#04 介護はマネジメントと捉える
~過去投稿はマガジンから~
ただし、一点だけ気をつけていただきたいことがあります。
「仕事をしながらの介護は無理ではないか……」と介護離職を考えている方に、ややもすると「(離職の)背中を押すようなアドバイス」をしてしまうことです。
「介護も立派な仕事だよ」などと、声をかけてしまう。
もちろんそういったアドバイスは、介護者を励ます意味で発せられるのですが、介護者が仕事との両立をあきらめて会社を辞め、介護に没頭してしまう危険があります。
「全部自分が介護を(立派な仕事として)やってあげなくちゃ」と、考えてしまうのです。
介護は仕事ではありません。
介護が仕事であるのは、介護職の方々です。
会社で働きながら介護をする方々は、いわば介護を「マネジメント」していく立場です。職場や行政、地域ボランティア、家族同士と連携をとって「どうすれば、いちばんいい介護環境になるか」を考え、選択していくのです。
介護職のプロにやってもらえることは、プロに任せる。
介護を全部自分で抱え込まない。
マネジメントというと、冷たい印象を持たれるかもしれませんが、要介護者にとってのベストを考えるという意味で、あたたかいマネジメントを目指せばいいのです。
「しっかり任せられるプロを選ぶ」ということだけでも、あたたかいマネジメントになるはずです。
仕事でしっかりマネジメントできる方が、家族介護のマネジメントができないことはありません。
自分のキャリアプランの中に介護プランも組み込んでいけばいいのです。
本コンテンツはCOCORO 4号をもとに再構成しています
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著者プロフィール
飯野 三紀子(いいの みきこ)
ウェルリンク株式会社 産業カウンセラー・キャリアコンサルタント。
一般社団法人介護離職防止対策促進機構理事。
企業の人事部経験を経て、人材紹介会社で、キャリアコンサルタントとして従事。要介護4の母を介護しながら、働く人の「心の健康」と「介護と仕事両立」のための支援を行なっている。5人の介護と4人の看取りを経験。