親とのお別れで後悔しないために
自分の親や親族が介護の状態になり、次第に弱っていく。
そのような姿を見て、諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。
また、介護の状態になった方ももう終わりと諦めてしまうかもしれません。
しかし、終末期に移行してからの身体の変化の過程を知ることでこれからすることが見えてきます。
そのようなことを現場で見てきたことを元にして書いてみたいと思います。
今日の記事で介護の状態にある人の残りの人生の時間がなんとなく見えてくると思います。
また、家族や周囲の人たちも、だいたいの残りの時間を知ることができますし、そうすると亡くなるその時までやり残したことをしようと行動出来るのではないかと思います。
1、人間が最期まで食べるものは何か?
もうかれこれ、介護の仕事を20年ほどやっています。1年間ほどケアマネージャーをしましたが、それ以外は現場で働いています。
現場にいると、亡くなる方が当然でてきます。1年間に10人くらいだったとしても、もう100人以上はみているかもしれません。
当然ですが、その過程もみています。
15年ほど、特別養護老人ホームにいましたから、なおさら、介護度の重い方、認知症の方、看取りの方も多く、最後は施設で息を引き取った方も多いです。
身体的に低下していく時は、食事に関しては、法則性がありますのでご紹介します。
1-1:果物は最期まで欲する
食事に関しては、まずはご飯が食べられなくなる人が多いです。実際は、介護の状態ですと、総入れ歯、部分入れ歯の方が圧倒的に多いですから、軟飯と呼ばれる柔らかめのご飯やお粥にして食べている方も多いですが、それでも、ご飯を食べる量が減ってきます。
または、野菜を食べなくなる方もみえます。
やがて、全体的な食事量がどんどん落ちてきます。油っこいもの、肉類、魚類も食べなくなってきます。
最終的には、果物やゼリー、果物ジュースなどを口に入れるだけになります。よほど、甘いものが嫌いな方でない限り、果物やジュースは口に入ると思います。
甘いもの、糖分は人間にとって心地良いだと思います。
自然界で一番手軽に食べることができるものが果物ですからね。
野菜は生で食べられるものが少ないのですが、果物はそのまま生で食べられ糖分が補給できます。
水分量も徐々に減ってきますから、水気のあるものを少し欲するとだと思います。
どんな果物がいいかは、本人の好みとその季節によります。
ジュースだと、桃、りんごなどは万能な感じがします。
果物の場合は、苺、桃、ぶどう、みかんなど水分の多いものが好まれるようです。
むせこみがなければ、バナナも有効でしょう。
1-2:甘いものは好まれる
食事が減ってきた人でも、和菓子好きな人なら、あんこも有効です。
ご飯は食べられなくなっても、あんこの甘さは好きな方が多いです。
ケーキやヨーグルトはだめでも、あんこなら食べる、そんな方もいました。
加工された食品よりも、シンプルな食べ物のほうが好まれるようです。
やはり最期は、糖質、甘みが好まれます。小豆かぼちゃもおすすめです。
2、終末期に入るサインとは?
