キリマンジャロ登山記【Day1-2】
Day1
昨晩から雨が降り続き、不安を抱えた初日だった。朝イチでガイドの車に迎えに来てもらい、キリマンジャロ登山口の一つであるマラングゲートに向かう。
実はキリマンジャロには複数の登頂ルートがあり、有名なものだと5泊6日でテント泊のマチャメルートと、4泊5日で山小屋泊のマラングルートがある。高山病の恐れがあるため、高度順応のあるマチャメルートを選択したかったのだが、11月は雨季真っ只中、全日程大雨のこともあるようで、テント泊のマチャメルートは絶対にやめた方がいいとガイドに言われた。したがって、4泊5日、4日目の午前0時から登頂アタックをするマラングルートで登ることにした。
モシから車で1時間ほどでマラングゲートに着く。高校時代だったら部活がオフになるくらい
のそこそこの雨が降っていて、やや気分が重い。雨が弱まるのをまって、結局12:00過ぎに標高1879mのマラングゲートをくぐった。
3時間くらい歩いて標高2720mのマンダラハットに到着する。キリマンジャロ登山は最初の3、4日はイージーで、登頂アタックの日のみ超ハードというのが定説だが、初日からめちゃくちゃしんどかった。まず、鬱陶しいくらい雨が降っている。地面も悪く、水溜りやぬかるみを避けながらずっと下を向いて歩かなければならなかった。そして、ガイドの歩くペースがやたら早かった。雨で出発が遅れて焦ってるように見えた。この日先導してくれたのは副ガイドのエマニュエルで、チップ額の交渉もこの人だった。polepoleな人が多いタンザニア人の中でもキッチリしたタイプの人なんだと思う。ともあれ、歩くのがびっくりするくらい早かった。最後に、めちゃくちゃ暑かった。まだまだ20°Cくらいあって、湿度100%の中カッパを着て歩くので、とにかく汗をかいた。最後はカッパも脱いで、エアリズムの肌着1枚だけになって歩いた。
15時過ぎには1日目宿泊地点のマンダラハットについたものの、疲れに追い打ちがかかる。登山時はツアー会社のポーターが付き、寝袋や上着などの大きな荷物は運んでくれるのだが、預けていた荷物が雨でびしょびしょになっていた。寝袋と、登頂日までは絶対cleanに保てと言われていたダウンジャケット、靴下が引くほど濡れていて、大きな不安を募らせた。それだけじゃなく、当然スマホの電波は通じないし、トイレの鍵は閉まらないし、夕方になって急に寒くなってきたし、でも着る上着は一個もないし、この先大丈夫かと心配になった。
Day2
朝起きても雨は止んでいなかった。服も全く乾いていなかった。朝食では芋をすりおろして水と砂糖を加えたようなお粥が出た。正直しんどかったけど無心で餌のように食べるのは得意なので頑張って食べた。3人中自分以外の2人はお腹を壊していて、5cmくらいある生の生姜を渡され、全部食べろと言われていた。
予定よりゆっくりして、午前9時に標高2720mのマンダラハットを出発する。この日は3720mのオロンボハットを目指す。昨日よりも雨はひどく、川のようになった獣道を歩いた。1時間くらい歩いたところで、forestを抜け、moon landなるエリアに入った。少しずつ木々の背が低くなり、草が増え、時折岩肌が見えるようになってきた。イメージは阿蘇山とか秋吉台とかのカルスト地形で、背の低い草と岩で見通しがよく、歩いていて気分の良い景色だ。
3時間くらい歩くと雨も上がり、晴れ間が見えるようになった。途中で軽食休憩を挟んだり、キリマンジャロにしか自生しない珍しい植物を見たりしながら歩くこともう3時間、全6時間の行程の末15時ごろにやっとオロンボハットに着いた。この時遅めに食べた昼食のパスタ(ビーフソースがけ)が美味しすぎて、今月食べたもので美味しいランキング1位を更新した(11/17日時点)。
この日全6時間の行程は、かなりpolepoleなペースで歩いた。スマホをいじらず、一歩一歩足を踏み出すことだけを考えて、いろんなことに思考を巡らせて、素晴らしい時間を過ごした。暇になった時は、ガイドとスワヒリ語で下ネタを話してゲラゲラ笑った。ponyetoって単語の響き、めっちゃ面白くないですか?ぽにぇーと。ポニェート。
まだ富士山以下の標高で高山病の心配はなく、電波も繋がり、景色もよく、このオロンボハットが一番良い思い出として心に残っている。晴れていたので服を干したら一瞬で乾いた。標高が高く気圧が低いと水分が蒸発しやすくなるような気がするけど真偽の程は調べてないので不明。夜に小屋から出ると星がすごく綺麗に見えた。星の数が多すぎて星座は見つけることができなかった。