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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2017年10月の記事一覧

「誰にとっても同じ意味」へと向かう、数千年の歴史 −読書メモ:アンドレ・ルロワ=グーラン『身ぶりと言葉』

 以前、「都市」という、確率を制御するための人工空間について論じる際に取り上げた、アンドレ・ルロワ=グーランの『身振りと言語』。  今回は「意味」という問題に関するお話である。『身振りと言語』では、言葉が「手」そして「声」から切り離せないものであることが指摘される。 文字以前 言葉といえば、純粋に頭の中、心の中のものであり、泥臭い「手」や、いい加減な「声」とはレベルが違うと考えがちである。  しかし「手」や「声」こそが言葉の最初の住処であった。  文字が使われるように

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