なぜ高齢者は、若者が感染拡大させていると思いこむのか
注)6月に下書き保存した記事です。大量の下書きがあるのですが、時々それを仕上げて公開するので、時系列がおかしいことがあってもご容赦を。
先日、TSUTAYAライブラリにいた時のことだった。
もともと過集中気味の私は、集中すると周囲の声や音が一切聞こえなくなる。だから周囲の音が原因で集中できずにイライラすることなどない。逆に家族の声も聞こえなくなる(汗)。私の世界はPC画面と私だけ。っていうか私という存在すら溶けている状況だ。
そこまで集中できる私なのに、その時はなぜか私の脳内におばちゃん達(80代UP)の声が突然入り込んできた。驚いて我に返った。どうやら私の後ろの席に、お姉様方が3名座って井戸端会議に花を咲かせていたのだ。 ここは田舎だし、そういう状況に晒されることが最近はなかったので、脳が異常事態だと判断したのかなと思ったりもした。
「姦(かしま)しい」という単語が浮かんだ。
女性が三人集まるとそうなるのかと思ったり(汗)。とにかくかつてのガールズは、隣の市のワクチン接種云々と色々と話していたのだが、なぜにそんなに大きな声を出せるのか不思議に思ったのだが、歳をとると、耳が遠くなるのよねぇ。
私もシニア入り口だからよくわかる。 別に大声を出している自覚はなく、彼女達にとってはフツーの会話なんだろうなと思った。ライブラリとは言え、ここは飲食物持ち込みOKのオープンスペース。彼女達が話していても特に問題がないと言えば問題がない。
ほどなくライブラリのおじさんに注意をされて、彼女達はそこから退散した。注意された理由は姦しいからではなく、4人席に座っていいのは2人だけで、1人は隣のテーブルに移れと言われたからだ。
その指摘も個人的には納得がいかない。感染拡大させないという目的で作られたルールが、一度運用を始めると、その目的を外れてルールを守らせることが目的になるというアレである。あのお姉様方は、外に出ようと仲良く三人至近距離で大声で話すわけだからさ。でも、それを許すと色々と逆に面倒だから、一定ラインを引くというのは合理的といえば合理的か。
彼女達の元気いっぱいの行動を見ていると、若い人よりも確実に集っているのだ。もちろん昼カラにも行くだろうし、会食するし、あちこちで大声で話をしていて、話が通じないと見るとすぐにマスクを外そうとする彼らが、なぜ感染拡大が若者のせいだと思うのか、都会の人はきっとわからないと思う。
彼女たちは、自分たちの住むエリアから出ていないのだ。
市から出ていない、県から出ていない、都会には行っていない。
うちのエリアはそもそも、感染者はチラホラいたのだが、そこここにウィルスが蔓延しているのだと実際に感じた時期はほとんどなかった。
年末年始、ゴールデンウィーク明けに全国的に感染者が増えたりもしたが、それはこの田舎でも同じ。だから高齢者はこう考えるのだ。
若い人たちが動く(県外に行く、県外から来る)から、ウィルスがうちのエリアに持ち込まれてしまう、と。
なぜなら、彼らは県外に出ていないのだ。
県内で、もしかすると市内で、元気いっぱいに動き回っているだけなのだ(汗)。
若者に対して動くなと言うのは、県外に行き来するなということであって、私たちが自由に動きたいから、若者は外に出るなと言っているわけではないのだ。
なぜそれが分かったかと言うと、初老の私が実際にそう感じてしまったからだ(汗)。
ゴールデンウィークの某日、近所の飲食店に出かけると、普段は見慣れない家族連れや若者グループが多数押し寄せているのを見てビックリ。明らかに都会から帰省してきたか、旅行者としか思えない人たちで一杯だったのだ。待ち行列までできる状態だった。
平時なら、都会の若い人たちが遊びに来てくれたら、地元民としては大歓迎なのだが、やはりその時はちょっと警戒してしまったのよね。
その後、当然の様にゴールデンウィーク後半から感染者が出始めたのを見て、そりゃそうだろうなぁと思ったのだ。
この時期に、あのお姉さま方が、県外にバスツアーで遊びに行っていたかというと、否である。一度県内に持ち込まれてしまっていたら、それを拡大させるのは、昼間から集って会食してカラオケしている高齢者だろう。が、最初に持ち込んだのが県境を行き来している若者であると思っている限り、「若者よ動くな」という発想になってしまうのだ。
そして彼らは、田舎にいる限り、県外からいらんものを持ち込まれない限りは、自分たちは安全であると考えてしまうのだ。そう思う高齢者が全国に多くいるから、都会に緊急事態宣言が発令されたりするのだ。
都会から田舎に人を来させないために。
個人的には、五輪を開催することが確定していたのなら、政治判断で首都圏の人を優先的にワクチン接種すべきだったと思うが、それは絶対にできない。なぜなら田舎の人たちが「不公平だ」と反対するからだ。政治家の政治生命を維持するためには票が最優先。地方の高齢者の票って強いのよね。そしていつでも割りを食うのは都会の若者。だから若者が選挙に行かない限りは、色々と変わらないのだよ。
都会の人たちは、「都会からの観光客が来なければ、田舎の経済は死ぬだろう」と思っているかもしれないが、観光業が収入の多くを占めている地方ばかりではない。もともとそれほど多くの観光客を見込めていなかったエリアでは、その市場サイズにビジネスは最適化されている。都会から人が来なくても、それほど大きなダメージはなかったりするのだよ。困るのは旅行代理店や、鉄道や飛行機などの交通機関の方だろうな。
さてさて、そんな地方の高齢者達にちょっとした変化があった。それについては別noteで。