大家業を通して感じたあれこれーまずは自己紹介ー
私は都内に住む主婦で、家業の不動産賃貸業に従事している。都内で古くからこの地に住む家に嫁入りしたのは30年前で、義両親から引き継いだ賃貸不動産の管理をしたり、借地人との交渉をしていく中で感じたことを書き綴っていこうと思う。
まず「賃貸不動産のオーナー」と聞くと財産があってうらやましいだとか、ましてや都内での不動産経営だと「お金持ち」だとか思われそうだが、そのように簡単なことではすまない様々なことがあるのが現実である。それでも先祖から引き継いだ不動産があること自体は恵まれているとも思うし、相続などで失われないように努力してきた先人たちの苦労と努力には敬意を払いたい。私自身はサラリーマンの家で育ち、小さな家を地道にローンを払いながら手に入れた両親がおり、自分達は決して贅沢などできなかったことを残念に思っていたようだ。
この家では義両親と二世帯住宅にはなっていたものの家の中は自由に行き来ができる構造になっており、それは「同居」とも呼べるもので、子どもが小さいうちはまだしも長年のうちに、支配的な義母に対しては私は日々ストレスを募らせるようになって階下で響く義母の足音などにイラついたり、時には怒鳴り込んでくると心臓の動悸が止まらなくなることも度々ある。義父がすでに他界し、長男である夫が居るのにいつまでも家長のように振舞って、長男夫婦に常に支配的でいることに対し呆れるばかりである。そんな苦労も義母が我が家の不動産の一部を持っていたり多くの預金を持っていたりするからであって、こういった家にはありがちなのではないかと思う。自営業は両親が居なくならないと息子の好きなようにはできないというがそれと同じだ。
そんな家族関係はあるものの、この家で賃貸不動産の管理が家業であるため、自ら行っている管理業は多岐にわたり、我が家のノウハウを引き継ぎながらやっていくこと自体はやりがいがあり、わたしにとっては楽しいものなのである。
人に住む場所を提供し、お金を払って使っていただきながら、我が家のビジネスとして収益を生んでいることを誇りに思うと同時に、人生の数年間を過ごす空間を提供すること自体に大いに責任を感じる。ビジネスとしてうまくやりながら人として誠実に入居者に接しつつ社会に貢献していくのが自分の使命だと思っている。
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