志向性と言語に関するめも
志向性は現象学における最重要概念だが、それがどのようなものなのか、特に「いかにして意識と世界とが関係するか」という志向性に固有の問題がいかなるものなのかが分からない。そのため、以下ではフッサール自身の記述ではなく野家啓一「志向性の目的論的構造」を参考にして志向性と言語との関係について整理する。フッサールは志向性の構造は「ノエシス-ノエマ-対象」の三極構造になっており、ノエマが意識と対象との関係を可能ならしめる「意味」の次元として働いている。[1] この図式によって二つの隘路が