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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2024年7月の記事一覧

【*】神話論理は表層四項、深層四項の八項関係で世界の起源を分節する -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(67_『神話論理3 食卓作法の起源』-18)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第67回目です。『神話論理3 食卓作法の起源』の第三部「カヌーに乗った月と太陽の旅」の最後のところを読みます。 これまでの記事は下記からまとめて読むことができます。 これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。 レヴィ=ストロース氏は『神話論理』で神話を分析する目的について次のように書いている。 神話は「経験的区別」を「概念の道具」として「抽象的観念」を抽出する。 これ

法界と共鳴しつつ生きていることを知る -中沢新一著『精神の考古学』をじっくり読む(9)

中沢新一氏の『精神の考古学』を読む。 + + 私たちの「心」は、普段、あれこれの物事を、 好き/嫌い 損/得 うまい/まずい 良い/悪い ある/ない うち/そと 容器/中身 などと分けては、 「あちらではなく、こちらを、絶対に選ばなければならない」 という具合に働いている。 「好きなものだけを選びたい、嫌いなものは選びたくない」、「安くてもまずいものは食べたくないが、高くて美味いものも食べられない。どこかに安くて美味いものはないかなぁ」と、これらは一見するととても「良

亀のはなし / 二項対立を分節する脈動たちを多様に変調しながら重ね合わせると、世界の現れ方が自在になる -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(66_『神話論理3 食卓作法の起源』-17)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第66回目です。『神話論理3 食卓作法の起源』の第三部「カヌーに乗った月と太陽の旅」の最後のところを読みます。 これまでの記事は下記からまとめて読むことができます。 これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。 「ふたつの虹」『神話論理3 食卓作法の起源』p.188に掲載された神話M417を見てみよう。「ふたつの虹」という神話である。 まずはどういう話か、様子を見てみよう