東京大学オリジナルグッズ、UTokyo Goの全ラインナップ紹介。
今回の記事は、前回の続き。
東京大学のオリジナルグッズのブランド「UTokyo Go」について引き続き取り上げます。
ブランド名のネーミングや、ロゴマークのデザインについて触れた前編はこちらからどうぞ。
実は行動経済学の実験場所でもあるんです
さてUTokyo Goですが、単なるブランド名としての機能だけでなく、もうひとつ重要な側面があります。
それは、UTokyo Goのプロジェクト自体が、東京大学という場所を使った、コミュニケーションデザインやブランディングデザインの実験の場となることを想定している、ということ。
理系の研究成果だけでなく、行動経済学や認知行動科学のジャンルでの研究につながるのではないか、考えられているのです。
その姿勢は商品開発にも生かされていて、そのひとつの例が、ノートの表紙。
ロゴマークの入り方が、片面は縦置きに、片面は横置きにしたときに読めるように配置されているのです。なので、横開きでも縦開きでも使えます。
UTokyo Goペーパーパッド(黒)650円。表・裏の区別はなく、片面は縦開き、もう片面は横開きを想定したロゴの配置になっている。ほかにUTokyo Goペーパーパッド(金)750円もあり。
これは行動経済学でいう「ナッジ理論」の応用。
ナッジ理論とは・・・「小さなきっかけを与えることで、人々の行動を変える戦略」のこと。nudgeとは、ひじでちょんと突くという意味があるそう。ひじで軽く突く程度のささいなアプローチで人間の行動は変わる、ということですね。
このノートを売り場に並べるときに一方は縦置きに、もう一方は横置きにすると、あたかも2種類の違うノートが販売されているかのように感じます。
そうすると、人間は不思議なもので、無意識に「どちらにしようかな」と選びたくなるんですね。
人間の行動は必ずしも合理的なものではなく、ときに非合理です。
こうした商品デザインの仕掛けによって、東京大学コミュニケーションセンターという場所を使って、行動経済学の実験と研究を行うこともできる、というわけです。
UTokyoGoノートは持ち運びやすく、書きやすく、目に優しい
UTokyo Goノートは、使うのにストレスのない機能性も備えています。
サイズは持ち運びやすいA5。
ソフトカバーの表紙でめくりやすく、パッと開くことができます。
紙は、吉川紙商事の「NEUE GRAY(ノイエグレー)」を使用。
「NEUE GRAY」は、白色度を抑えたグレーの色味の、目に優しい紙。
白い紙と比べると、たしかにグレーっぽいのが確認できます。
NEUE GRAYの紙見本と普通のコピー用紙を比べてみました。ほんのりグレーがかった色味であることがわかります。ただし、NEUE GRAYだけを見ていると、そこまでグレーっぽさは感じません。
印刷適性に優れ、カラー印刷することによって色との対比でより紙色が白に近く見える、オールマイティに使える紙として開発されました。
しかしこのNEUE GRAY、印刷用だけでなく、実は優れた筆記特性ももっているのです。
薄いけれど透けにくく、鉛筆でもボールペンでも万年筆でも書きやすい紙です。
万年筆でもインクが裏抜けしません。中身は、ピンクとグリーンで方眼が印刷されています。
合格=ごうかく=五角! レアな五角形鉛筆
ノートと消しゴムに次いで発売されたのが鉛筆です。
UTokyo Go鉛筆(黒)5本入り950円。ほかに「UTokyo Go鉛筆(金)」もあり、同価格。
こちらの鉛筆の最大の特徴は、軸が五角形であること。
「五角」は「合格」と語呂が合うことから、学業における縁起物でもあります。
UTokyo Goで鉛筆をつくることになり、まずは「どんな鉛筆をつくるか」、市販されている鉛筆を片っ端から試して、いいものを見つけることに。
過去記事でも登場してくれたデザイナーの加藤さんが1本1本試し書きしていったそう。
その結果選んだのが、「三菱鉛筆uniのB」でした。
さて、次のハードルは、三菱鉛筆さんに商品開発のお話を持っていくこと。コネクションも何もない中、さてどうする……!?となったそのとき。
奇跡が起こりました。
翌日の朝礼にて、一成さんが「昨日飲み会があって、いろんな人に会ったわ〜。三菱鉛筆の副社長さんとか、◯◯さんとか、□□さんとか」
「一成さん、いま三菱鉛筆さんて言いました……!?!?」
って、スタッフみんなびっくりしたそうです。(ウソみたいな、ホントの話です。)
そんな風に三菱鉛筆さんとのご縁がつながり、具体的な商品開発が進むことになりました。
「三菱鉛筆さんとの企画打ち合わせで、いろいろと元となる鉛筆を持って来てくださったのですが、その中に軸が五角形の鉛筆がありました。
一般的な鉛筆は軸が六角形ですが、五角形の鉛筆は、学業成就にご利益のある神社で“合格鉛筆”として販売されている限定品だということでした。
