【シニアdeゲーム】Nexon eSports Arena観戦記 in 2018
そう言えば。
韓国に居た時に、eSportsのゲーム観戦に行ったことがあったなと思い出した。個人的にかなり衝撃を受けたので、メモを残しておこう。
当時、日本で大学生だった次男のレンが夏休みに帰省してきた。彼にとっては親がソウルに居るならば、帰省はパスポート持って飛行機に乗る旅となる。到着前から、ソウルではLOLのゲームを観戦したいと言っていたので、チケットをとることにした。
我が家からのアクセスの良い、このスタジオに決めた。
特筆すべきことが、いくつかある。
1)チケット代がやたら安い!
ちょっとショックを受けるレベルの価格設定であった。ゴールド席でも400円程度である。これで5時からと8時からの2試合とも観ることができた。途中外に出ても再入場できるように、渡されたバンドを手につけておく。
私たちが見た試合では、BBQオリーブチキンのチームが出場していた関係で、Kakao TALKでフレンドになるとBBQチキンがプレゼントされるというイベントがあり、チキンまで無料で食べてしまった(汗)。
チケットは3種類。
ゴールド席 - 4,000 ウォン(2021年1月現在378円)
シルバー席 - 2,000 ウォン
ブロンズ席 - 1,000 ウォン
レンにチケット代を聞かれたので答えたところ、「安っ」と絶句した。そりゃそうだろう。日本で映画見たら1,800円くらいするのにね。小学生くらいの子供達でも十分お小遣いで見に来ることができる。ブロンズ席なんて、100円切ってるし。
この臨場感を体感すると、「eSports観戦」という娯楽の持つポテンシャルに身震いするほどである。良い。実に良い空気感である。
2)(イケイケ系を含め)女性ファンが多い!
とにかくびっくりする程、女の子達が観戦に来ていたのだ。写真には撮れなかったのだが、「明らかにモデル事務所に所属してるでしょ?」という感じのピンヒールを履いたスレンダーな美女のグループがいくつも居て、腰抜かしそうな程驚いたのだ。彼女たちはオシャレなドリンク片手に談笑していたのだが、ほどなくその理由がわかった。
eSportsのゲームは世界的にTwitchで配信されるので、観覧席で応援している美女達は、高確率で配信に映り込む。韓国語の実況を聞きつつ、大画面モニターを凝視することになるのだが、かなりの時間と頻度で、観覧席が大写しになる。察するに、彼女たちは、その映像に映り込むことを目的に、かなり気合を入れてビジュアルを整えて観戦に来るのではないかという仮説をたてた。多分合ってると思う。
3)外国語(英語)実況を聞けるデバイスをレンタルできる!
うちの子供達は韓国語ができないので、英語実況を聴くためのデバイスをレンタルした。つまり、すべての試合に韓国語と英語の実況者がいるということである。韓国でその体制を整えるのはイージーなことであるが(英語ができる人の絶対数が日本よりも多いと思う)、たぶん日本だとかなり難しいと思う。この規模のスタジアムで、すべてのゲームに英語実況をつけることは日本では無理だと思う。そういう人材がほとんどいないと思う。
4)もちろん写真は撮り放題!
ここでのeSports対戦は、基本的にリアルタイムでグローバルにTwitch配信されるので、最初からカメラがこんな感じでセットされている。スタジアムは意外に狭く、選手達のプレイブースはガラスで仕切られてはいるが、間近に近づいて写真を撮ろうとお構いなし。ファンにとっては非常に嬉しい距離感である。
休憩時間には、女性キャスターが色々と場を盛り上げてくれる。スタジアムの後方部分に撮影ブースがあり、そのまま大画面モニターに映し出される。こういう女性の人材も、日本にはいるのかなぁ.........。こういうのも写真撮り放題である。
5)高感度カンナムエリア内にあり、夜遊びスポットとしても最適!
