最凶のぼっち飯
皆さん、こんにちは。ぼっち飯大好き。木賃ふくよし(芸名)です。
いきなりですけれど、本日は前振りも短く、ぼっち飯について語りたいと思っています。
ぼっち飯。
一部界隈では「孤独死」と並ぶぐらいに恐れられている存在だ。
その上位には「便所飯」ってのがあるらしいが、ワタクシはこの存在を疑っている。てか、一人で隠れて飯を食う場所ぐらい何処にでもあるだろうに、わざわざ便所で食うって所に嘘くささを感じているので、マックのJKとか、ラノベの表紙を見て「お父さん、気持ち悪い」って言う娘ぐらい嘘くさい。
そして、基本的に、
ぼっち大好き人間
であるワタクシにとって、ぼっち飯の何が悪いのか、何を恐れるのかがまるでわからないのである。
そう。ワタクシ、そこいらの人間からしたら、
キング・オブ・ぼっち飯
の称号を貰ってもいいぐらいに、フィアレスぼっち飯なのである。
フィアレスぼっち飯。ぼっち飯デアデビル。ワタクシが一人で行けない飯屋などない。
※ 金銭的理由などを除く。
男女でその難易度に差があるようだが、ワタクシからすりゃ微々たるモンだ。以下はネットで調べたぼっち飯難易度。下に行くほど困難であるとされるが、ワタクシゃ全て余裕である。強いて言うと、自分で好んでは選ばない、というだけに過ぎない。
◎…好んで行く。 ○…普通に行ける。 △…理由があれば行く。 ✖︎…行けない。
この3つに分けて、個人的感想で解説していこう。
カフェ△ 単純にカフェの料理では腹が膨れないので選ばない。
ご飯屋 ◎ 大好き。
ハンバーガーショップ △ 値段の割に腹が膨れないので選ばない。
ラーメン屋 △ ラーメン通が鬱陶しいので好まない。
学食・社食 ○ 大好きだが、学生でも社員でもないので行けない。
牛丼チェーン店 ◎ 安くて早くて米粒が食えるので大好き。
立ち食いうどん・そば ○ 好きだけど、座りたい。
バー ◎ 経営してたから平気。
回転寿司 ◎ 座った瞬間すぐ食える。最高。
ファミレス △ 昭和の、高い癖に美味しくないイメージが強いので選ばない。
カジュアルレストラン ◎ 大好き。
居酒屋 ○ どうしても安くはならないので、あまり選ばないけど好き。
焼肉 ○ 気兼ねなく肉を食えるのは最高だろ。
鍋・しゃぶしゃぶ ○ 個室でぼっち飯とか王様じゃねーか。
高級レストラン ○ 最高の贅沢。
と言う訳で、✖︎はナシ。全部行ける。
正直、◎と○に差はなくて、単純に金銭的な問題が主な相違点だ。
金さえあるなら、ぼっち焼肉も、ぼっちフレンチも、ぼっち懐石もウエルカム。
ちなみにカフェなら△だが、昭和の喫茶店なら◎である。あと、インスタ映えとか気にしてる女子が沢山いるような場所に、おっさん1人が入って行ったら、彼女らのムードをブチ壊してゴメンね!って気持ちになるからカフェは好まないだけで。
強いて言うと、白い壁に無機質なテーブル、みたいなデザイナーズ・カフェなんかは、飯屋と言うより、美容室で飯を食わされる気がして好みではない。
ラーメン屋はラーオタの通気取りが好きじゃないだけとか、ハンバーガーショップは、かつて働いていた経験からか、今ひとつテンションが上がらないとか、あるにはある。しかし、ぼっち飯が苦手な訳ではない。
いずれにせよ、洒落たカフェやデザートパーラーのような、女子だらけの空間に小汚いおっさん1人が侵入していくのは、女子に悪い気がするので気が引けるだけで、入るのは平気だ。
一人焼肉とか、同席者がホルモンを食えるかどうか、とか、レストランでも皿のシェアを気にせず、料理を独り占めできるのもいい。
料理に集中できる。食べる速度(ワタクシは爆速)を相手に合わせる必要もないし、支払いで揉める事もない。誰かと食う飯も美味いが、1人で食う飯もまた、美味いのである。
そんなワタクシが唯一、
二度と1人で行きたくない
と思う飯屋がある。
話はいつもの20年前ではなく、がっちり30年前まで遡る。
当時、ワタクシはプールバーで働いていた。店は地元だが、いわゆる校区からは少し離れていたので、知り合いに会う事は少ない。しかし、商業施設の少ない田舎だから、ビリヤードで遊びたいと思った人間がいれば、逆に高確率で出くわす。
2年ほど働いていた筈だが、偶然に再会した知人は10人未満だろう。※ 交流があったから遊びに来たケースなどを除く。
同級生のO橋とは、偶然、店員と客という形で再会した。
(´・Д・)」 あれ? 久しぶり。今、何してんの?
