『日向郷土志資料』は、昭和6年1月に創刊され、柳田國男によって次のように紹介されている。
さすがに早くから妖怪研究に着手した日野巌氏の主催する会だけあって、柳田國男の目にも止まったのであろう。
日向郷土会の活動については、当時の会規約で当初より研究会としての機能を果たしていたことが伺える。
こうした研究会の活動も個人中心で運営してきたこともあってか、昭和一四年九月、廃刊となる。
最終巻には次のような言葉が挙げられている。
この後、日向郷土会は『日向郷土読本 第一巻』(日野巌・日向郷土会編 一九三九)や『その日その日宮崎県』(日向郷土会編 日向郷土会出版部 文華堂出版部 一九七四 三)等の出版物を出している。
『日向 郷土志資料』
「創刊号」は、当時から入手困難だったようで、第十輯(昭和八年二月)の付録として部分的に再録されており、その凡例に当初の目次が掲載されている。
・創刊輯、昭和六年一月、美濃判謄写版刷
※宮崎県立図書館にレファレンス依頼したところ、延岡市立図書館に所蔵しているとのことで、さっそく複写してきましたので、アップしておきます(2022年7月22日)
・創刊輯再版 昭和八年二月
創刊号の再録の前に、昭和七年九月に「特集」として、第二・三輯を合巻して訂正増補の上再版した。以下に再版に記してあった目次を掲載する。
・第二輯、出版年月不明
・第三輯、出版年月不明
・第四輯、昭和六年九月、菊判活版刷
・第五輯、昭和七年一月、菊判活版刷
・第六輯、昭和七年六月、菊判活版刷
・特集 再版第二・三輯、昭和7年8月
・第七輯、昭和七年十月、菊判活版刷
・第八・九合輯、「霊峰霧島山」特集、昭和八年一月
・第十輯、昭和八年三月、菊判活版刷
・第十一・十二輯「日向の青島」特集、昭和八年四月、菊判活版刷
・第十三輯、昭和八年十月、菊判活版刷
・第十四輯、昭和九年五月、菊判活版刷
・第十五輯、昭和十年二月、菊判活版刷
・第十六・十七合輯「佐土原・妻・西都原」特集、昭和十三年四月、菊判活版刷
・第十八・二十合輯「日向郷土読本」、昭和十四年九月、菊判活版刷
日野巌氏の経歴
日野巌は、一八九八年山口県生まれ、東京大学農学部卒業後、大正十五年に宮崎高等農林学校教授となる。宮崎県の自然や民俗に注目し、日向郷土会を主宰、雑誌『日向(郷土志資料)』を刊行する。昭和十五年には県立上代日向研究所の民俗部主査となる。昭和十七年に陸軍司政官として南方に転出し、その後、山口大学教授・宇部短期大学教授を歴任し、昭和六十年に逝去された。
<著書目録>
日野巖(1926)『趣味研究 動物妖怪譚』養賢堂(復刻 有明書房 一九七九)
日野巖(1927)「日向地方妖怪種目」『民族2(3)』民俗発行所日野巖(1927)「宮崎県宮崎市付近(俗信)」『民族2(6)』民俗発行所
日野巖(1928)「日向南部の河童」『民族3ー3ー5』 民俗発行所
日野巌(1929)「新義眞言宗本山より日向寺院へ觸狀 日野巖 氏報」村上専精他編『明治維新神仏分離史料 続編 巻下』東方書院
日野巌(1929)「仁和寺門跡より日向寺院へ觸狀 日野巖 氏報」村上専精他編『明治維新神仏分離史料 続編 巻下』東方書院
日野巌(1929)「東諸縣郡高岡町松尾山本永寺の廢寺 日野巖 氏報」村上専精他編『明治維新神仏分離史料 続編 巻下』東方書院
日野巌(1929)「佐土原吉祥寺及其末寺の神佛分離幷廢寺 日野巖 氏報」村上専精他編『明治維新神仏分離史料 続編 巻下』東方書院
日野巌(1931)「木喰上人作牛王寶印」日向郷土会編『日向 郷土志資料 1』文華堂
