「”それ”がいる森」を観てない人間はつべこべ言わず観てキレてください。

観ろ。

「いきなりなんだコイツは低評価のおそらくクソ映画のリンクを貼って押し付けくさってからに、時間の無駄だ観るわけないだろ」と思っているお前に言ってんだ。

観ろ。

初めに言っておこう、この映画はいわゆるホラー映画ではない

言ったからな、僕は言ったぞ、ホラー映画じゃないって。じゃあ何映画だよって感じですが、上質なサメ映画です。わかるでしょ?サメ映画。サメを用いたエキセントリックでユニークな映画。サメ映画と言えば、「電脳鮫」はテーマやギミックが一貫しててとてもよかった。

いやそれはいいんだ、このNoteはサメ映画について語る場所ではない。一概にサメ映画とだけでクソ映画だと切って捨てるのはナンセンスだと言いたいだけ。サメ映画の中にも玉はある。この映画はその中でも特上の玉です。テーマはちょいちょい投げてる節はあるけどもやりたいことは大いに一貫してるし、演技だって違和感はない。評価でこき下ろされている部分は概ね事実だけど、シナリオ自体は結構面白い。少なくとも僕はそう思った。

じゃあそのシナリオって何だよ、一言で説明してくれよと言われたら、ちゃんと返そう。この映画は、「未知の脅威に晒されながら、ギクシャクしている親と子がわかり合う物語」だ。親と子の関係についてはかなり本腰入れて描かれており、これをメインに見るなら満足できると思う。普通に面白い。

シナリオは上出来、じゃあタイトルの「キレてください」ってなんだよ、そう思ったお前。それはな、設定と「それ」にまつわることなので、詳しくは話せない。すまん。だから実際に観てキレてくれ僕はキレた。納得できる説明は自分の中である程度思い付きはしたが、結局その説明は僕とその同類以外納得できないと思う。「それ」をメインに据えて真剣に映画を作るならちゃんと向き合ってくれ向き合ってこれならちゃんと説明をしろ

本当に、キレている。「お前、お前なんでサメ映画がなんでサメなのか知ってるか」と問い詰めたい。

以下、若干のネタバレが入るかもしれないからちょっと注意だ。サメ映画という前提に立った人間ドラマだ、ということを理解していただけたら、是非、是非上のリンクを踏んで、アマプラに入っていればそのまま観てほしい。アマプラに入ってないならできれば入って観てほしい。めちゃくちゃ良いドラマやアニメもたくさんある。ハズビンホテルとかグッドオーメンズはちゃんと面白いぞ。


閑話休題。

サメ映画がサメ映画足り得るのは、サメという凶暴性のシンボルが受け手にとっていい感じに想像しやすく、かつそれが共有できるからだ。「サメ」という存在はどこに居ようと(それがたとえ陸上であってもちゃんと活動できる理屈さえあれば)危険で、凶暴な生き物であることに変わりないからだ

それを作り手たちは理解しているのだろうか。私は真剣に感動しながらキレている。今ならこれを感情大道芸と称しても罰は当たらない予感さえある。みんなにもこの思いを堪能して、一緒に感情大道芸をしよう。この映画の長さはだいたい100分。100分の中でキレたり唸ったりしよう。少なくとも「クソ映画だから」「低評価だから」と切り捨てるには余りにも惜しい。自分の考える話とどちらが面白いかという観点で観た場合、お前は「俺の作った話の方が絶対に面白い」と胸を張って言えるか?という問いがちゃんと成立する程度にはよくできているからだ。ちなみに僕はこれに「言えない」というアンサーを出す。僕の下書きにはこれより面白くない上に重い話が沢山ある。

それくらいちゃんとしていて、ちゃんとしていないのだ。だから、観て、キレてくれ。僕はこの映画を「だってクソ映画なんでしょ」「低評価だから」という理由で観ない人間を、この映画を「ホラー映画です」と言って勧める人間とだいたい同じ目で見る。僕はこの映画でかなり既存の価値観を破壊された。少なくとも、「低評価=エンタメにすら値しないクソ映画」という等式は成立するとは限らないという発見を与えてくれた。この映画は凄い映画だ、ちゃんとエンタメをしている。なのに評価は低くせざるを得ない。不思議な映画だった……

この記事を最後まで読んでるお前、だからお願いだ、観てくれ。観てキレてくれ。あと観るときは友達と。なるべく一人で観てはいけない。ちゃんとリアルタイムで感想を共有できる仲間が必要だ。複数人でキレろ。僕を誘っても構わない。というわけで、これから記す信条で結びとしたい。

「低俗なものに笑い、高尚なものに感嘆する。
それが立派な人間というやつだ」

P.S.登場するガキが皆かなり良かったです。


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