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ルーマニア、知っている単語が2つ。それだけだと世界遺産の町にたどり着くのは難しかった。

10年以上前の話。

ルーマニアの東北部にある町、スチャヴァに行く機会があった。
ウクライナとの国境に近い町である。

ちなみにルーマニアは、ドラキュラ伝説発祥の地。
冒頭の世界地図で見るとこんな位置関係。
地図は、GoogleMapから引用

「首都から離れた国境に近い町にいったい何の目的で出かけたのか?」
このスチャヴァのあるブコヴィナ地方には、美しい修道院がある。
世界界遺産の指定を受けているこの美しい修道院、「5つの修道院」の観光拠点がこの町なのである。

海外で住んでいた冬の寒い時期、路面が凍結し、外出するのを面倒に感じていた。そんな時、高樹のぶ子氏の「百年の預言」を読む機会があった。

この本を読んで、ブコヴィナ地方に興味を持ち、ここにある「5つの修道院」のことを知った。そして、いつか行ってみたいと思っていた。

残念ながらルーマニアの知名度は、日本では決して高くない。

ルーマニアに行くツアーはあるものの、この地方まで観光するツアーは非常に限られていた。
しかもツアーの値段が高いし、休みが合わない。

何年も現地に行くことがかなわずにいた。

ところが、10年以上前の夏、セルビアに行く機会があった。
その時に調べていると、夏の間はブルガリアから、ルーマニア、ウクライナを経由してロシアに行く国際列車があった。

セルビアの首都ベオグラードからブルガリアの首都ソフィアまでは夜行列車が通っている。
またベオグラードも、ソフィアも何となく地理感があった。

「じゃあ、まずはブルガリアの行こう」

思い立ったら吉日、ベオグラード駅にソフィア行きの国際列車のチケットを買いに行った。
(今みたいにオンライン予約や購入はできなかった)
そして、翌日の深夜発の列車が空いていたので乗車券を購入。

翌日の夜、ベオグラードを旅立ち、ソフィアには翌朝到着した。

ソフィアの駅に着いてから、たらい回しにされつつめげずに国際列車のチケット売り場にたどり着いた。

翌日の夜ソフィア駅を出発する同じく国際列車の乗車券を購入した。

翌日の夜、薄暗いソフィア駅の乗り場でドキドキしながら国際列車の入線を待った。

今回予約したのは2人部屋の寝台列車(ソロ個室はない)。
途中までは一人だったが、ブルガリアの国境近くで同乗者が現れた。
どうもウクライナ人らしい、初老の女性。

私はブルガリア語もルーマニア語もロシア語もわからない。
彼女は英語はわからない。
残念ながら、会話は成立せず。

それでも、居心地が悪いわけでもない列車の旅が続いた。
昼過ぎに、目的地のスチャヴァの駅に到着した。

スチャヴァの駅と町の中心がある市街地は離れているそうな。
しかも歩いていくのは、たいへんらしい。

両替所を探したけれどなく、駅の中にATMはあるものの故障中。
加えて英語は通じず。
とりあえず町の中心に向かうバスに乗った。

降りるときに料金を支払おうにも、両替していないからルーマニアのお金はない。仕方がないので、2ユーロコインで払おうとしたらダメと言われた。
(硬貨は基本的には両替対象外だから)

ここで、英語で両替してくれとバスで呼びかけたけれど通じず。
(無視されていたかもしれないが)

ルーマニア語を話そうにも、私の知っている単語は2つ。
「ありがとう」と「5」のみ。

これだけでは勝負にならず。
結局、運転手に財布の中にある10ユーロ紙幣を抜き取られた。

残念だけれど仕方がない。

「言葉がわからなくても、何とかなる」

あのセリフは、必ずしも正解じゃないことを肌で感じた体験だった。

町の中心についたので、予約していた宿に向かった。

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