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about T'z (teachers singing on the street)

T'z について

 平成11年1月9日に結成され、同5月から平成23年8月までの毎週金曜、雨の日も風の日も休まずに、某JR駅前の路上でライブを続けた、高校教師によるフォークデュオである。

 ボーカルを担当するのは体育教員ケンタ、ギター・コーラス・ブルースハープを担当するのは英語教員カズヲ。ふたりは同じ学校で教鞭をとり、文化祭や放課後にライブ活動をしていた。

 平成9年にカズヲが別の学校に異動となるが、ふたりの音楽活動は、体育教官室で続けられた。そんなある日、オリジナルを作って路上で歌ったらどうだろう、という話がもちあがった。

 当時のふたりの学校は、家庭の事情で放課後に行き場のない生徒が少なからずいた。それなら、あの時間あの場所に行けば必ず誰かがいる、ということをコンセプトに路上ライブは始まった。

 はじめは、路上で歌うことにいくらか抵抗があり、目立たないようひっそりと演奏した。数名の生徒や卒業生を前に数曲を歌う。慣れてくるとデパート閉店後の入口の真ん前に移動した。

 1年が過ぎ50回を越えるころには、立ち止まって聞いてくれる人が増えはじめた。感想を言ってくれたり、手紙をくれたりする人もいた。常連の生徒や卒業生の数も多くなった。

 100回を過ぎると、テレビ撮影やラジオ出演、雑誌や新聞の取材が立て続けに来るようになる。更新していた路上日記の出版の話まであり、一躍、というより、一瞬、時の人となる。

「路上」いわさき出版

 それから、各地の学校や自治体からライブの依頼があり、都内だけでなく、関東を中心に遠くは新潟の内野中学校や三条市民会館でも歌った。お金は少なかったが、それでも楽しかった。

 フジテレビやNHKに映像がながれると、次の金曜、路上には100以上の人が集まって驚くと同時に、警察の目もきびしくなった。出る杭は打たれる、それからマスコミ出演は自粛した。

 都立学校では生涯学習の一環として、都民に公開講座を行っており、ふたりはそこで「フォークギター弾き語り教室」を行い、路上ライブとともにまた多くの人と知り合うことになる。

 路上には相変わらず様々な人たちが訪れ、なかには亡くなった人たちや、そこで知り合って結婚した人たちもいた。とにかく、ふたりを中心に巨大コミュニティができた。それがT'z である。

 時は過ぎ、600回を経たころ、カズヲは心身をこわし休職する。それとともに休むことなく続けてきた路上ライブも、とうとう途切れることとなる。歌うためには、教員でなければならない。

 セブン・ザ・ユースのあとがきに書いてあるように、その後カズヲは復職するが、ふたりの路上ライブは復活しなかった。ただ、時おりどこかのライブハウスで、歌声を響かせている。

 note に上げてきた歌詞は、カズヲの作品の一部である。以前は自主制作したアルバムやユーチューブに音源をアップしたりしていたのだが、ネット上の日記も休職とともにすべて廃棄した。

 ここに上げた詞も、少しずつ思い出しながら打っている。上げている理由は、セブン・ザ・ユースを上げた理由と同じで、自分が作ったものは、同時に、自分が生きた証だからである。

教え子によるカズヲの水彩画

1st album / made in the classroom
2nd album / long long homeroom
3rd album / see you on the street



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