梅の咲く季節に
先日、東京でも梅の開花のニュースがありましたね。
今では「まだ寒いなあ」という季節に咲く印象かと思うのですが、暦はもうすぐ春。なんといったって新春ですからね。春告花と言われているだけあります。
わたしが梅という花を好きになったのは、ここ数年のことです。
はっきりとしたきっかけがあるわけではないのですが、お酒を飲むようになって梅酒の美味しさを知ったり、『応天の門』という漫画に出会って菅原道真を好きになったり、そんなところかなあと思います。
あとは、フジファブリックの「Gum」。
梅は梅ガムの匂いがする だから好きだと
何気なく言ってたけどそれもまだよくわからないんだ
ここだけ引用してもよくわかりませんね。ぜひ聴いてください。
まさに今の季節、そしてこれから春にかけて……冬のキンとはりつめた空気の中を、歩きながら聴くのが好きです。
花を見てさまざまな想いを馳せることは、はるか昔からくりかえされてきたことですが、やっぱりわたしも、桜は寂しくなります(やっぱり、というのは、やはり「Gum」の歌詞の中にもあります)。
もう少し違う言い方をすると、満開の桜より、散りゆく桜が好きです。
あの、なんとも言えない、どこか重たい春の空気を、切り裂くように桜は散っていく。
それに比べると、梅は静かに花を開き、いつのまにかこぼれているような印象があります。
反対に、共通して思うことは、「別れ」です。
わたしの中で「別れ」につながる言葉は色々あるのですが、梅も桜も、そのひとつです。
ただ、少し違うのは、桜は「別れてしまった」という過去を、梅は「もうすぐ別れが訪れる」という未来を、それぞれ想わされます。
よくよく考えてみれば、道真の有名な「東風吹かば」の歌も、梅に「忘れないで」とこれからを想っている。
そういうものなんでしょうか。わかりませんね。でも、わたしは似たような感覚でいるのかもしれません。
桜は美しいからこそ苦しい。
けれど梅は、ただ美しい。
そんな風にも思います。そこにいてくれるだけでいい。
梅にはまだ未来があります。
わたしも、わたしの未来にと、生きていきたいものです。
梅の咲く季節に想いを馳せながら。
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