学問は心のトレーニング~東洋哲学・陽明学入門~【第10回京都えびす大学】
2021年2月20日、~東洋哲学・陽明学入門~【第10回 京都えびす大学】を開催しました。
陽明学とは、「三方よし」の近江商人、幕末に活躍した「吉田松陰」「勝海舟」「西郷隆盛」、日本資本主義の父「渋沢栄一」など多くの偉人が学んで実践した学問であり哲学です。今年の大河ドラマ「青天を衝け」も注目です!
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今回のテーマは「学問の工夫」
学問の工夫は「トレーニング(実践・反復練習)」あるのみ!
しかも「心の在り方」と関係します。
学(がく)を為(おさ)むる工夫(くふう)を論(ろん)ず。
先生曰(いわ)く、人(ひと)に学(がく)を為(おさ)むることを教(おし)うるは、一辺(いっぺん)に執(こしつ)すべからず。
この当時の「学問」というのは、「徳のある人物になる」ということ。今の言葉で言うと、「思いやりのある強さと優しさを兼ね備えた人になる」ということです。
学歴・資格などの「知識」や「技術」だけではない、人格のもとになる根っこをどう養うか、ということが「学問」の大きなテーマとしてありました。
だからこそ「一つのやり方にこだわってはいけない」と、王陽明はいうのです。
初学(しょがく)の時(とき)は、心猿(こころが)意馬(どうよう)し、栓縛(おちつ)き定(あんてい)せざるなり。その思慮(しりょ)する所(ところ)、多(おお)くはこれ人欲(じんよく)一辺(いっぺん)なり。
「徳のある人物になりたい」と思い始めてすぐの頃は、まだ多くは「人欲」一辺。
「人欲」とは、「不安」や「恐れ」など「自分を守る」こと、「私利私欲」に意識が向いている状態です。「うまくやれるかな」「バカにされないかな」「カッコ悪いところをみせてしまわないかな」「周りからよく思われたい」など、自分がまわりからどう思われるか気になって「不安」なときってありますよね。そういう時は「心」が動揺して落ち着かない。
じゃあ、そういう時はどうしたらよいか??
その答えも王陽明は語ってくれています。
故(ゆえ)に且(しばら)くこれに静坐(せいざ)して思慮(しりょ)を息(しず)むることを教(おし)え、これを久(しばら)くしてその心意(こころ)の稍(やや)定(あんてい)するを俟(ま)つ。
そういう時は「静坐(せいざ)」して心をリラックスさせて、「息」=「呼吸」を整えて心を静めるんですよね。
陽明学でいう「静坐」は仏教のように「座禅」という形が決まっているわけではなく、座っていても寝転んでいてもリラックスして自分の心を観察できれば良いのだそうです。
そうして、「モテたい」「お金がほしい」「有名になりたい」など「私欲」がないかその都度確認し、よくない考えは改めて「病根」を抜き去り、また起こさないようにして、はじめて気持ちの良い人物になれる。
と王陽明は語っています。
京セラの名誉会長、稲盛和夫さんの言葉
「動機善なりや、私心なかりしか」
にも通じますね。
最後の感想では、
SNSは人を見てうらやましいと感じたり、「私欲」を強くすることにつながっているんじゃないか・・・
だからこそ「心」が誰かとつながっているといいなと思いました
こころよしを大事にしたい
普段の生活で「欲」を優先したりちゃんとした判断ができていないので、ちゃんとしようと思いました
今日初めて知ったことがあり、すぐにはできなくても、ふとしたときに思い出すんじゃないかと思いました
など、それぞれに、いろんな気づきを得ていただけたようです。
次回は、3月6日(土)10-12時
「学問の用功」というテーマから学びます。
2021年1~3月は「学問」シリーズです。
・今の「教育」に「課題」や「疑問」を感じている方
・「理想の教育」をイメージされている方
・自分自身の「成長」のヒントにされたい方
・子どもや後輩の「育成」に悩んでいる方
ぜひ、一緒に学び合いましょう^^
▼第11回 京都えびす大学
3月6日(土)10-12時「学問の用功」
前回までの様子はこちら ↓
次回も深い学びを楽しみに(*^_^*)