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「法学部?じゃあ弁護士とかになるの?」→よく聞かれる法学部の現実 後編
前編のあらすじ
法学部生というと弁護士などの士業や企業の法務部、裁判所職員など「法律関係の仕事」を目指すイメージがあるものの、9割は他学部生と同じような就職を果たします。
むしろ世間のイメージ通りの就職を果たす人は「ガチ勢」と呼ばれるほどに珍しいです。原因は一言でいうと、大学生活や新卒就活と相性が悪いからなのですが、そんな法学部の現実の後編を述べていきます。
現実その4 就活で資格が役に立たないから
資格は基本的には新卒就活では高く評価されません。嫉妬です。
それ以外の部分、具体的には
・学歴
・容姿
・性格
・サークル活動
・コミュニケーション能力
・適性診断の結果
などの実績やエピソードで総合的に判断され運の要素まで絡みます。
新卒は基本的に業務未経験であり、知識も皆無です。インターンやアルバイトをしていたとしても、正社員から見れば50歩100歩の実力差といったところでイチから一斉に教育・研修を積ませていきます。
文系学部である以上は営業部などに配属し、自社の商品やサービスを熟知させたいので、法務部や総務部などに配属ということはまずありません。
そういった部署は新卒で入ることはそうそうなく、事業の流れや会社の中身をよく知っていないと配属されることは難しいでしょう。
業務に必要な資格や検定があれば、働きながら取らせるというスタンスです。
というか、最初から資格がある新入社員は、中途半端に知識とプライドがあって扱いにくく、辞められやすい、無資格でも実績を積んできた先輩や上司とのチカラ関係が崩れるなどのというリスクがあり、敬遠されます。
このため、企業側は将来的には有資格者への成長を求めるものの「新卒就活の時点では資格は要らない、意味が無い」ということにしているのです。
※就活市場で出てくる大人はこういった本音と建前が上手です。
大学生にとって就活は一番の山場です。
就活及びその後の人生を良くするために大学に通っていると言ってもいいぐらいなので、資格が就活の役には立たないどころか敬遠の対象になるというのであれば、わざわざ資格を取って、卒業後は資格業をやろうって発想にはならなくなるんですよね。
もちろん、資格が役に立たないからといって、何も頑張らなくていいというわけではありません。
資格の1つや2つ取れるぐらいの勤勉な努力はどのみち、遅かれ早かれ必要になります。そして無勉強・無資格のまま若い時代を過ごしたことを後悔することになるでしょう。
※資格に対する個人的な見解
就活や転職に資格は要らないと言われていますが、俺は断固として資格必要だと思っています。
有資格者でなければ仕事にならない、というよりも、資格を在学中に取るくらいの勤勉さや勉強のやり方や勉強をする習慣が身についていないと、学びながら働くという新卒の最初の数年間は非常に厳しくなります。
たとえ新卒就活~第二新卒の時点では無資格でもやっていけるとしても、無資格のまま、不自由なく定年までやり過ごすことは不可能だと思います。30歳前には、資格による正確な知識や信用が必要だと気づき始めるなど壁のようなものに当たるはずです。
現実その5 士業業界がブラック
就活に資格が役に立たないといっても、いくつか例外があります。
士業事務所(法律事務所、会計事務所、○○士事務所、○○○士法人など)は別です。
資格の有無が絶対的な業界であり、このような業界であれば若くして有資格者、もしくは受験経験者は有利です。それだけで採用ということも有り得ます。
法学部生が本来進むべき一番ぴったりな業界のように見えます。
しかし、これだけは言っておきます。
士業事務所は大抵どこもブラックです。
悪いことは言いません、新卒・無資格で士業事務所だけはやめておきましょう。
職業自体はどの資格も素晴らしいのですが、勤め先として選ぶのはおすすめしません。
善い先生もいらっしゃいますが、少なくとも自分が勤めてきた事務所や面接を受けた事務所には、正義は感じられませんでした。
楽そうだけど給料が低い傾向にある事務職のなかでも、例外的に専門性と給料が高くて、在庫も抱えず、小資本で独立開業も狙える。
