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プロダクトデザイナーたちに聞く「あなたのドメインの面白さはどこから?」

こんにちは。オオカワラ(@o_kwr)です。
わたくし、他の会社がnoteや自社ブログで発信している「会社や事業の魅力」を拝見するのがけっこう好きでして、どんなドメインにも面白さや難しさがあるんだな〜と思いながらよく読んでいます。

SmartHRでもそうですが、各社こうして発信をしていくのは、そこに共感していっしょに働いてもらえる人を増やす採用広報としての側面が大きいと思います。なので、求職者としての視点で様々な記事を読むことも多いのですが、そのときによく思うこととして「事業面白いよ!と言っているのはわかるけど具体的にどういう部分がどう面白いのか正直わからんかも〜!」というものがあります。

とりわけ、プロダクトを開発していくデザイナーという視点でその事業やドメインがどう面白いのかを対外的にしっかり語れているところは個人的な感覚でいうとなかなか無いのかなという肌感です。

では、自省をしてみてSmartHRのプロダクトデザイナーにおいてこのドメインの魅力や面白さ、難しさを今現在ちゃんと発信できているのか!?と振り返ってみたとき、私はうなだれてしまいました。

「全然できていない......。😭」

そんなわけで今回は、SmartHRのプロダクトデザイナーのみんなにそれぞれが担当しているプロダクト(ドメイン)の面白さや難しさについて聞いてみました。SmartHRというプロダクトは大きく分けると労務領域とタレントマネジメント領域、そしてプロダクト基盤に分けられますが、そこから更に細かいドメインごとに分かれています。その一つひとつが奥深く、全く異なる課題感と面白さがあるため、SmartHRでプロダクト開発をするとこんなことに取り組めるんだ〜!とケーススタディ的に知れると思います。

各プロダクトを実際に担当しているプロダクトデザイナーのリアルな声を覗いてみましょう〜!

労務領域

申請機能

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

労務プロダクト全般は、国の制度を把握するところに魅力があると思います。たとえば社会保険には複数ありますが、いろんな事情を抱えた人がいるので多種多様なケースに対応するために制度が複雑化していたり、書類も複数に分かれています。新たに書類や改定された書類から国の考えを理解するのが面白いところです。

申請は会社の部署情報を使って行われているので、汎用的に使える必要がありますが、実際の組織構造は複雑できれいにはできてなかったりするので、承認経路を柔軟に作れるようにしたり、申請の提出方法を増やしたり、閲覧できるだけの人を追加できるようにしたりと複数のユースケースに対応できるようにしています。

310

実際に使われるときに組織構造が想定しているようなきれいな状態ではないというのはリアルですね。本当に大小様々な企業様に使っていただいているが故でもあります。

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

国の制度をちゃんと把握するところは難しいです。給付金などに絡むところなんかは従業員が損することもあるので絶対に失敗できない部分になるので制度を正しく理解して、間違いなく実装していく必要があります。

申請は紙で提出していたときの柔軟な申請の提出をアプリケーション上でも行おうとするところに難しさがあります。やりたいことに対して設定を増やしていくことになるので、複数の複雑な設定を行わないといけないので、ユーザーにわかりやすく伝えることが課題になっています。

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アナログな申請ならふつうにできていることもアプリケーションとしてしっかり吸収することの難しさはtoBプロダクトを開発している方なら想像に難くないかなと思いますね〜。

従業員招待

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

招待は従業員がSmartHRを使えるようにすることを目的としているので従業員のユースケース以外の文脈が入っているところに珍しさがあります。加えて、入社に際して複数の手続きを終わらせるために従業員の必要な情報を収集しているので目的がわかれているところにおもしろさがあります。

