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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2021年2月の記事一覧

両義的媒介項としての宿神 -中沢新一著『精霊の王』を精読する(2)

中沢新一氏の『精霊の王』を精読する連続note。 第一章「謎の宿神」を読む。 ◇ 「侍従成通卿と言えば、比類のない蹴鞠の名手と讃えられ…」(『精霊の王』p.4) この一節から始まる第一章は「蹴鞠」の話である。 「精霊の王」たるシャグジ−宿神は、日本列島に国家が成立する遥か以前から祀られてきた神である。 その精霊の王の話をするのに、なぜ国家が成立して数百年を経た後の時代の芸能のことから始めるのか? 実は日、本列島が国家の「国土」となりその地表の大半の領域からシャグ