大人の読書感想文:世界「失敗」製品図鑑
もう、悔しいったらありゃしない!
何のことかって?著者の荒木博行さんの才能です。世界「倒産」図鑑や、ビジネス書図鑑、藁を持って旅に出よう、等、すべてに共通するんですけど、読みやすいし、内容は示唆に富んでいるし、何よりイラストが可愛くて印象深い!天は二物以上に何物与えているんだって!って話ですよ。
初っ端から、感情丸出しで書いてしまいましたが、それくらい読みやすくて面白い本です。
いつもの通り概要や書評は他のサイトにお任せします。(さすがにflierでも、まだ概要はアップされていませんね。)
この手の「失敗」とかネガティブ要素って、通常相当古いお話をもって来たり、既に倒産した企業の実例(コダックとかね)を持ってくるじゃないですか?でも、この本の凄いところは、「つい最近」の出来事で「現存する企業」の失敗を掘り起こしているところ!(一部古い実例もありますが)
おそらく、アカデミックな大学の先生が書くような題材だと、現存する企業に迷惑のかからないような「差しさわりのない事例」を取り上げるのでしょうけど、この本で取り上げるのはapple、google、任天堂、sony、等々の現存する企業の失敗事例ばかり。このアグレッシブさには感服いたします。
(とはいえ、荒木さんもグロービスに在籍してましたが、、、)
ただ、ここで取り上げらる企業に共通しているのは、失敗を糧に次のステージにチャレンジしている事。
ここは重要な視点なんだと感じました。よく、「成功の反対は失敗ではなく、何もしない事」と言われますが、まさにそれですね。成功には失敗がつきものだし、チャレンジしなければ成功も失敗もありゃしない。
GACKTだけでなく、古くから言われている話見たいですけどね。(それにしても匿名掲示板というのは人の上げ足ばかり取りたい人の集まりだな。。。苦笑)
個人的に「これは意図された失敗なのではないか?」と思ったのが、ネットフリックス社のクイックスターの分社の事例。
書籍の中では「ネットフリックスが生まれ変わる転換点」としていますが、創業者のリード・ヘイスティングスが意図的に仕組んだ失敗劇だったのではないか?と感じちゃいました。
なぜならば、会社の体質って、そこで成功体験をつかんじゃうと中々変えられないもの。ネットフリックスも郵送DVDレンタルという勝ちパターンがある中で、ネット配信に舵を切るって容易なこっちゃない。
いくらトップダウンが効くアメリカ企業とはいえ、中で働く人たちの心はそう簡単には変わらないでしょう。そういった意味合いでも、あえて逆境を作り出すことで、企業全体の体質を変えていったのではないか?とうがった見方をしてしまいました。
自分自身も企業内で組織風土の改革を進めようとしてますが、これはなかなかうまくいくもんじゃない!まさに平時の危機感を如何に共有できるか?
これは頭ではわかっていても、行動に起こすのは、なかなか厳しい。しかも個人でなく、組織だとしたらもっと厳しい。
なので、敢えて「致命傷にならないくらいの怪我をしてみる」というのも、組織の自己変容を促すツールなのかもしれません。
この本に書かれている企業は、すべて「失敗」から多くの事を学んでいるような気がします。どれだけ「失敗」を多く重ね、そして多くの事を学べるか?ここが組織の強味なのかもしれませんね。
なにはともあれ、どんな視点からでも楽しめるし、学びが多い書籍ですので、是非手に取ってお読みください。
(なんどもいうが、イラストが可愛い!)