「Entô」と島まるごと図書館のコラボ!島まるごと読書プランを体験してきました。《後篇》
皆様、こんにちは!島根の山間部はかなり積雪があるようで、こちらも朝から小雪が舞っております。体調に隠岐を、お気をつけくださいね。
昨日の記事をご覧いただきありがとうございました。《後篇》ではいよいよ部屋の外に出ます!! 「島まるごと読書プラン」については、
ホテル特化型メディアHotelBank(ホテルバンク)さんの記事が詳しいです。
部屋の外に出てみよう
12月18日(水)AM4:11。部屋の外に出てみることにしました。昨日ざっと読んだ「四季の名言」を手に。Entôさんには冬のルームウェアにかわいいケープが部屋に備えつけられており、これを羽織っていきます。
展示室「Geo Room Discover」
Entôさんは、「泊まれるジオパークの拠点施設」ということで、館内に隠岐の成り立ちや島前3島を紹介する展示室「Geo Room Discover」があります。「Geo Room Discover」では、地球の歴史、隠岐諸島の歴史、海士(中ノ島)の歴史がギュギュッと凝縮されたスタイリッシュな年表や、隠岐諸島の中の島前三島(このEntôのある中ノ島を含む三つの島)を模したかわいいオブジェたちと出会うことができます。
やはりまず、ご挨拶しないといけないのはこの方でしょう。
後鳥羽上皇は、1221年にこの島に遷幸されたのち1239年にこの島で崩御された帝です。歌の帝といわれただけあって、和歌を詠まれている姿ですね。ちなみに右後ろの鳥居は1939年に創建された隠岐神社の鳥居ですね。上皇の崩御700年の年に新たに創建された神社が隠岐神社です。地球の歴史、隠岐の歴史の中に「ごとばんさん」が居るのがいいなあと思います。次は、写真後ろに写っている西ノ島へ行ってみましょう。
後醍醐天皇は、ごとばんさんの来島からおよそ百年後、1332年に隠岐に来られました。今年アニメ化もされた「逃げ上手の若君」(作者:松井優征/ジャンプコミックス)にも主要キャラクターの一人として登場されている帝で、わずか1年で隠岐を脱出しています。
古生物たちの化石が展示された空間「ジオラウンジ」
AM4:25。続いては、「ジオラウンジ」へ移動します。昼間の「ジオラウンジ」はこのような感じ。
世界各地から産出した化石が展示されており、窓の外に見える島前内海を眺めながら地球の歴史、隠岐の歴史に思いをはせられる場所になっています。ちなみに、このスペースは昼間は地域の方の利用も可能で、打合せなど憩いの場所としても親しまれています。
今回、早朝に訪れたのは初めてでした。対岸に見える西ノ島の人家の灯と、窓には、昼間と違い、室内にいる自分と化石の姿も並んで映っています。
再び読書開始
さて、部屋から持ち出した本をこのソファーで読み始めます。部屋から持ち出した本「四季の名言」著者:坪内稔典/平凡社新書のなかのページを開きます。
秋の項にある、「ベッドのなかで、自分が途方もない虫に変わっているのに気がついた。」というフランツ・カフカのページを読むことに。
「有泉ちゃんは本が好きだよねえ」と言われますが、そのようなことはなく、今年がフランツ・カフカの没後100年ということは今年の秋になって初めて知りました。「ベッドのなかで、自分が途方もない虫に変わっているのに気がついた。」という一文は、カフカの小説『変身』の冒頭の部分です(ここまでは私も知っていた)。
坪内稔典氏の本を引用させていただきます。
「甲羅と何十本もの脚がある虫にグレーゴルは変わっていた。」
「たいていの人に一種の変身願望がある。化粧をしたり、衣装を変えたりするのもささやかな変身だし、旅に出かけたり、車を買い替えたりする気持ちにも変身願望があるだろう。」
「大人になって人間や社会のさまざまが分かってくると、たとえば自分を虫けらのように思うこともあるだろう。そういう大人の不安が、ある日突然に実現するとしたら、そう、私たちはある朝、一匹の虫になっているかもしれない。」
ふと、隣の三葉虫に目をやる。「甲羅と何十本もの脚がある虫」。いや、三葉虫のこれは甲羅でいいのか、どうか。
ある朝目覚めて、三葉虫になっていたらどうだろうか。もし、三葉虫になってしまったら、Entôジオラウンジで飼っていただけたらありがたいが、子どもたちのことが心配ではあるな、とは思った私でした。
部屋へ戻り、まどろむ
部屋に戻って、少しベッドでまどろんでいると、寝ているのか覚めているのかわからない状態で、少し前まで読んでいた本の言葉がまなうらに浮かんでは消えていきます。
光が強くなってきたなあ、と思いぼんやり港の方角を見ると、昇って来る朝日が雲を照らしていました。「紫だちたる雲の…」と呟きたくなる光景です。
海が美しいのは、もちろんなのですが、雲の流れも。
チェックアウトの時間まで、のんびり過ごしながら、移り変わる窓の外の風景を堪能しました。
これは、私の「島まるごと読書プラン」の感想でしたが、訪れる人、訪れるタイミング(その時抱えている内面の事情など)でいろいろな感想がうまれると思います。
皆様もぜひこの冬、島で素敵な本と出会ってくださいね。
また、今回の旅のおともに素敵な本を選んでくださった司書さんのいる
海士町中央図書館さんの公式noteもあわせてご覧ください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!