生死、善悪、あらゆる対立を区切る「線」を引く -パウル・クレー『造形思考』より
神話的思考という切り口から人類に普遍的な「頭の働き方」の癖を捉えようとする試み。
そうした試みとして、ユングやレヴィ=ストロースに勝るとも劣らない独自性を発揮するのがパウル・クレーである。
パウル・クレーの『造形思考』日本語訳は、なんと文庫本で、クレーの描いた図像を大量に収録するというたいへんな代物である。
さて、読み始めるとのっけからこれである。
「二元論は二元論として扱われるのではなく、相互に補充しあう統一のなかで考えるべきである。確信はすでにできた。善と悪との同