という、いいところ取りのイメージがあります。実際はそこまで都合の良いものではありませんが、他の職業が選べなくなるほど強烈な魅力があります。
働きながら資格と経験を積んで30歳前後で独立しようと誰もが一度は、事務所の求人を探します。
しかし、企業の面倒を見る会社とは思えないほど労働条件が悪いです。どこまで行っても結局は小規模な中小企業がほとんどなので、昇給やボーナスも期待でできません。
手取り11~15万円台
年間休日105日
平均勤続年数5年以下
週2~3で飲み会
残業月60時間で残業が美徳
社長(所長)の時代錯誤なパワハラ、モラハラと社員の監視癖
告知なしで夏ボーナスが0円
ハローワークにも「ここだけはやめとけ」と言われ、いわゆるブラックリスト入り
1年目は鞄持ち、土曜も無給で勉強会
みたいな事務所が多いです。
全て経験しましたし、全てが詰まった事務所に入り、労基署に突撃もしました。
大きい事務所であれば良いというわけではありません。「入ったら56される」「仕事は手抜きでぼったくり」「その辺の事務所よりはマシというだけで、ホワイトとはいえない」など、同業他社からも評判が悪い大手事務所もあります。
正直、一般企業の経理や総務をバイトや派遣でもいいから経験しつつ、資格の勉強をしたり、月に1冊のペースで実務書を読んだ方がいいです。事務所に勤めても独立できるだけの実務経験はなかなか身につきません。
いずれにしても、新卒カードを使ってまで入るようなところではありません。
これが家庭や企業の面倒を見る士業事務所の現実か・・・と。
就活を意識し始めて色々調べていくうちに現実を感じた学生は、当然士業を目指さなくなります。
本当に親の事務所を継ぐ、たとえ日陰者の人生になろうとも士業になりたいと特別な執念を燃やす人でもない限り、新卒で士業になるのはやめておいた方がいいです。
これが法学部生がガチ勢の就職を目指さない最大の理由です。
まとめ 現実その6?法学部じゃなくてもガチ勢になれるし、法律の勉強はできる。
本記事では、法学部生が世間の想像と違って、意外と弁護士などガチ勢の就職をせず、普通に就職していく現実を解説していきました。
ですが、法学部に行ってもガチ勢の就職はできないのかと、悲観することはありません。法学部に進学して法律の勉強をしたかったと悲しんだり、法学部の通信課程に入学したりする必要もありません。
法学部に行かなくても、ガチ勢の就職はできます。法律の勉強や資格試験の挑戦は、誰にでも平等に与えられた権利であります。
むしろ、法学部に進んだ方が色々嫌な現実を知って、諦めてしまうかもしれません。
実は、ガチ勢、特に士業はむしろ法学部以外の出身、大卒でない人のほうが士業となり、活躍している人が多いです。
転職に失敗したり、離婚、失業、病気を経験した人や、学歴や職歴に自信のない人が一念発起して目指すことが多いです。救済措置のようなものでしょうか。
多くの士業資格は受験資格がなく(もしくは緩い)ひたすら勉強を頑張ればいつか必ず手が届くようにできています。
就活の面接のように、いろんなものをあーだこーだと求められることはありません。
むしろ法学部や事務所の経験を経ない方が成功する、といえます。
工業高校や商業高校で身につけた資格と知識を活かす先生、水商売や教員の経験を活かして売れている先生など、世の中には多種多様な先生が活躍されています。
仕事で身体を壊して今の仕事ができなくなり、身体を動かせない代わりに頭を動かせる仕事をしようと行政書士になった美容師や、弁護士になったアナウンサーもいます。
国際社会学部などの出身で語学が堪能な人が行政書士の資格を取り、外国人の入管手続きをやっている。
建築学科卒で一級建築士を持ちながら司法書士も持っていて、自分が設計した建物を、自分で登記してその後もその建物で過ごす会社や家庭のお世話をする。
他学部他学科の学問+法律系資格という強みを活かして、法律だけ勉強してきた法学部卒の先生よりも優秀なんてことも有り得ます。
このように、一度社会に出てからのほうが魅力・適性を感じるような資格が多いため、学生のうちには色々なものを両立しながら目指そうという気持ちにはなかなかなれないのかもしれません。