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ここではないどこかへ連れていってくれる本

こんにちは。WBH1期生のなっこです。

もともと本を読むのは大好きですが、オンライン購入が多く、電子書籍率が高めな私。でも今年はリアルの書店で紙の本を手に取る機会を意識的に取っていました。
リアルの書店で目に留まるのは、なぜかオンラインで選ぶのとは違うタイプの本。その中でも、今年は異国・異文化にまつわるエッセイが多かった気がします。

前置きが長くなりましたが…
年末年始、風邪をひいていても、こたつでゴロゴロしていても、どこか遠いところへ連れて行ってくれるかも!そんな本を、ご紹介したいと思います。



赤と青のガウン/ 彬子女王

ガチの皇族であられる、彬子女王が書かれた学生時代の留学記。皇族の方の留学記なんてさぞ優雅な…という想像とは裏腹に、ヨーロッパに来て初めて1人で(お付きの人なしに)出歩くことができたり、はじめて周りから「ふつう」の女の子として扱ってもらえたり、と等身大のお姿が綴られています。

文章全体に爽やかな上品さはありつつも、「英語を話せない側衛さんがイギリスで迷子になる」「苗字がないため、現地で会った日本人に自己紹介に困る」「住所がなく日本国籍を持たないので、出入国でトラブル」だったり「エリザベス女王とお茶することになって緊張!」などという、皇族でなければありえないネタ(?!)が随所にスルッと挟まれてそれが珍事を巻き起こしていたりして、軽やかに読み進められます。

後半は1人の美術研究者としての喜びや苦悩のエピソードが綴られています。とにかく1つ1つのことを深く考え、そして人との繋がりを大切にされる人なんだなというのが印象的でした。

*この本をきっかけに、伊藤若冲作品のコレクターであるジョー・プライス氏に興味を持ったので、こちらも読み始めたところ。



ルワンダでタイ料理屋をひらく/唐渡千紗

キャッチーなタイトルと表紙に惹かれて購入した1冊。

なんでアフリカ?!で、しかも、なんでタイ料理?!え、突然すぎない?!
それに関する「わかりやすい」答えは書かれないまま、ルワンダでのトラブル続出ドタバタ開業、異文化ならではの仰天話、ルワンダ人スタッフとのあれこれ、時には歴史、果たしてどうなる?!
まるで筆者のエネルギーにぐんぐん引っ張られるように進んでいきます。

全て読み終えた後に、
・最後の1見出し
・おわりに
・文庫版によせて
を読むとグッと心掴まれるものがあります。


JK、インドで常識ぶっ壊される/ 熊谷はるか

高校生活の大半を、親の仕事の都合でインドで過ごすことになった女子高生によるエッセイ。

インド生活での想像を超えるカルチャーショックに始まり、出会う人々、エピソードから垣間見える彼らの生活、感じる格差、学生生活、とにかく勢いでぐんぐん読めてしまう、そんなエネルギーのあるオススメ本です。

随所に出てくる、タピオカ、プリ、JK、ぴえん等というワード(出版社のオトナの都合?)が浮いてしまっているくらい、知性を随所に感じられる文章でした(と、思ったら著者は渋幕の…と納得)。

南極ではたらく/ 渡貫淳子

「宇宙よりも遠い場所」というアニメをご存知でしょうか?女子高生4人が民間の南極観測隊のメンバーとなって南極に行っちゃうストーリーなのですが、少し前にテレビで再放送されていて、親子でハマったんです。

そしてたまたま直後に、南極観測隊に参加経験がある方による、子ども向けお話会が近所で開催されて、実際の南極エピソードを聞いて大興奮(私が)。私の心は完全に南極にアンテナが立っていました。そんな時に見つけた一冊。

作者は南極観測隊に調理人として参加した女性。子育てをしながらも、「南極に行く!」と夢を持ってから6年かけて経験や人脈、想定レシピ作りなど用意を重ね、隊員募集に不合格になっても諦めず、チャンスを掴み取るところが本当にすごい。夢の持つエネルギー、行動力に元気をもらえます。

南極観測隊ってどんな生活しているの?、とか、食材の途中調達がない状況での調理人としての工夫と苦労も知ることができ、「へー!」となること間違いなし。

語学の天才まで1億光年/ 高野秀行

伝説の生き物だったり、実態が謎に包まれた部族に迫るため、秘境的なエリアの人々の懐に入っていくための手段としてマイナー言語習得なのですが、それに付随するエピソードがとにかくぶっ飛んでて面白すぎました。アフリカの密林の部族に入って行ったり、東南アジアで麻薬王と知り合ったり(さすが、早稲田大学探検部)!

とはいえ、言語と文化の関係性が見えたり、極限環境でのアイデンティティ問題とか、コミュニケーションとしての言語ってまさにこういうこと!と納得したり。脳内が忙しい。

80〜90年代とはいえ、「こんな大人がいたのか!」と、私なんでこんなに真面目に生きてるんだっけ…(注:著者は著者で真面目に生きてます)と、価値観を狂わせてくれる一冊。


世界の果てに、ひろゆき置いてきた/ ひろゆき・東出昌大・高橋弘樹

勝手ながら、非効率を嫌いそう&インドアなイメージのある「ひろゆき」のイメージを覆す、アフリカ×ヒッチハイクというAbemaTVで放送された人気企画番組の解説的位置付けの本書。

ひろゆき氏の笑顔ってあんまりみたことがないんですが(シニカルな笑いは別にして)、この番組では意外と笑顔で、そして動きまわるひろゆき氏が見れます。もう二度と会わないであろう相手でも、人と人のコミュニケーションを大切にする人なんだな!という印象。
本を読むだけでもちゃんと面白いんですが、読むと番組が見たくなる…!まだ1話しか見れていないのでこれから見るのが楽しみ。


番外編: ベトナムの風にふかれて/ 小松みゆき

ベトナム・ハノイで暮らす著者が、認知症となった故郷新潟の80代の母親(ばーちゃん)をハノイに呼び寄せ、暮らした日々を綴ったエッセイ。

ばーちゃんの話す方言がほぼそのまま文字化されていて、皆さん普通に読めるのでしょうか?!と心配になるくらい。

私も新潟出身(新潟広し、ですが、著者の出身エリアとも近い)で、ばーちゃんの方言が沁みる!というか、自分の祖母の声で脳内再生される…!

そんな懐かしさもあって、面白く読みました。言葉が通じなくても、優しさで生きていける世界にほっこり。

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いかがでしたか?
年末年始、ちょっと一息ついて実用書から離れたい人も、気分だけでも海外に飛んでいきたい人も。気になる1冊があったら嬉しいです。

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