自立から要介護へのプロセス『フレイル』
高齢化社会と言われるようになったのは1970年。
その後も高齢化率は上昇し1994年には高齢社会へ移行し
2007年には遂に超高齢社会を迎えました。
現在の高齢者人口は3640万人。総人口に占める高齢者の割合は29,1%と過去最多。
と同時に介護が必要な高齢者の割合も増加していき2021年の要介護・要支援認定者数は666万人です。
健常な状態から要介護状態になる間の過程をフレイルと言います。
フレイルは介護はもちろん栄養ケアでも重視されています。
今回は要介護になる前段階。
『フレイル』についてお話していきたいと思います。
1、フレイルについて
フレイルはこころとからだの動きが弱くなった状態を意味し、健常から要介護へ移行する段階のことを指します。
身体的な症状は
・体重が減った
・疲れやすくなった
・階段を登るのがしんどい
・横断歩道を青信号のあいだに渡れない
・家にずっといる、外出したくない
などがあげられます。
フレイルという言葉は海外の老年医学の分野で使用されている「Frailty(フレイルティ)」が語原となっています。
日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」「脆弱」を意味します。
日本老年医学会は高齢者に起こりやすい「Frailty」に対し正しく介入すれば健康な状態へ戻る・機能低下を止めることができることを強調したかったためその願いを込めて「フレイル」と共通した日本語訳にすることを2014年に提唱しました。
高齢者のフレイルは生活の質を落とすだけでなく、肺炎や認知症・筋力低下により歩行することができなくなるといったさまざまな合併症を起こし危険な状態になるきっかけを作ります。
2,フレイルになる原因について
フレイルを起こす要因のほとんどは加齢による身体機能の低下が指摘されています。
病気をきっかけに健常な状態から要介護状態になることもありますが多くの場合は徐々にフレイルの時期を経て要介護状態に至るケースが多いとされています。
そのほか、引っ越しや家族構成の変化・入院といった環境の変化や定年により社会との断絶による社会的役割の変化なども原因のひとつと言われています。
3,フレイルの3つの「虚弱」
フレイルを起こす比率に男女差はほとんどありません。
多くの対象者は健康な状態からフレイルを経て要介護状態へと至ります。
特に疾患がきっかけで徐々に身体機能が低下しフレイルの過程を経る場合が多く見られます。
フレイルには3つの虚弱があります。
1つは身体機能の低下による身体(からだ)の虚弱
2つめはメンタルや認知機能の低下といた精神・心理的要因のこころの虚弱
3つ目には社会的役割の変化が原因の社会性の虚弱
この3つの側面のいずれかに虚弱が生じたときにフレイルへと傾き徐々に進行していきます。
気付かないうちにフレイルは進行していき要介護状態となるケースは多いと感じます。
4,フレイルは可逆性
フレイルの状態が進行していくと要介護状態となります。
更にすすめば命の危険を伴う可能性もあります。
例えば
・筋力低下による転倒→骨折→更に筋力低下により臥床状態(いわゆる寝たきり)
・食べるための筋肉が弱くなり嚥下(飲み込み)機能の低下による誤嚥性肺炎→発熱や食事をとることができなくなり栄養状態が低下→体力の低下
・認知機能の低下(認知症の発症or悪化)による食欲の低下・食事拒否
などなど・・・。進行すれば深刻な状態に陥る可能性があります。
放っておくと怖いフレイルですがフレイルに気付いて適切に対処すれば予防・改善が可能です。
健常と要介護状態の間にフレイルのがあることを知っていれば気付くことも可能だと思います。
病気と同じように「早期発見・早期治療(介入)」がフレイルの状態から健常に近い状態へ改善したり、要介護状態に至る高齢者を減らせる可能性があります。
5,終わりに
ここではフレイルは誰でもなりうる状態ですが正しく理解し介入することで元の状態に戻る可能性があるということをお伝えしてきました。
なぜ、私がフレイルについて伝えたいかというと人生の最終段階にある人々に健康な状態でいてほしいと思うからです。
今、高齢者といわれる方々は戦前・戦後を生き、日本の復興を支えてきた人たちばかりです。
自分のことは横において家族のため・社会のために努力してきました。
今まで頑張ってきた分、これからは人生を楽しんでほしいと心から願っています。
人生を楽しむためには健康であること。
そのために健康と介護の間にあるフレイルをご本人・ご家族に知っててほしいと思います。
ここまでフレイルについてお話してきましたが私もまだまだ勉強中です。
今後も勉強した内容や感じたことをnoteを使って発信していきたいと思います。