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梶原景時の変_01 千葉純胤の時空移動

某日の鶴岡八幡宮。千葉常胤と長子の胤正は和田義盛より「至急集まりいただきたい」と打診があり鶴岡八幡宮に来ていた。来てみるとかなりの人数の御家人が参じていた。

よく見ると千葉氏分家の東家の当主、東重胤もいた。重胤の父は常胤の息子である胤頼で、東家は早々に家督を重胤に継がしていた。常胤は重胤に語り掛けた。

「重胤、久しぶりよの。当主として励んでおるか」

「これはお祖父様。若輩ながらなんとか務めております」

笑顔で重胤は返しつつも心なしかやつれてた。常胤は胤頼が自由気ままに活動できるようにとっとと家督を譲った魂胆は見透かしているので、孫の重胤が少し可哀そうと思っていた。

鶴岡八幡宮の本宮にぞろぞろと御家人たちが集まってきた。数にして五十は超えるであろう。しばらくすると三浦義村が一同の前に向かって立ち御家人たちに声を大にして話し始めた。

「この度は皆さま八幡宮へお集りお礼を申し上げる。さて今宵は結城朝光殿に降りかかった火の粉を振り払いたく皆様へお力をお借りしたくお願いがあり、集っていただいた」

「幾日か前に結城殿が頼朝様の供養を行った折に『臣として二君に仕えずに頼朝様がお亡くなりになったときに出家すべきだった』と頼朝様を想う声を漏らしたことをあろうことか梶原景時が『頼家様には仕えたくはない』と捉え、頼家様へ結城殿謀反の心ありと進言を進めているという」

「このような暴挙が許されるはずがない。私は結城殿を救うべく皆様に集まっていただいた」

ここまで三浦義村が一気にまくし立てたのを聞き、御家人一同がざわついていた。常胤が胤正に「なんじゃこの茶番は」と呟くも父上お静かにと嗜まれた。三浦義村は続けた。

「このような梶原の行いに対して弾劾状をしたため、ご一同から署名を頂き、頼家様へ上奏したい」

これは梶原景時を追放することに加担を要求しているに等しかった。常胤が周りを見渡すと、安達盛長・比企能員・八田知重など重鎮もこの場にいる。三浦家も比企家も幾人かいる中、北条家がいないのは気にはなった。

東重胤が小声でどうすればいいのか聞いてくるも胤正が「署名しない気概があるか」と返した。重胤は黙ってしまった。

結局、この場にいる誰も異議など申さず、御家人六十六名による梶原景時に対する弾劾状が直ちに作成され、一同連名にて署名した。弾劾状は直ちに政所別当である大江広元に提出された。


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