大人の読書感想文:企業進化を加速する「ポリネーター」の行動原則
実はアタクシ、「大企業とスタートアップは、相容れるなんてありえない!」と思っておりました。(はい、全国の協業実践者の皆さん、本当にゴメンナサイ。)
でも、最近の大企業の変容ぶりったらどうでしょう!業務に対する価値観も、立ち位置も、構成する社員のマインドセットも、、、全く異なるスタートアップ企業とうまくやっている企業がドンドン増えていっている気がするのです。
もちろん、変わる企業もいるし、変わらない企業もいる。その明暗を分けるのは何なのだろうか?という問いにうまくマッチする書籍に出会ったので紹介したいです。
とはいえ、これは読書感想文。概要や内容にはあまり触れません。概要は他のサイトを参照してくださいね。
この本に書いてある結論を先に言っちゃうと、そのスタートアップと一緒にやっていける度量を持つ企業には「ポリネーター」という2つの企業をつなぎ合わせる媒介者がいる。となっている。
確かに、この書籍の事例を見ていると、たしかに大企業に属しながらも、スタートアップの目線に立てるような「異分子」的な人が何名も出てきます。
ただね、私にはソコにちょっとした違和感を感じちゃうんです。本当に「ポリネーター」の存在が、協業の要になっているのか?と、、、
もちろん、協業のための重要なペースの一つだとは思うのだけど、そのポリネーターが大企業の中で存在できる、という空気感自体がもっと重要なキーを握っているような気がするんです。
どうしても大企業とか老舗企業というものは、業務を効率化するために「組織」を形成しなければならないし、その組織も「分業」を基本としている関係上、会社内の組織は、各々に与えられた分業体制で「最適化」を目指すことになる。
この「最適化」ってやつが厄介で、いまある事業を効率的に運用しようとすればするほど、「余白」というものがなくなり、「新しいことへのチャレンジ」という事ができなくなってくる。そして、仕事はシステムチックになっていき、誰がやっても一定の効率が出るようになっているんですよね。
でも、スタートアップの仕事って、誤解を恐れずに言えば、究極の属人化業務。創業者もしくは創業メンバーの熱意だけで初めていって、効率化を進めたり、ルール化する前に「今、出来ることをする」という最適化とか効率化とは真反対の思想で動いている。
その価値観のすり合わせをしていくのが「ポリネーター」の役割、と定義つけしているのだが、これだけで説明がつくのであろうか?
スタートアップ側には「大企業の価値観はこういうもんだよ」という説明は理解されやすいと思うが、大企業側に「スタートアップの価値観はこういうものです」と説明したくとも、関係者が多すぎて、ポリネーターがいくらいたって説明しきれないような気がするんですよね。
なので、私が想定している仮説としては、「大企業に創業時の心意気が残っているのか?」がポリネーターが企業に存在でき、そして、その心意気が社員に伝えることができるキモなのではと思っています。
大企業だろうが、老舗企業だろうが、最初はどんな企業でもスタートアップだと思うんですよね。でも、前述のように効率化が進んでだんだんと、その心意気というかマインドセットが薄れてきて、入ってくる社員も「冒険と挑戦」よりも「安定と安寧」をもとめて入社してくるので、ますます創業初期の心意気を忘れていくのではないか、、、と。
今はかなり少なくなりましたが、実はこの「創業時の精神」というものを伝承するためにも「社史」というものは重要なパーツだったのでは、と感じています。
少なくとも、この本に書かれている事例には、どこか「起業時の精神」が伝承されていて、それが外部のスタートアップとの協業の際に「どこか懐かしい感じ」を彷彿させるのではないか?とちょっと夢っぽいことを感じるのであります。