【詩】坂道
夏の終わり
学校帰りに駅からの坂を下る
黄色い自転車はスピードを上げて
踏切を渡る
線路の一つ一つを超えるたびに
ガタガタと響く大きな音は
私たちを引き離そうとして
うまくいかない
ひとつめで人差し指を
ふたつめで中指を
みっつめで薬指を
よっつめで小指を
腰に絡めて
頬を背中につける
ねえ
知っとう?
正面に見える月
横向いて知らん顔をして
うちらのことをちょっとだけ引っ張ってる
自分の方に
自分も今気付いたよね
私が後ろにいることに
ちょっとだけ引っ張ってみたんよ
遠くを見て知らないふりして