キヤノンが生育指標を自動計測!
キヤノン、スマート農業の実証実験を実施: 日本経済新聞 (nikkei.com)
今日は上記記事を見つけたのでコメントして行きたいと思います。
今回キャノンさんは、画像解析により、稲(お米)の生育指標を自動で計測し、生育状況に応じた判断を均一化させることを目指しているようです。
元々稲の生育指標は県の農業試験場さんなどが作っており、それにはカラー写真でそれぞれ葉の色や穂の形状や大きさなどから生育期間に応じた対応作業について記載された指針が作られています。
現時点の農業生産者はこの写真を見ながらもしくは持ち歩き色を比較しなから田んぼをまわり生育状況の確認にまわるのが常です。
このことによる課題は、田んぼ毎に農業者が向かって確認を毎度しなければならないという労力と、複数人でこの作業を行うと人の判断の違いによる差が生まれてしまうということです。
特に収穫時のこれら判断のずれは米の品質に影響が出る為、コンバインを複数台持たない農業者は収穫する田んぼの順番には神経質になっているのです。
さて今回比較的実現の可能性が高いと思っているのは、前述した通り、既に教師データとなる画像や指針がそろっているという事です。あとはこの教科書の判断を画像解析で自動で判断出来るかを検証すれば良いからです。
とは行っても天候や風などいろいろと外部要因の多い露地生産においてはこれらの確率をどこまで持って行くのかというのが悩みどころだと思います。
スマート農業に於ける技術開発で難しいのは実はここで、精度を高めることで製品代金があがれば農業者に買ってもらえなくなりますし、精度が低すぎても「使い物にならない」となり買ってもらえません。このトレードオフの関係に常にスマート農業関連企業は悩まされているのです。
上記どちらがプライオリティが高いかというと「精度」よりも「価格」かなと私は考えています。
もともと農業者の方の多くは「情報」は無料と思われている方が多いなと感じています。また人件費算出もされていない組織もまだ多いと思いますので単に田んぼをまわる工数が減るというだけではこれらにお金を払うという方々は少ないと感じるからです。携帯電話1回線の月額料金も「高い」と感じる彼らの値頃感は毎月の携帯代金以下が目安だと思っています。
また今回のターゲットは稲(お米)ですので、田んぼの水管理も遠隔で行わなければ作業を楽にすることにはなりません。結局毎日現場に行くのであればそのタイミングに人間が見てもいいからです。
今回のパートーナーであるベジタリアさんは水田用水位センサーなどを持たれていますのでそれで遠隔モニタリングするのも同時にやるのが良いんでしょうね。理想を言えば水門の開閉も遠隔もしくはオートで行いたいところです。
今回は実証実験開始というプレスリリースですが、この技術が確立されれば各種農業生産物にも応用が可能となると思います。吉報をお待ちしたいですね。