#02 介護に直面したら 会社に報告を
~過去投稿はマガジンから~
介護と仕事の両立で大切なことは、「会社にきちんと報告する」ことです。
介護がはじまると、初期は関係各所と連絡を取り合って、手続きなど処理しなければならない課題が山積します。手続きは仕事をしている平日になりますから、仕事中に処理をすることになります。そんなことを隠して仕事をしていては、「きちんと仕事をしていない」と、周囲は首をかしげてしまいます。会社に介護の報告をせずに仕事をしていても、ストレスは溜まる一方です。
介護がはじまると「会社に迷惑をかけてしまう」「自分の評価が下がってしまうのではないか」「介護は家庭の問題。会社は関係ないのでは」と、考えてしまうかもしれません。会社への報告を躊躇して、ひとりで問題を抱え込んでしまうと、本当は仕事と両立できたはずなのに、思いつめて突然離職してしまった……ということにもなりかねません。
介護は誰もが通る道です。
恥ずかしいことでも、自分だけで抱えることでもありません。
どうか会社にきちんと報告してください。
私は、各企業の人事部に「介護離職を防ぐこと。介護と仕事の両立を支援すること」を日ごろから説いていますが、今は会社も介護の重要性を認識しはじめています。
上司、そして人事部に相談しましょう。時短制度を使って介護ができる制度があるかもしれませんし、テレワーク制度を使って週の何日かは自宅で仕事ができるかもしれない。
どうか気後れすることなく、カミングアウトしてください。会社にとっても、介護離職を防ぐことは、今や大切なリスクマネジメントなのですから。
それは、制度が整った大手企業に限りません。
中小企業には中小企業のよさがあります。それは「全社員のことをよく理解している」という環境です。社員の間でしっかりコミュニケーションがとれていると、お互いの家庭環境を知っているケースも多いでしょう。
「自分の職場では介護と仕事の両立は難しいだろう」と、まずは勝手に思いこまないことです。
※本コンテンツはCOCORO 4号をもとに再構成しています
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著者プロフィール
飯野 三紀子(いいの みきこ)
ウェルリンク株式会社 産業カウンセラー・キャリアコンサルタント。
一般社団法人介護離職防止対策促進機構理事。
企業の人事部経験を経て、人材紹介会社で、キャリアコンサルタントとして従事。要介護4の母を介護しながら、働く人の「心の健康」と「介護と仕事両立」のための支援を行なっている。5人の介護と4人の看取りを経験。