どこからが終末期なのか、一般的にはとても分かりにくいと思います。
食事量が減ってきたら、それは終末期のサインです。
1ヶ月、2ヶ月と続けばもう寿命が迫ってきているということです。
食事量が減ってきて、高カロリーゼリーや高カロリー飲料を提供される施設がほとんどです。
それで一時的には持ち直す人もみえます。
または、経管栄養を勧められることもあるでしょう。
ですが、ここでは、食事のみで対応するパターンを述べていきます。
食事量が減ってきて、急に寝たきりになる人と、徐々に食事量が減っていき弱ってくる方がみえます。
いずれにしても、1年先のことは分からない状態ですから、やり残したことがあればやっておいたほうがよいでしょう。
また、食事量が変わっていないのに、痩せてきたら、それもそれほど長くないサインです。
そういう方はいずれ動けなくなる日が近いことが多いですから、最近、介護の状態の方が痩せてきたなぁと感じたら、その方の残りの時間は少ないことを自覚されたほうがよいでしょう。
急に様態が悪くなり亡くなる方もみえるのですが、一般的には、徐々に食事量が減っていき亡くなるケースが多いです。
そのためにも、施設入所されている方の、日常の食事量は定期的に確認されるほうが良いと思います。
または、写真を撮影しておき、3ヶ月前、半年前と比べてみると良いです。すると、比較ができますから、対象の方の状態をある程度確認することができます。
3、終末期にも食べられるものを考える
ここでは終末期でも食べることのできるものを考えてみたいと思います。
最後だからこそ、少しでも食べることのできるもの、喜んでもらえそうなものを選びたいものです。
3-1:高カロリーゼリー・飲料について
介護施設では、一般的には、食事量が減ってくると、高カロリーゼリーや飲料を提供するケースが多いことは紹介しましたが、メリット、デメリットがあります。
まず、高カロリー飲料、エンシュア・リキッド、エネーボ、ラコールなどがよく使われます。
これは実際に飲んでみるとよいのですが、3食ともに1缶ずつ飲むとかは飽きがくるし、人工的な甘さを飲み続けるのは結構きついものです。
しかも、終末期になると、意識がはっきりしない、寝ているような状態も多いですから、本人の意志とは関係ないケースもあります。
次第にこれらの高カロリー飲料を嫌がるようになることもよくあります。
これは高カロリーゼリー類にも同様のことが言えます。
ブリックゼリーがよく使われますが、これも甘みが強く、3食ともに食べるのは、人によってはしんどいかもしれません。
こちらも一度試食してみて下さい。
それで、自分だったら食べたいだろうか考えてみると良いと思います。栄養剤に関してはまた別で述べてみたいと思います。
3-2:終末期の食べ物応用編
まずは本人の好きなものであることが重要だと思います。お酒が好きならそれも良し。甘いものが良ければそれも良し。
本人の意志があるなら、それを優先されると良いと思います。
3-3:水分は重要です
用意できるならば、美味しいお茶、山の湧き水、天然水などが良いと思います。
お茶に関しては、好みにもよりますが、野生と同じ環境下で育てられたものか自然農で育てられたほうじ茶、大麦の玄麦を自分でフライパンで炒って麦茶を作るか、あるいは自然農で栽培された麦茶でお茶を用意できれば最上だと思います。
介護施設のお茶は安く味はそこそこのものが多いためです。
それならば、身体が喜ぶ美味しいものを飲むほうが良いです。幸せです。
3-4:水気の多い果物
果物ですが、栽培されたものでも、桃やぶどう、スイカなどでも美味しいのですが、自然農か野生と同等条件で栽培されたものか野生の果物があれば、それを試されてもベスト。
なぜなら、それらは、甘さは強くありませんが、身体が欲する甘さで食が進む場合があるからです。
山ビワ、スイカ、いちじく、柑橘類などは手に入れやすいと思います。
3-5:日本の甘味の基本
とっておきは、小豆であんこを作る時に、砂糖を入れるのではなく、干し柿かナツメを入れてあんこを作ることです。
ドライのりんごでもできます。
果物の甘みの小豆あんは最上級の美味しさで、高齢の方も喜ばれるでしょう。食事がほとんど取れなくなってきても食べられる可能性があります。また、ようかんも甘さがストレートに伝わり、口当たりも良いでしょう。
まとめ
終末期と終末期の食べ物について考えてみました。
今回のことを読んでも、終末期に関してはピンとこないかもしれません。
介護状態の親や親類の方がみえても、想像がつかないかもしれないですね。
しかし、終末期はあっという間にやってくるものです。
食事量が減ってくると案外その先は早いものです。
食事量が減ってきた時点で、効果カロリー食品か経管栄養をすると、寿命自体は伸びるケースは多いですが、意思疎通が続くかどうか、身体の機能面が維持できるかどうか、保証はできません。
なので、終末期に関することは、事前に調べ、できれば本人、家族が終末期をどうしたか話し合っておくか、ある程度、方針を決めておいたほうが、後々慌てません。
終末期と言えれども残された大切な時間です。限られた終末期の時間を諦めることなく、悔いなく生ききることができるように願っています。
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