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水曜日
2024年11月8日 00:35
深夜の病棟は、消毒液の匂いだけが廊下を歩いていた。私は夜勤の巡回を終え、ナースステーションに戻ろうとしていた。「あの、すみません」振り返ると、403号室の前に小さな女の子が立っていた。真っ白なワンピース。手には折り紙。「こんな時間に廊下を歩いちゃダメよ。お部屋はどこ?」「ここです」女の子は403号室を指差した。でも、そのはずはない。403号室には末期がんの老婆しか入院していない