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ライフデザインの問い
ライフデザインとは
ライフ・プランニング、ファイナンシャル・プランニングでは、本来、まずライフデザインを描きます。日本ファイナンシャル・プランナーズ協会編『ファイナンシャル・プランニング入門-for Students-第5版』ではライフデザインを次のように説明しています。
ライフデザインとは個人の生き方のことであり、ライフデザインには個人の人生に対する価値観が表現されます。また、何を効用とするか、満足とするかも、ライフデザインに基づいて決定されます。人の価値観には、経済的価値、文化的価値、道徳的価値、環境価値や地域の価値などがあり、それらをどう評価するかは人によって異なります。
会計や経営の知識や経験がある場合、個人のファイナンシャル・プランニングは、企業のミッションや事業計画と照らし合わせて整理すると分かりやすく捉えることができます。
法人の経営理念・ミッションにあたるのが、個人の場合はライフデザインです。法人の場合、その法人の社会的使命や社会的存在価値を明らかにするのが経営理念ですが、個人が生きていくための基本的な生き方や哲学を明らかにするものがライフデザインといえます。
また、法人の事業計画にあたるのが、個人の場合はライフプランです。住宅取得プラン・子どもの教育プラン・老後の生活プランそして個人からみた事業プラン(経営者の場合)などです。これらは、パーソナルファイナンスを行う上での具体的な指針になります。
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ライフプランとは
ライフデザインを具現化したものがライフプラン、つまり生涯生活設計です。広い意味でのライフプランには、キャリアプランや家族に関するファミリープラン、生きがいに関する活動プラン、健康増進や健康管理のプラン、そしてファイナンシャル・プランなどが含まれています。具体的なライフプランを作成・実行することで、個人のライフデザインが実現されることになります。この広義のライフプランに対して、ライフプランを数値化したものがファイナンシャル・プランニングにおける狭義のライフプランです。すなわち、キャリアプランとそれに基づく収入予測、住宅取得の具体的な数値的プラン、教育資金に関する数値的プラン、老後資金プランなどをキャッシュフロー表とバランスシートで表現していくことが、ファイナンシャル・プランニングにおけるライフプランニングと呼ばれています。
職業選択、結婚、出産、子どもの進学、住宅取得など人生にはさまざまな「ライフイベント」があります。
ライフプランニングの核となるファイナンシャル・プランニングでは、まず現状を把握し目標の明確化して、ライフイベント表を作成します。
ライフイベントの中でも、教育資金、住宅資金、老後資金は、特に多額の資金を必要とするため、「人生の3大資金」と呼ばれます。
そのため、ファイナンシャル・プランナーとその顧客の実際のファイナンシャル・プランニングでは、人生の3大資金である、教育(家族計画も)、住宅、老後に関する情報収集やライフイベントの計画がメインになります。
抽象的なライフデザインの問い
企業におけるミッションのような抽象的なライフデザインだと、私であれば、次のような問いを立てます。
特にすべてに答える必要はなく、どれか一つでも書けるものがあれば、それをベースにライフデザインを考えます。いろいろな質問の仕方をしているのは答えやすさが人によって異なると思われるためです。
あなたの好きなことは何ですか?
あなたは何をしているときが楽しいですか?
あなたは何をされると嬉しいですか?
あたたにとっての幸せは何ですか?
あなたにとっての生きがいは何ですか?
あなたが大切にしている価値観は何ですか?
あなたの人生哲学は何ですか?
あなたが志しているものは何ですか?
人生の目標は何ですか?
あなたは何をして生きたいと思っていますか?
将来の夢は何ですか?
あなたのなりたい姿はどのようなものですか?
ネガティブな観点からのほうが答えやすい人もいると思います。その場合、例えば、次のような質問を挙げることができそうです。
あなたが辛い、苦しいと感じるのはどんなときですか?
あなたがされたら嫌なことは何ですか?
死よりも怖いことはありますか?それは何ですか?