( ・∇・) 今は、「竹取姫(仮名)」ってお好み焼き屋でバイトしてるよー。
(´・Д・)」 場所は何処? 2号線沿い? じゃあ今度、食いに行くわー。
ってな会話をした。
※ 会話は一連のようだが、正しくは、入店時に「あれ? 久しぶり」で、退店時に「今度食いに行くわ」である。また、店の名前も調べたところ、系列店と思しき店舗があったので仮名にしておいた。
ってな訳で、その週だか翌週だかの日曜日の昼間、ワタクシはお好み焼き屋「竹取姫(仮名)」を目標にバイクを飛ばした。
ワタクシはプールバーで働いていたので基本は夜の勤務。ただ、日曜だけは昼過ぎからのオープンだったため、昼時に飯を食えば丁度いい出勤時間になる予定である。
当時はスマホどころか携帯電話も普及していない。ポケベルが流行する直前ぐらいだろうか。地図を調べるアプリ以前に、インターネットもないのだ。ロードマップにも細かい店舗まで載っているはずがなく、バイクを走らせながら、目的地周辺を隈なく探すしかない。
予想に反して、「竹取姫(仮名)」は簡単に見つかった。毎日通っている道で、名前も知らなかったから、探すのに苦労するかと思ったが、あっさりと見つかった。単にお好み焼き屋だと思っていなかっただけで、興味の対象になっていなかったのか、認識されていなかった模様。
思ったよりも遥かに大きい店で、バイクを停める場所を心配していたのに、駐車場はめちゃくちゃ広く、自転車・バイク用の駐輪場まである。てか、田舎なのでウチのプールバーも巨大だったが、割と近しい大きさ。
この時点で嫌な予感はしていた。しかし、それが何なのか、30年前で経験の浅いワタクシにはわからなかったのである。
何も考えずに、店内に入る。
すると、視界に入ってきたのは、
まるでファミレス。
そう。国道2号線沿いの巨大なお好み焼き屋。それは、ファミリー向けの、完全ファミレス形式お好み焼きチェーン店。席はファミリーとカップルで埋まっていた。明るい店内。最小テーブルで4人掛け。テーブルは巨大な鉄板。そう。
ぼっちで来る場所では
なかったのである。
ミスった。これは完全にミスった。しかし、入店した以上、帰るのも失礼である。とりあえず、食って帰るべし。ワタクシは意を決した。
あとは、O橋が休みである事を願うまでだ。
本来ならバイトで出勤している可能性が高い日曜日を選んだが、今はO橋と出くわしたくない。
( ・∇・) 「1名様ご案な…って、木賃くんホントに来たんだ(笑)」
(´°Д°)」 って案内係がO橋じゃねえかよ!!
しかも絶対いま「コイツ1人で何しに来たの?」って半笑いを浮かべたよな!?
案内された席も、小さい子供が2人いたら6人は座れる席だああぁぁああ!?
周囲もほぼ全席埋まってて、ファミリーとファミリーとファミリーとカップルとファミリーとカップル & ファミリー。
(´°Д°)」 この状態で1人でお好み焼きをつつけって!?
拷問だよゥッッ!
これだったら「満席です」って断られた方がマシだった!
今なら!! 2021年現在なら!! 周囲のことは忘れてスマホでもいじってりゃイイけど、当時はそんなモン何もありゃしねえ!!
ワタクシも普段なら文庫本の二、三冊は持ってるんだけど、バイク出勤の途中だから何ひとつ持ってない!!
ただ、巨大なテーブルの鉄板を見るしかないのである。あるいは、虚空を見るしか。
地獄だ。これは地獄だ。
店員がオーダーを聞きに来る。O橋じゃなかったのが救いだろうか。
鉄板という虚無を見つめていたら、ようやく、テーブルに注文したお好み焼きの、
材料が運ばれてきた。
(´°Д°)」 材…料…?
そう。この店は、熱々に焼けた鉄板付きテーブルと、お好み焼きの材料を提供する店なのである。
要するに、「よーしパパ、愛する家族のために特大お好み焼きを焼いちゃうぞー!」「ダディクール!」とか、「カオリチャン、ボクがキミの為にお好み焼きのスペシャル小手捌きを見せつけちゃうからね!」「いや〜ん!ヒロシくんカッコイイ〜!」って言う店なのである。
店内に漂う、ラブ・アンド・ハピネス空気。
道理で周囲のテーブルが超☆和気藹々としてるワケだ。
(´°Д°)」 ココは、、、地獄か、、、?
ワタクシは虚空を見つめながら、刻みキャベツとお好み種を混ぜる。
ねりねりねりね。
灼熱の鉄板に豚肉敷いてー、敷いてー、焼いてー、焼いてー、
ねりねりねりねしながら、焼けるのを待つー(待つのー)
そしたら、ねりねりねりねに練りに練ったタネをー、肉の上から流し込んでー、適度な厚さとー、大きさにー、
ひ・ろ・げ・て♪
フタをかぶせてー、ヤキヤキー、焼き焼きー、焼くのはイイけど、妬いちゃダメなんだからね☆
今日は、楽しい〜、アナタと〜(キミと〜)
お こ の み 焼 き 〜 ♪
(´°-°)」 ← 無我の境地。
(´°-°)」 ← 焼き上がるまで、無我の境地。
途中、(´°口°)」 お好み焼きが裏返ったァッッ!!を1回挟みつつ、
(´°-°)」 ← 無我の境地。
(´°-°)」 ← 焼き上がるまで、無我の境地。
(´・Д・)」 以後30年、ワタクシは、これ以上キツいぼっち飯を味わった事がありません。他の誰の話を聞いても、最愛に比べれば最凶なんて!って思ってる。
※ この記事はすべて無料で読めますが、これ以上のぼっち飯を体験してないと思った人は投げ銭(¥100)すべきだと思いました。
なお、この先には「特に先もない、未来もない後日談」が書かれています。
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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。