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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2020年4月の記事一覧

隔絶を刻み・短絡する -クロード・レヴィ=ストロース『仮面の道』を読む

差異と映じるものを、同一のものと観る。 AとBは別々のものだけれども、AとBは同じだ、とみる。 異なるが同じ。 異ならないが同じでもない。 なんだか訳のわからないことを書いているなと思われるかもしれないが、実はこれ、”異ならないが同じでもない”こそが、私たちが日々何気なく喋ったり聞いたりしている言語に”意味する力”を与えている。 人間の言語は、例えば「りんご」という音で赤くて丸いあれを"意味する"ことに依って成り立っている。 しかし考えてみれば、り・ん・ごという音とあ