る前に、まずは下地処理」のページね。

ところで。

壁に多少の凹凸がある程度なら、パテで埋めれば良いのだが、例えば1センチくらいの深さの大きな段差や、リノベ ゆえに開いてしまったケイテンと壁や床との間のポッカリ開いた小さくはない穴とか、もともとあった窓を埋めるために石膏ボードを埋め込んだが、そこと壁との微妙な無視できない筋とか、もうありとあらゆるところに補修が必要な状態になっていた。

それらについては一つずつ、本当にトライアンドエラーを繰り返した。

GLボンドで埋めればいいのか、セメントなのか、壁の補修材なのか.....。壁紙を貼らないコンクリート部分については、色味も気になるところである。一度間違ってほぼ黒のシリコーン材を注入してしまったことがあり、あまりにも目立つので、その上からグレーの補修材を重ねてみたりとドタバタであった。

ホームセンターで、パテ埋め用のメッシュテープを見つけた時に、「これだ!」と思い、大きな溝や穴に関しては、このテープで補強し、その上からパテを塗り込むということで解決した。まさにぴったりのソリューションを見つけた時にはアドレナリン噴出するのよね........w

さて。

壁紙を貼る予定の壁については、この様に下地処理を万全にしておけば、後は実際に壁紙を貼るだけになる。が、今回のリノベ では、壁紙を貼らない壁もある。

リビングからダイニング&キッチンに設定しているエリアの天井と、キッチンの壁、そしてオフィスエリアの壁がそうだ。

オフィスエリアの壁は、もともと押し入れになっていた。その押し入れのベニヤ板を外した後のコンクリート壁は、私たちがよく見かける「コンクリートの壁」そのものであった。コンクリート材のキメが細かく、表面がツルッとした質感になっている。この壁の大部分は棚で隠れる(といっても、フレームだけの棚なので、棚の向こう側にある壁は見えるが、なんとなく視線は逸れて目立たなくなる)。デスクを置くので、座った自分からは真正面に見える壁であるが、PCのモニターや有孔ボードなどを置く予定なので、やはり隠れる。そのため、大きな突起物だけをコンクリート用のサンダー(カッター)で削り取る程度で補修は終了。

天井の凹凸は、大工のイチローさんの次男さん(米津玄師似)がキレイにしてくださったので、私たちが改めてすることはなかった。

そして残ったのが、カナメ曰く、「どうしようもなくガタガタで美しくないコンクリート面」のキッチン部分の壁、である。

実は、少しだけ大工のイチローさんが削っていてくださったのだが、どうもそこに壁紙を貼ると思われていた様なのだ。つまり、多少の凹凸はパテでかくせるだろう、という感じであった。

私は気にならないから放置していたが、どうしようもなく気になったカナメが、恐怖におののきながら、完全防備&ゴーグルで、コンクリートを削っていた。火花も飛ぶ。こえーよこえーよ。

そして彼は、彼自身が納得できるレベルまで壁を磨き上げてくれた。これには感謝しかない。あきらかに美しくフラットになった。

私ができることは、サンダー(カッター)で削り取られたコンクリートや粉塵を掃除することくらいだった。それくらいなら私でもできるもんね。左膝ちょっと痛いけど。

それでもカナメは納得がいかない様子。

カナメが言う。

「コンクリートから粉が落ちてる気がするんだよね。」

私は、「それって粉塵撒き散らしてるからでしょ。雑巾で一回拭いたらとれるんじゃない?やっとこか。」と言い、硬く絞った雑巾で表面を拭きあげた。ついでに天井もキャーキャー言いながら拭いた。怖すぎる。脚立の上で上体外らせて手をあげて天井を拭き続けるのって怖い。落ちそう......

「実はオレ、何日か前にそれ試したんだよ。あっちの壁でね。ちゃんと拭いたんだけど、ほら、これ粉残ってるでしょ。でさ。オレ決めたんだけど、コンクリート強化剤というのを塗っとくと、多少は表面が固まって粉が落ちてこないみたいやねん。で、オーダーしたから。」

なるほど。よくわからないが、それを塗ればいいのか。よしよし。

彼がいつオーダーしたのかは分からないが、その翌日にはちゃっかり強化剤とやらが届いていた。

脚立に上るのもえっこらせ、な私ができることはあんまりないので、とりあえず床全体にせっせと養生シートを貼っておいた。その上で脚立を移動させながら、カナメがせっせと強化剤を塗っていた。脚立が一つしかないので、一人でしか作業できない。そして、二度塗りをする。

一応換気しながら塗らないといけないのだが、窓の近くで脚立に上ると窓から落ちそうで怖い。ここを塗るならあっちの窓を開けて、という風に、お節介おばさん的に、パタパタオロオロと消極的サポートをした(つもり)の私。

強化剤を塗ると、たしかに表面に皮膜ができるようで、粉っぽさはなくなっていい感じだったが、コンクリートの色味がちょっと変わる。ワントーン下がった感じになるのだ。カナメは機能性も抜群だし、色味を落ち着いて良かったと主張した。しかし、私には、その色が気に食わない。

天井の塗装が終わり、心の中で多少の不満はあるけれども、カナメが壁の強化剤を塗るというので、私も手伝った。脚立に上らないなら簡単簡単。

強化剤を塗る作業は意外とストレスフル(疲労する)だったので、楽な方向に流れなかったカナメには感謝しかない。ここは多少の色味の変化にはつっこまないことにした。

それでも、カナメは気に入らなかったらしい。キッチンがコンクリートというのが気に入らないのだ。私はめっちゃ気に入ってるのに!

カナメが言った。

「もう、ここも壁紙貼らない?」

抵抗しようかどうしようかと一瞬考えたが、キッチン上部には天井をつけてしまった関係上、そのまま天井から同じ色で壁紙を貼るのが順当なのかなとチラと思った。

が!

コンクリート強化剤を塗った壁には壁紙が貼れない、ということに気づいた.........。防塵機能があるんだから、壁紙のノリなんかつかないよね.....orz

もうここまで来れば、当初の予定通り、壁紙を貼るべきところに貼って、それで考えてみるしかない。リビングの壁紙はオーダーしたが、寝室と化粧室の壁紙について考えなければ。

毎日毎日、細々とした仕事が出てくるわい。

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