310

一連の業務・ユースケースの中にいろいろな登場人物が出てきて、それを踏まえての設計が楽しいですよね。

年末調整機能

手続き機能

こちら2つに関してはwentzさんが過去に詳しく面白さや課題感について語っている記事があるので読んでみてくださいね。

届出書類機能

行政手続きに関する書類一括作成や電子申請ができる機能です。

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

担当プロダクトに限らない、業務用アプリケーション全般の話になってしまうのですが、「異なる業務を担当する、異なる権限を持つユーザーが同時に使う」「外部アプリとの連携も求められる」といったことに起因する複雑さと、「良いプロダクトができて業務の生産性が高まると、直接のユーザーだけでなく、その同僚や顧客、取引先にも間接的に影響が波及する」というインパクトの大きさに魅力を感じています。

so

複雑さと影響範囲の広さというのは確かにtoBプロダクト特有の魅力ですよね〜。

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

届出書類は、法律の変更に伴って作成する書類の様式が変わることがあるので、労務まわりの法律の理解や変更へのキャッチアップが必要なところに難しさを感じます。

so

金融系あたりもそうなのかなと思いますが、関連する法律のキャッチアップというのが業務上必須というのはなかなか特徴的なのではないでしょうか...!!

基本機能(履歴・権限)

従業員情報の履歴管理や権限管理に関する機能です。

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

履歴まわりは、「時系列に沿ったデータの変更履歴」という分かりにくいものを、どう分かりやすく見せるか、また編集時に不整合なデータ(たとえば、過去時点では存在していなかったはずの部署に所属していたことにする、等)をを作れないようにするか、といったことが難しいです。
権限の場合、「何はできて、何はできないのか」を柔軟に設定できるようにしたいのですが、何でも自由に設定できると逆に使いづらくなる・事故につながりやすくなります。その自由度の塩梅の調整が難しいと感じています。

so

履歴はそのデータとしての正しさを厳密に担保する必要がありますし、権限は様々な形態・体制の企業の運用に耐えうる仕組みにしていないといけないので設計の難易度も一段と高い印象です。

文書配付機能

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

文書配付はもともと雇用契約書を配付するために生まれた機能ですが、「会社から従業員に対して文書を配付する」ためのより汎用的なプロダクトとして用途が拡大していっています。入社した人が一番最初に触る機能になることも多く、従業員・管理者双方の使い勝手を考えて設計する必要があるのが面白いです。

akasaka

本当に汎用性が高く様々なユースケースを内包する機能だなと私も思うのですが、その汎用性を支える設計を考え抜く部分はやりがいありそう〜といつも思っています。

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

文書配付は、SmartHR内でも初期に開発されたプロダクトですが、用途の拡大に合わせ、より柔軟に多用な書類を作成できるようにする必要があります。また、多くの従業員が触れる入社手続き書類への合意・確認業務が複雑化している課題もあるので、よりスムーズに完遂できるようにアップデートしていく必要もあります。

akasaka

複雑さを解きほぐしつつ体験をスムーズにしていくという難易度の高い課題感がありますね...!!

タレントマネジメント領域

人事評価機能

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

膨大な時間と労力がかかる業務を効率化出来るという点はもちろん、人事評価は従業員の処遇に直接繋がる点が面白いと感じます。
プロダクトが誰にとっても使いやすいことが、すべての働く人が公平に評価され処遇を受けることに繋がります。公平な評価を受けづらい状況にある誰かの生活が変わるかもしれないと思うと夢があるなと思います。

ura

従業員それぞれのお給料や昇進などに影響の出るプロダクトなので本当にインパクトが大きいですよね。

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

分かりやすさや使いやすさと、評価設計の柔軟性を両立して求められる点が難しいと感じます。人事評価は多くの従業員が関わる従業員/管理者ともに負荷が高い業務なので、シンプルで学習しやすいことが求められます。また、人事評価の制度の内容は会社によって多種多様なため、多機能で自由度が高いことも求められます。この2つを両立するために、機能をどこまで抽象化するのか、どのようなデフォルトを設定するのかなどが難しいです。

ura

思えば評価制度って会社ごとに全然異なるのでその差異をアプリケーションとしてしっかり受け止められる設計にしていないとダメなんですよね。けっこう仕様で頭を悩ませそう......。

スキル・学習管理機能

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

スキル情報や学習情報はタレントマネジメントの軸となるデータになる為、プロダクトとしてのデータの入口になること。管理者としても従業員としてもどのようにデータを入れてもらうのかを考えるところに面白さを感じております。

Fujitha

タレントマネジメントをやっていくということを考えると本当にここって重要なデータで、あらゆる起点になってくるんですよね〜。それをいかに入力してもらうか考える部分はやりがいがありそう。

