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京都南座で観劇しました

京都の南座という劇場で大好きな藤山直美ちゃんの舞台を観てきたお話です。

ぶっちゃけ、南座はうちの家から遠いんですよね。
ドアtoドアで2時間ちょっとかかる。
新大阪から新幹線乗ったら新横浜着いちゃうよね、という時間。

なので南座にはよっぽど観たい演目が乗らない限り行かないんですが。
今回は大好きな直美ちゃん見たさに加えて、京都の友人の案内でめちゃくちゃ美味しい居酒屋に行くという目的があったので。

11時公演観ようと思って8時半に家を出ました。
やっぱり早いわ。
通勤時間なみだわ。


子供の頃、藤山寛美さんのお芝居が好きで、土曜のお昼に放送されていた松竹新喜劇は毎週観ていました。
「笑いながらなぜか涙が出る」という関西特有の新喜劇の世界を愛していました。

藤山寛美さんが亡くなって、私もヤングな人になって、しばしそういう演劇から離れておりました。
てか、寛美さんいなくなったらそういう世界が無くなったよね。

そして私がヤングではなくなった頃、藤山直美さんが出ていらした。
あくまでもお父様の後を継ぐのは拒否されながら、それでも舞台に上がると紛れもない藤山の血統書付き演技だった。

せりふ回し、笑いのマ、独特の顔芸、サービス精神…全てお父様を受け継がれた。

嬉しかったなぁ。
直美ちゃんありがとうって思った。
松竹座や新歌舞伎座に行けば、開演の随分前からおばあちゃんたちが並んでて、みんな「直美ちゃん」「直美ちゃん」って自分の娘か孫みたいな感覚で。
皆さん、寛美さんにずっと笑いと涙をもらってきた人たちなんだなぁって。
その娘だから無条件に可愛い。
そのうえ、その芝居の腕は間違いのないものだから、余計に可愛い。

大阪に愛され、大阪に育てられた女、藤山直美は間違いなく関西の宝です。

前置きが長くなった。

さて、今回の演目は「太夫さん」
北条秀司の1955年の作品。
うーん。
1957年に映画化されている。
その時のキャストが
乙羽信子、淡路恵子、田中絹代、扇千景…
そうそうたる女優の面々だ。
要するに島原にいるたくさんの太夫たちそれぞれが主役になってもおかしくないような話ってことだよね。

ならば藤山直美じゃなくてもよかったよねぇ。
というのが私の感想。

劇場は平日昼間にもかかわらず、ほぼ満席に近い客入り。
逆に平日昼間しか観に来ない客層でもあるけど。

この人たちはほぼ藤山直美を観に来ている人たち。
田村亮とか駿河学を観に来た人もいるかもだけど、まあ全体の2割いればいいところだろう。

それじゃあ客の観たいもの観せようよ。
確かに三林京子のお芝居は良かったよぉ。
さすがだなぁと思ったよね。

でも藤山直美がもっと観たいねん。

友人たちと、1幕終わって

「?」

2幕終わって

「?」

最後終って

「?」

ってなりました。
これほんとの話。

もちろん観客のお年寄りの皆さん、そんなに何も考えてらっしゃらないと思うよ。
面白かったなぁって帰って行かれたと思う。
日常とは違う空間に身を置くという楽しみに心弾ませて帰られたと思う。


でも、なんか悔しいのよ。
直美ちゃんの魅力をもっと知って欲しかった。
もっと笑って、そして泣いて、藤山直美ってやっぱり上手いなぁって言わせたいのよ。

でもここで思ったんだけど、今まで観た直美ちゃんの舞台で、そう思えたのってやっぱり松竹新喜劇系の舞台にゲスト出演された時が多いのよね。
新喜劇の申し子なんだなぁ、直美ちゃんは。

まあ松竹新喜劇の行く先は先細りだからねぇ。
孫といえども藤山寛美の血を引いているというだけではどうにもならないものがあります。

藤山寛美はもう藤山寛美だけでいいのかも。

どうして私が松竹新喜劇のことまで考えてるのか。
あほちゃうか。

ということで、終演後友人に連れて行ってもらった居酒屋は何を食べても大層美味しかったです。

気に入らない舞台を観た時も、ああだこうだと感想を言い合える観劇友がいてくれると「あかん舞台を観るのも楽しいもんやな」という気になれるから不思議です。

私にとって敷居の高い南座がかなり身近になりました。
来年はここで新派と歌舞伎を観る予定です。

帰りは20時に京都を出て22時過ぎに家に帰りつきました。
やっぱり遠いけどね。

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