淡いもの

よくは思い出せないもの

あの人の声

僕が青かった頃
見惚れて買った青いギター

あの人の前で弾いてた
ハーモニーを誤魔化して

ブリッジが剥がれてしまった
役目を終えたかのように

あの人の声

よくは思い出せないんだ

あんなに一緒に歌ったのに

炎は蒸気となり
切なさと蒸し暑さだけを残す
ゆらゆらゆらめいて
苦さが瞳を潤ませる
若さを棒に振るような生き様
今はもう見えない炎
青いギターは音もなく佇んでいる

※岡真史君へ捧ぐ