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

管理者だけでなく従業員のことも考えること。
スキル・学習管理は管理者だけでなく従業員の方も使うものなので、PCだけではなくSPのことも考えたり、アクセシビリティや多言語のことを考慮してデザインを考えなくではならないので難しさもありつつ日々チャレンジでき楽しいです。

Fujitha

スマートフォンでの操作が主流、なんていう会社もありますから全てのタッチポイントでの使いやすさを担保する必要がありますね。

キャリア台帳機能

配置シミュレーション機能

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

キャリア台帳は、部門長や組織長が、従業員の経歴や所持している資格などの情報を検索・閲覧できるプロダクトです。育成対象や配置異動の候補者をリストアップする際、個々の従業員のキャリアを見ながら検討できるのが特徴です。
配置シミュレーションは、人事担当が組織の部署構造や人員配置を検討するためのプロダクトです。部署ごとの人件費や資格保持者、滞留年数、勤続年数などの統計情報を確認しながら従業員の配置を検討できるのが特徴で、ある人をただ別の部署に異動させるだけでなく、組織全体を俯瞰した改善が行えます。

現在、キャリア台帳と配置シミュレーションの連携を強化し、よりシームレスで強固な結びつきをもってキャリアアッププランや配置検討を行えるよう開発が進められています。
たとえば飲食店では、キャリア台帳で店長経験のある従業員をリストアップして異動候補者としてマークしつつ配置シミュレーションで抽出して異動したり、育成対象の異動をローテーションしたりがやりやすくなります。
どちらのプロダクトにも共通して言えることは、実際に使う人の立場にならないと、何を解決したいのかがはっきりわからないということです。キャリアを確認したり配置を変更するのは、課題を解決するための手段の内の1つでしかありません。
規模や業種の違う組織でも使えるプロダクトになるために、ただ機能を提供するのではなく、根本の課題を解決できるプロダクトを目指しています。それが何かを考え、見つけ出してデザインすることはとてもエキサイティングです!

oti

機能単体でなく互いに連携しながら業務達成を実現していくという部分を設計するのが楽しいですよね〜。そして同時に難しい......!!

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

両方に共通して、「お客様の要求をそのまま機能に落とし込んでいては課題は解決されない」という難しさがあります。ヒアリングではお客様から「これをこうしたいんだよね」と言われますが、それに対するソリューションを生み出すのは特に難しいことではありません。しかし、お客様は「これをこうする」だけをしたいわけではありません。その前にある課題を、その先にある目的へ達するために「これをこうしたい」とおっしゃっています。その前と後をいかに考えて、引き出し、導き、それを解決できるソリューションを生みだせるか、それが難しさであり、同時に面白さでもあると思います!

oti

理想としてどうあるべきなんだっけ?を深く考えることが多いですよね。これはタレントマネジメント領域の機能全般に言える特徴かなと思います。

HRアナリティクス機能

SmartHR上にある様々なデータをもとに分析ができる機能です。

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

効率化に留まらず、プロダクトを通して業務自体の提案をしていける点が面白いです。タレントマネジメントの施策検討や意思決定のための分析ができるプロダクトです。どの会社にも共通している定常業務のようなものは少なく、まだベストプラクティスが確立されていません。そのため機能検討の際にはユーザーリサーチを通して、ユーザーの目的達成を支援できる分析アプローチを自ら考える必要があるのが難しくはありつつも面白いと感じます。

ura

ベストプラクティスが確立されていなく、開発を通してそこを解き明かしていくのはエキサイティングですね〜!

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

単なるグラフや表を提供するだけではなく、問いの設定や着目するべき点の特定など分析のサポートまで求められている点が難しいと感じます。膨大な量の従業員や組織の情報から着目すべき点を目的に応じて読み取るには一定の経験やスキル、時間が求められます。そのため、誰でもすぐに業務に役立てるようその読み取りのサポートが求められます。それを実現するためには、分析とタレントマネジメント両軸の深いドメイン知識が必要である点が難しいと感じます。

ura

そもそも分析というもの自体が難しく、そこでサクセスできるようにするにはどうしたらいいのか設計していくのはなかなか難しそうです...!!