このNexon Arenaは、新論峴駅(シンノニョン駅)の徒歩圏内にあり、周囲にカフェやオシャレなレストランが密集しているエリアでもある。夜は遅くまで明るく、人の流れも多い。こんなエリアのど真ん中に深夜繰り出し、絶叫しつつゲーム観戦をし、ちょっとした疲労感を感じながら階段を上り地上に出てくる。夜はまだ終わらない。大人ならオシャレなBARで観戦の余韻に浸りたいと思うようなエリアである。
「あああ、この分野では、韓国に圧倒的にやられちゃったなぁ」と感じることしきり。悔しいけど、めちゃくちゃ気持ちの良い、夜の過ごし方である。
とにかく、すべてがカッコよかった!
さて。
少しだけ、韓国におけるゲームについてもメモっておく。
韓国のゲームシーンと切っても来れないものに、PC房(PC방、PCバンと読む)がある。いわゆるeSports Cafeであるが、とにかく利用料が安い。一時間700ウォン(66円)から1300ウォン(123円)程度。しかも大体クーポンがあったり、割引イベントがあったりするので更に安く利用できる。そのため男の子はこのPC房に入り浸ってしまうのである。
韓国が対戦ゲーム大国になった理由はいくつか考えられるが、日本の様なゲーム機のハードメーカーがないことだけではなく、教育の現場や公的な手続きその他で早くからPCが導入されて、家庭内にPCが普通にあること、PC房が異常に安いことが考えられる。
ことLOL(League of Legends)に関して言えば、初期の頃にローカライズされ、早々に韓国サーバーが設定されたこと(2011年)、PC房に有利な条件でRiot Games Koreaからインストールが許可されたこと(全てのチャンピオンがunlockされている環境が提供された)等、色々な理由が複合的に絡み合っているようだ。もともとStarCraftを擁するブリザード社の方は、すでにゲーム人口が巨大化していた韓国市場をかなり重要視したと見えて、有料のOverwatchをPC房で誰もがプレイできるようにしたりと、かなりの熱の入れようだった。
シーズン2からLOLに参戦している末っ子のバク(麦)によると、韓国重視にも見える方向性は、米国本社の意向というより、その現地(韓国)法人が、そういう戦略を取ったのだろうということだった。
バクも友人達とPC房に出入りすることがあったが、そこにはゲーム課金できるプリペイドカードが全種類置かれていて、クレカを持たないキッズたちは、それをこぞって買い求めていたらしい。当時のことをよく覚えているが、韓国人のママ友と話をすると「ゲームを辞めさせるにはどうしたらいいか」という話題が必ず出てくるほど、男の子のママたちは本気で悩んでいた。実際にあちこちで母と息子の修羅場が繰り広げられていたしな.......(汗)。
子供たちに「なんで日本はLOLで勝てないのかなぁ」と聞いてみたところ、「プレイ人口が少なすぎるからね。だって日本人ってPC持ってないじゃん。任天堂のゲーム機もプレステもあるから、PCゲームやんないんだよ。ただそれだけ。韓国が強いのは、PC房の影響が大きいと思うよ。あんなに安くて遊べたら、みんな行くよね。」
とのことだった。
この当時のことをカナメに聞いてみた。
カナメ「もともと韓国ではStarCraftをみんなやっていたんだよね。それを見て日本人は少しバカにしていたところがあって。日本からすると、任天堂などのゲーム機がないからそういうゲームをするのだなと思って見てたけれども、韓国からすると、日本のゲーム機なんか使いたくないという感じで。まぁそういう環境の違いってあるよね。それと韓国は早々にデジタル化していてPCがないと何もできないようなシステムに移行していたからね。そういうことだよ。」
なるほど。
個人的にこの観戦は記憶に残る体験で、このゲーム市場そのものと、その観戦という分野に世界の資本が大きく投入されるという未来が容易に想像できた。
とりあえずのメモだが、どなたかの参考になれば。
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