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「とりあえずビール!」を哲学する。また、ドイツビールのおいしさを回顧する。
ビール(Bier)が苦手な若者が最近増えてきているらしい。僕は飲み会で「とりあえずビール!」と頼む人間なのだが、他人も「とりあえず」なのかはきちんとヒアリングする必要がある。
ここから大きく2つの事柄が取り出せるだろう。1つ目は、昔(?)の「最初は絶対にビールを頼む」という暗黙の常識が常識でなくなったということ。2つ目は、自分がビールを好んでいるからといって相手がビールを好んでいるわけではないので、そのことを配慮すべきだということだ。その配慮が新たに常識となりつつある。
本記事の目的は、以上の2つの事柄について――簡単にではあるが――検討することである。なお、タイトルで「哲学」という語を用いたが、哲学史的な概念でもって当現象を分析するわけではない。「改めて考えてみた」という程度の意味合いである。
1. なぜビールは「とりあえず」頼むものでなくなったのか?
なぜ、ビールを「とりあえず」で頼めない人が出現したのだろうか。これには2つの理由があるように思われる。
1つ目は、アルコールが弱い人は飲まなくてもよいという雰囲気が醸成されたからである。この雰囲気の形成には、素直に自分の意見を発信できるSNSが寄与したのだろう。歴史上下戸がいつの時代も存在していたことを考慮すれば、今まで声を出せずに我慢して飲んでいた層がいたことが声をあげたのだろうと推察できる。
要するに、「当然ビールだよね!」という考えがハラスメントになりうるということをみんなが考慮するようになったということだ。
2つ目は、ビール特有の問題、すなわちビールの味を好まないという人が増えたからである。この現象はビールに限らずブラックコーヒーなどにも当てはまる。つまり、これらの飲み物は飲み慣れるのに一定の時間がかかるということである。
一方、最近は若い女性客向けに「かわいくてオシャレでおいしい」お酒が増えた。この洒落ており飲みやすいアルコールの登場によって、対極に位置づけられる(旧来の父権主義をも想起させうるような)ビールは徐々に選ばれなくなっていったということが考えられる。
以上、ビールを「とりあえず」で頼まなくなった背景を考察した。ここで、一つ疑問がある。その疑問とは、いつから「とりあえずビール」という常識が定着したのかということである。Wikipediaによれば、高度経済成長期に定着したらしい。すなわち、「とりあえずビール」は一定期間に限って流布した常識だったのである。
2. 自分が好んでいるものを、相手も当然好むものだと想定してはならない
本章では、「とりあえずビール」のある種の押しつけがましさ(Aufdringlichkeit)を検討する。その押しつけがましさは「とりあえずビール」を言明する者が有する前提に由来すると思われる。
その前提とは、「自分が有している信念は相手も当然有しているはずだ」という前提である。言い換えれば、自分が抱く「ビールを好んでいる」という信念を、相手も当然有しているはずだという前提である。
この前提が問題なのは、相手が「ビールを好んでいない」という場合があるということだ。すなわち、前提が偽である場合があるために「とりあえずビール」を相手に確認を取らずに言明することは許されないと言うべきである。
頼まれてもいないのに、勝手に注文してはならないのである。
なお、ここでの「自分の有する信念は相手も当然有しているだろう」という前提が人間関係のもつれを生じさせる大きな要因となっているとも指摘できる。
以上、「とりあえずビール」の押しつけがましさを検討した。
3. 結論
本記事では「とりあえずビール!」という言明について検討した。
第1章では、「とりあえずビール」を常識という観点から分析した。その常識は、飲めない人にとっては「とりあえず」はありえないことと、洒落た酒が増えビールの優先度が下がったことによって廃れつつあることを見た。
第2章では、「とりあえずビール」を発話者の前提という観点から分析した。その前提は「自分の信念を他者も有するだろう」という前提であり、そこには発話者の身勝手さが表れていると言える。
以上、(分析哲学風の文体で)「とりあえずビール!」について考察した。
4. うぇいから一言
ここではオマケとして、若者のビール離れの要因について少しばかり考えたいと思います。その一番の原因は、ビールの味にあるのではないでしょうか。本文でも触れましたが、おしゃんで飲みやすいお酒が広まったことによって、わざわざビールを飲む必要がないと考える若者が増えたのでしょう。
個人的には「ビールのおいしさを知らないのは人生損してるよ!」という信念を抱いています。そこで、「ビール苦手だよ~」という人はドイツのビール(Deutsches Bier)を飲んでみたらどうかと提案します。
なぜ、ドイツのビールをオススメするのか。それは、日本のビールよりもフルーティーでさわやかなビールがあり、「ビールの味が苦手で」という人でもおいしく飲める可能性があるからです。(まぁドイツのビールでもダメだったらお手上げです。)
ミュンヘンにて ↓
ケルンにて ↓
残念なことに、日本ではドイツのビールはほとんど流通していません(大手飲料メーカーの策略!?)。もし旅行などでドイツに行く機会があれば、チャレンジしてみてください。
思考の材料
その他
ドイツ留学
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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