採用管理機能

こちらに関しては私が過去の記事でも触れているのでそちらをご覧ください。

プロダクト基盤

SmartHRホーム

SmartHRに存在するあらゆる機能に手間なく簡単にアクセスするための機能です。

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

SmartHRホームはまだ「ドメイン」としてあるわけではないのですが、「全ての利用者が訪れる入り口」であるという性質から、
・SmartHR内で最もアクセスされる利用者の多さの点
・マジョリティユーザーが従業員である点
・多様な利用シーンやユーザー特性に対する考慮が必要という点
など、これまでのSmartHRがターゲットとしてきたBtoB領域とは異なる要件や状況を考慮しながら、BtoBtoE領域へと展開する上での中核プロダクトにしていく、というものづくりの魅力があります。

versionfive

多くの従業員にとってはここが最初のタッチポイントなので、考慮すべきことの多さや幅の広さがありますよね〜。

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

・あらゆるユーザーが使うことから、利用状況が絞れず、誰のための機能にするかなど「置き所」が難しいところ
・他のSmartHRのアプリとは異なる意匠にしており、デザインシステムの基準をそのまま適用できず常に手探りでUI設計しているところ
・従業員の方がマジョリティであるため、モバイルでの利用がメインユースで、多くのSmartHRアプリとは異なり、モバイルファーストでUI設計する必要があるところ

versionfive

モバイルでのインターフェース設計を切り拓いている印象を受けています!そこから他の機能にも生かせる部分が積み上がっているとも思うので今後も期待しています!

権限基盤

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

プロダクト基盤のプロダクトは「これがないと大規模組織では使えない」とか「これがあると受注確度あがりそう」というものが多く、気持ちが上がります。また、初期の SmartHR では想定していなかったマルチプロダクトな未来に対して、理想的な未来を描き、そこに向かって「どう進めれば実現できるか」を考えるのは、パズル的な難しさと面白さがあります。

u

複雑な運用を必要とする大きな組織でも十分に耐えうる設計の権限設計は非常に難解なパズルですね...!!

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

正解や参考にできる競合プロダクトも少なく、ユーザーヒアリングをしても会社に依って運用方法が大きく異なるような場合に、自分たちで正解を作らないとなと思いつつ「何が正解かはわからないから、早く出そう、でも後戻りは少なくしたい」という気持ちになる。また「本当にこれで利用者の要件を満たせるんだっけ」ともよくなる。

u

一度リリースするとそう簡単には元に戻せないからこその慎重さも必要ですが、早く提供もしたいし...とこのバランスが難しいですね。

IdP

Q. ドメインの魅力や面白さを教えてください

・SmartHRがこれまで労務、タレントマネジメントと領域を広げて築いてきた資産を活かして、新しい領域に進出していくところ。具体的には、①SmartHRが従業員データを持っており、②すでに管理者と従業員の接点として使われている、という強みを活かせるので、後発でも切り込んでいける面白さがあること。
・SmartHRのミッションとして掲げているWell−Workingとも密接につながり、あらゆるユーザーに対して価値提供できる可能性が高いこと。
管理者に対してはID管理に伴う困難さや不便さを解消でき、セキュリティを向上できる。従業員に対しては、セキュリティ向上に伴い発生する不便さ(2要素認証、強度の高いパスワード)を意識せず、業務サービスへのログインが可能になる。

ysym

ドメインとして今までとは全く異なる領域なのでそれがどうシナジーを生んでいくのかは楽しみですね〜。

Q. プロダクトを開発する中でのドメインの難しさや課題感を教えてください

・ID管理領域全体で考えると大きなプロダクトになるため、将来的な拡張性を意識しながら作る難しさがある。
・情シス領域はこれまでSmartHRを使っていないユーザーへの価値提供なので、ユーザーの業務フローやメンタルモデルへの理解はこれから解像度を上げていく必要がある。

ysym

ドメインをキャッチアップしていくのは大変な一方でとてもワクワクしますね。どこまで風呂敷を広げられるかは腕が試されるのでやりがいありそう...!!

最後に

たくさんのドメインとその面白さおよび難しさをご紹介したのですが、これはまだ全体の一部となっています。公開前の機能もどんどん開発しているのでもっと増えていきます。そして、ここでご紹介できたドメインの魅力もほんの一部となっています。もっと詳しい話を聞きたいな、このドメインについて語りたいという場合は、カジュアル面談でお話できますので是非フォームからリクエストしてみてくださいね。

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