プレゼント
今朝、見覚えのないアイコンの人からLINEでメッセージが届いた。
「お久しぶりです。
◯◯さん、お元気ですか?
自分は進路でアメリカの大学に行くことにしました。
◯◯さんがチームに来なくなってからずっと気になっていたので連絡させてもらいました。」
名前と過去のやり取りを見て、前職の時に関わった選手であると分かった。
私は前職を辞職するとき、組織の代表にだけ相談し、自分の部署の誰にも相談せず、突然去った。
組織の代表からは誰にも挨拶せず、翌日から来なくても良いと言われたのに、精神を病む原因となった監督と同業者グループのリーダーに何故か挨拶を求められて、よく分からない状況の中なぜかお礼を言った記憶がある。思ってもいないのに。
だけどお世話になった同じチームのスタッフや選手に対しては何も言えずに去った。何も言えないというのは精神を病んでの辞職だったから、まだシーズンの途中で上を目指さないといけないチームに対して、悪い意味での刺激を与えないための最大限の配慮だった。
もちろんその時も今も、その判断が正しかったのかは分からない。
ただ後日談として同僚(専門学校時代の同期)に聞いたところ、風邪などのちょっとした体調不良で休んでいると思っていた選手もいて、「いつ戻ってくるのか」質問されたりもしたそうだ。申し訳ない。
そんな中、本当に今日まで前職で関わりがある人物は誰一人として音沙汰がなかったから、仕事のできないトレーナーのことをみんなしてとてつもなく恨んでいただろうなと勝手に思い込んでいた。
連絡をくれたのは私が入職して1ヶ月後に怪我をして、私が辞職するまでずっとリハビリ対応をしていた18歳の女の子だった。
そしてこのメッセージをもらった途端、まず初めに沸いた感情は「ありがとう」だった。
私のことをずっと気にかけてくれていてありがとう。
勇気を出して連絡してきてくれてありがとう。
ただその後すぐに「ごめんね」の感情もすごい勢いできた。
1年以上引っかからせてしまってごめんね。
頼るべき存在だったのに放り投げて不安にさせてごめんね。
大人が突然目の前から消えてしまってごめんね。
東京で元気に暮らしていること、突然消えて申し訳なかったという謝罪と、その子の進路についてのメッセージを返した。
若干18歳の女の子は「元気そうでよかった」と言ってくれた。
とても嬉しかったし、なんだか少し救われた気がした。
今でもたまに、現職で上手くいかない時や不安を感じている時には必ず前職で関わった人たちが失敗の象徴として夢に出てくる。
私はまだ記憶に囚われている。
でも今朝のメッセージで一人でも私のことを心配してくれたり気にかけてくれる人が前職の人たちの中にいてくれたんだと思えたら、心のどこかが少しだけ溶け出した気がした。
急に冷え込んだ朝に、少し早いプレゼントをもらったような気持ち。
温かい気持ちにさせてくれてありがとう。
アメリカに行っても頑張ってね。いつでもなんでも相談してね。
ずっと応援しているよ。