日野巌(1931)「妻萬宮大般若経」日向郷土会編『日向 郷土志資料 1』文華堂
日野巌(1931)「鶉車」日向郷土会編『日向 郷土志資料 1』文華堂
日野巌(1931)「景清考」日向郷土会編『日向 郷土志資料 2』文華堂
日野巌(1931)「日向妖怪種目」日向郷土会編『日向 郷土志資料 2』文華堂
日野巌(1931)「ロといふ接尾語」日向郷土会編『日向 郷土志資料 2』文華堂
日野巌(1931)「爐の周囲の座席名」日向郷土会編『日向 郷土志資料 2』文華堂
日野巌(1931)「石奈古に就て」日向郷土会編『日向 郷土志資料 2』文華堂
日野巌(1931)「ジョのつく方言」日向郷土会編『日向 郷土志資料 2』文華堂
日野巌(1931)「日向方言語原考(一)」日向郷土会編『日向 郷土志資料 3』文華堂
日野巌・遠藤茂(1931)「日向方言語彙(人倫)」日向郷土会編『日向 郷土志資料 3』文華堂
日野巌(1931)「霧島山の佛法僧」日向郷土会編『日向 郷土志資料 3』文華堂
日野巌(1931)「日向社寺明細記(一)磐戸神社」日向郷土会編『日向 郷土志資料 4』文華堂
日野巌・遠藤茂(1931)「日向方言語彙(人倫の部)」日向郷土会編『日向 郷土志資料 4』文華堂
日野巌(1931)「再びジョのつく方言に就いて」日向郷土会編『日向 郷土志資料 4』文華堂
日野巌(1931)「日向郷土誌文献目録(一)」日向郷土会編『日向 郷土志資料 4』文華堂
日野巌(1932)「日向の景清傳説」日本放送協会九州支部編『放送講演集 第5輯』日本放送協会九州支部
日野巌(1932)「日向の民家間取(一)」日向郷土会編『日向 郷土志資料 5』文華堂
日野巌・遠藤茂(1932)「日向方言語彙(天文の部)」日向郷土会編『日向 郷土志資料 5』文華堂
日野巌(1932)「日向女子名の統計的考察」日向郷土会編『日向 郷土志資料 6』文華堂
日野巌・遠藤茂(1932)「日向語彙(風呂の部)」日向郷土会編『日向 郷土志資料 6』文華堂
日野巌(1932)「日向女子名の統計的考察補遺」日向郷土会編『日向 郷土志資料 7』文華堂
日野巌(1932)「日向語彙(植物)」日向郷土会編『日向 郷土志資料 7』文華堂
日野巌(1933)「九州の鄕土玩具とその鑑賞」『放送講演集 : 九州郷土講座』日本放送協会九州支部
日向郷土会編(1933)『日向 郷土志資料 8・9合輯 「霊峰霧島山」特集』文華堂
日野巌「青島素描」(1933)日向郷土会編『日向 郷土志資料 11・12合輯 「日向の青島」特集』文華堂
日野巌「海幸、山幸伝説のわに」(1933)日向郷土会編『日向 郷土志資料 1・12合輯 「日向の青島」特集』文華堂
日野巌・遠藤茂(1933)「日向語彙(動物の部)」日向郷土会編『日向 郷土志資料 13』文華堂
日野巌編(1939)『日向郷土読本 (日向 ; 第18~20輯)』文華堂
日野巌(1941)『高千穂宮 附・高千穂宮考証資料』日向社
日野巌(1942)『日向方言論考 (研究資料 ; 第1)』上代日向研究所
日野巖(1942)『日向方言論考(研究資料第一)』上代日向研究所
日野巌(1941-1943)「やまうばのかみのけニ就テ」『宮崎高等農林学校学術報告 第13号』宮崎高等農林学校
日野巌(1960)「霧島の素描」中村治四郎編『霧島山』朋文堂
日野巖(1978)『植物怪異伝説新考』有明書房
日野巖(1978)『植物歳時記』法政大学出版局
【文献目録】
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