あなたにとって何が不幸ですか?
あなたはどのようなことに不満や怒りを覚えますか?
あなたにとって恥やコンプレックスを感じるのはどんなことですか?
あなたはどんな人間にはなりたくないですか?
ファイナンシャル・プランニングをする上では、より具体的に、仕事とプライベートで分けたり、プライベートを家族、住宅、趣味などに分けて、生きがいや将来の夢などを考えていきます。
仕事、家族・教育、住宅、老後、趣味に関する具体的なライフデザインの質問
人生の3大資金は、教育、住宅、老後ですが、収入側の仕事とキャリアもファイナンシャル・プランニングをする上で同じくらい重要です。趣味も、ものによっては3大資金のように資金が必要な場合もあります。
抽象的な質問の枕詞に「仕事について」や「家族について」などをおいて具体的な質問として考えることもできます。
仕事、家族、住居、老後、趣味についての具体的な質問例を挙げてみます。
仕事とキャリアについて
どんな仕事をしたいですか?
どのようなキャリアを歩みたいですか?
仕事の目標や志していることは何ですか?
仕事ではどんな人物になりたいですか?
仕事で大切にしている価値観は何ですか?
いつまで働きたいですか?
ファイナンシャル・プランニング観点では、どんな仕事をしたいか、どんなキャリアを歩みたいかと収入のバランスを見ていくことになります。いつまで働きたいかは、一生仕事を持ちたい人もいれば、FIRE(Financial Independence, Retire Early: 早期退職)したい人もいると思います。また、雇用されずとも資産運用をすることや社会貢献活動することも「働く」に含めてキャリアを考える人もいると思います。
家族と教育について
子どもは何人ほしいですか?
子どもにどんな教育を受けさせてあげたいですか?
子どもにどんな経験をさせてあげたいですか?
夫婦でどんな関係を築きたいですか?
親にはどんな余生を過ごしてほしいですか?
ファイナンシャル・プランニング観点では、子どもの教育費が特にお金がかかります。子どもが増えると単純に考えれば、2倍、3倍のお金がかかることになります。夫婦の関係から家計における夫婦の役割分担も整理していきます。将来の親の介護も念頭に入れておく必要があります。
住居について
マイホームはほしいですか?
どこに住みたいですか?
海外に住みたいですか?
マイホームか賃貸かは大きな選択です。また住む場所によっても必要な資金が大きく変わります。
老後について
老後は何をして過ごしたいですか?
いつまで生きていたいですか?
いつまで、どの程度、健康で過ごしたいですか?
何を生きがいにしたいですか?
何歳まで生きるかは分からないことで、寿命を決めることはできません。平均寿命は延びており人生100年とも言われます。中には、若い頃は早死したいと思っていて、長く生きるような人もいます。いつまで生きたいかは年齢ではなく、将来の夢を実現するまでや孫の顔を見るまでのようなものになります。
趣味について
趣味は何ですか?
海外旅行はどのくらいしたいですか?
いい車を所有したいですか?
趣味はどのくらい優先したいですか?
ファイナンシャル・プランニング観点では、趣味は特にお金のかかるもの、海外旅行や車などを考慮に入れておきたいところです。
できればライフデザインの前に知っておくこと
何を知っているかで、将来の夢も生きがいも変わってきます。どんな職業があるか知っていると進みたいキャリアが変わるかもしれません。平均寿命が何歳までで退職後どのくらい自由な時間があるか知っていると生きがいについてもっと考えるかもしれません。
とはいえ、必ずしも事前に知っておく必要はなく、ライフデザインしながら知ったり、あるいは、ライフデザインした後に知ったら、その情報をもとにライフデザインを見直したりするのが良いです。
人生の中で価値観は変わります。
企業でもミッションが変わればそれに紐づく事業計画や予算も当然変わってきます。ライフプランニングやファイナンシャル・プランニングは定期的に見直すのがおすすめです。