読書記録2022⑥愛の夢とか
川上未映子さんの
“愛の夢とか”
本当は勉強とか就活関連とか、他に優先順位の高いものが山積みになっていることは分かりつつも、それを横目に見ながら「今日はだめだ、何か違う」と起きた時に思った心に嘘をつくまいと、悩みに悩んで読み始めた。ちなみに他に読み途中の本は何冊かあるがそちらにも目を瞑っている。
結果、約3.5時間で読破。
短編集とあったため軽い気持ちで読み始めたが、軽く読み終わるのは一つ目の物語だけだった。他はそれほど短編ではなく、中編(とは?)という私的印象だった。
しかしやはり、川上未映子さんの紡ぐ言葉は美しいし、素敵だなと感じる。簡単な漢字もあえてひらがなだったり。そこで文章を短く区切るのではなく、ながーい一文にすることで心情を表現していたり。やっぱりすげぇわプロって。と思う。
以前読んだ“ヘヴン”とか、川上未映子さんの作品には命を考えさせられることが多いけど、今回もまた同様だった。特に最後の「十三月怪談」では失われてしまう命やその大切な人のことをとても考えさせられた。
本当はバイトだった1日。バイトがなくなり勉強しようと予定していたが変更して“愛の夢とか”を読み始めた1日。偶然なのか、必然なのか、去年の今日はじいちゃんが亡くなった日だった。
奥さんが亡くなってしまう話を読んで、じいちゃんが亡くなった時のことを思いだした。亡くなってからすぐ、あれもこれもと忙しそうに身の回りをばあちゃんは片付けていた。あの時は「またばあちゃん、いつものように常に忙しくしていたい性なのか」と思っていたが、今思い返してみると、長年連れ添った夫が突然いなくなってしまった、その面影を感じ取ることも辛かったのかもしれない。孫の私でさえ、こうして時々思い出しては涙を流しているのに、ばあちゃんは今何を思っているのだろうか。近くにいても、分かっているようで分かっていないものだ。次帰った時には、じっくりばあちゃんとお話しする時間を無理矢理でも作ろう。私だってばあちゃんだって、いつ死ぬか分からない。話せる時に私の知らないことを私の何倍も長く生きているばあちゃんに聞いておこう。
と綴りながら、私は今「愛の夢」を聴いている。
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