怒りと慈悲の仏 不動明王



こちらは不動明王という仏様です。
 
不動明王は仏像の中で「明王」のグループに入る仏様です。
「明王」とは如来や菩薩の力では救いがたい人たちを怒りを持って救いに導く役目を持っています。
そのため不動明王は阿弥陀様や観音様のような優しいお顔ではなく、怒りに満ちた怖いお顔をしています。
 
不動明王の不動の語源は「動かない守護者」という意味で、インド神話のシヴァ神の別名と言われています。シヴァは暴風雨の威力を神格化したもので、破壊的な災害を起こす半面、雨によって植物を育てます。その破壊と恵みの相反する面は不動明王にも受け継がれています。不動明王は仏法の障害になるものに対しては怒りを持って降伏させますが、仏法に入った修行者に対しては常に守護して見守って下さいます。
 
不動明王は大日如来がどんな悪人でも仏道に導くという心の決意を表した姿と言われています。
 
不動明王は右手には剣を持っていて、この剣は「悟りの智慧」を象徴し、人間のあらゆる心の迷いを断ち切って下さいます。左手には羂索と呼ばれる縄を持っていて、これは煩悩を縛って封じ、物事を正しい方向へ導いて下さいます。座っている岩座は全ての人々を救うため、あらゆる苦難に耐える決意を表しています。後ろの火焔はあらゆる障害を焼き尽くすと言われています。
 
十三仏信仰では不動明王は最初の初七日に現世への未練を捨てられず、死を受け入れられない死者たちを叱咤激励して冥界に引き込む役目を持っています。
 
不動明王は酉年の守り本尊で、生まれ年が酉年の方は一度不動明王にお参りしてみてはいかがでしょうか。
 
 

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