『せりふの構造』読書ノート3
第二章 劇作家の臨在
・ディアローグとの間に・・・モノローグに似通ったいくつかの台詞の類型・・・傍白、長台詞、口上
1.傍白とモノローグ
・傍白はモノローグの一種類、もしくは下位クラスを構成するものと言ってよい。
・傍白は原則として約束事の言葉である。
>傍白(ぼうはく)は演劇で、作中人物が、相手役には聞こないという約束事の上で、観客だけに知らせるかたちでしゃべる台詞。内心のつぶやきなどをあらわす。わきぜりふとも(wikipedia)
2.裂目としての傍白
・傍白とは、現実のつぶやきに連なる非コミュニケーションの言葉であり、ディアローグの中途に挿入され、しかもディアローグの連続を見出さない非連続的な短い言葉であることを以て本領とする、約束事に支えられた台詞である。
・傍白は劇的な言葉というよりも、劇構築的な言葉と言ってよい。傍白は内世界的には、常に人物のなかの他人にはかくされた心から発する心の言葉である。しかし、その孤独の心を見せるのは作者であり、そこに作者の影がさしているわけである。
3.長台詞
・長台詞は、ディアローグの一部分に置かれた言葉が、対話的な対面性の論理をこえてふくらむときに現象する台詞である。
4.デュオと二重モノローグ
・二重モノローグ・・・二人の人物が相互に全く無関係に、相手の存在を知らずにモノローグを述べあう・・・
・「二人で一つの言葉」・・・デュオ・・・
・デュオが表現している心的状態は、一つの利害もしくは関心を共有しあう二人の人物の相互作用・・・
・傍白は非コミュニケーションゆえ、長台詞はその長さゆえ、デュオはそれを語る人物たちのこころの一体性、一元性ゆえに、モノローグと近似したものであった。
・これら三つの台詞類型が、それぞれに劇作家の介在を窺わせる、ということである。
2022/08/24 12:06