UTokyo Goも合格のGoという意味を込めていたこともあり、特別に五角形鉛筆の商品化にご協力いただけることになったんです」(PM若狭さん・D加藤さん)
軸は五角形、芯は三菱uniのBでいくということが決まり、軸のデザインと塗装に取り掛かりました。
「軸の色は白に見えますが、実はノートの「NEUE GRAY」とトーンを合わせたグレーなんです」
微妙な色味の違いですが、妥協せず検証を重ねました。
途切れずサラサラ書ける、特別なインクのボールペン
UTokyo Goの商品でもっとも新しいものが、ボールペンです。
UTokyo Go CNFボールペン(黒)/(赤)各380円
東京大学での研究成果が応用された「セルロースナノファイバー」が配合されたゲルインクボールペンです。
こちらも、三菱鉛筆さんとのコラボレーション。
セルロースナノファイバー配合のインクは、すでに「ユニボール シグノ 307」という商品で使われていました。
セルロールナノファイバーとは、紙などと同じパルプを、繊維幅3nm〜4nmという小ささになるまで、ものすご〜く細かく解きほぐしたもので、これをインクの増粘剤として使用することで、筆記に適したインク粘度になるのだそう。
インク粘度を変化させることによって、早く書いても、左利きで書いても、かすれにくく、インク溜まりもできにくい、より安定した線を描くことができるのです。
さて、インクについては東京大学にゆかりの深い、このセルロールナノファイバー配合を使うとして、ボディをどうするか。
UTokyo Goとしては、「ユニボール シグノ307」に単に名入れするだけではなく、できるだけシンプルで、かっこいいボディデザインのものを新しくつくりたい。
しかし文房具を新規でボディからつくろうとすると、ロットは最低でも10万本単位が一般的。ボディの金型からつくって、機械を動かすのですから、そのくらいの本数を一度に生産する必要があります。
しかし、全国展開というわけではなく、東京大学コミュニケーションセンターとオンラインショップという、極めて限られた場所でしか販売していないUTokyo Goでは、そのロットを超えることは難しい。
そこで考えられたのが、「現在市販されている他の商品のボディと、インクを組み替える」という技です。
uniのボールペンは、商品によっては芯とボディの互換が可能なものがあり、UTokyo Goにふさわしい組み合わせが生まれたのです。ボディは既存商品の「ユニボールシグノ RT1」の型を使っています。
ボディに印字する「UTokyo Go」のロゴマークも、いくつか検証したそう。
ノートと鉛筆についての記事を読んでくださった方ならもうおわかりでしょう。
そうなんです、ロゴマーク部分も、最終的には白ではなく、グレーで印字されています。
このボールペン、本当に書きやすいんです。私も、先日2本目を買い足したところです。東京大学のお土産というだけでなく、日常的に使える実用品。
ぜひ手に入れてみてくださいね。
さて、私も先日初めて東京大学コミュニケーションセンターに行ってきたのですが、なんとこれまで見たことも、話に聞いたこともないノートを発見!
表紙にドットの箔押しが施されているではありませんか。
すかさず、「これ見つけたんですけど、限定品か何ですか?」とPM 若狭さんにお聞きしたところ………
「見つけていただけましたか! それ、スペシャル版です!」
とのこと。
若狭さんによると、こちらの限定版ノート、
数量は少なく、かなりのレアものらしい。
箔押しは、もう1パターンあるらしい。
こりゃ手に入れるしかありません。
UTCCオンラインショップでも限定版として販売中なので、見つけたらぜひぜひゲットしてくださいね。
<店舗情報>
※新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、臨時休業または営業時間の変更などが生じています。(2020年4月10日現在)
お出かけになる際はオフィシャルサイトにて最新情報をご確認ください。
また、オンラインショップでの注文受付も現在停止中です(2020年4月10日現在)。
■ 東京大学コミュニケーションセンター(本郷キャンパス)
場所:東京都文京区本郷7-3-1
■ IMT Boutique+UTCC(JPタワーメディアテク内)
場所:東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 2・3階
■オンラインストアはこちら(4/10現在、注文受付停止中)
さらに、『日経クロストレンド』および『日経デザイン』にて好評を博している連載記事、「デザインの限界」の最新記事でも、UTokyo Goが取り上げられています。無料会員登録をしていただければどなたでもご覧いただけますので、こちらもぜひご覧になってみてください。