毛筆四級、硬筆四段です
前回が小学校時代の習い事、少年野球だったので習い事シリーズの続きを書く。野球を小3の頃に始めたが、同じく小3の時に書道も習い始めた。野球は毎週土日、書道は毎週水曜に通っていた。
ちなみに中学受験に向けて小6の1年間は塾に通うが、この塾は月火木金だったので、小6の1年間は週7で習い事をしている状態。それでもそんなに大変だった覚えはない。学校と習い事の合間の時間を使って遊びに行ったりしていた記憶もある。
本題の書道の話で、この書道教室は月の最初の週は硬筆、それ以外の週は毛筆を教わるという仕組みだった。そして書道の段位は協会によって基準が異なり一概にはいえないものの、私が通っていたのは日本書鏡院という団体の傘下の書道教室で毛筆四級・硬筆四段という差があり過ぎる段位を最終的に修得した。
なぜこんなことになっているのか。まず、最も重要なのは、私は左利きである。ただ、日本語というのは基本的に右手で書くようにできている。特に、筆で書いた場合のとめ・はね・はらいといった形は右手で書かないと上手く出ない。なので毛筆は右手で習うこととなった。もちろん左利きなので、ありえないくらい下手な状態からスタート。ただ、提出する作品に関しては太い筆で半紙に六文字を書くといったものなので、割と細かい点では誤魔化しがきく。なので、意外と左利きとは思えないレベルの作品を作ることができた。それでも、左端に小筆で名前を書かなくてはいけない。これが細かい作業が要求され苦手だった。先生に「左手で書く?」と言われたことがあったり、協会の会誌に名前とともに審査の結果が乗るが、私の小筆で書いた名前が下手すぎたので名前の漢字を間違えられて掲載されたこともあった。それでも毛筆は右で書くべきだろうと思い右を貫いたが、この名前欄も採点に含まれると思われ、昇級が鈍い原因でもありそうだ。
さて、その日本書鏡院の段位認定の仕組みだが、毛筆は八級、硬筆は十級からスタート。月に1回作品を提出し、一定の評価を得ると一段階昇級(昇段)する。なので、一発で超上手い作品を書いたとしても一気に昇級はせず、一段階ずつとなる。
なので四級の毛筆に関しては、4年かけて八級から四級に4段階しか昇級しなかった。ただ、会誌を見ると、八級→七級→六級までは昇級率3割(3か月に1回)ほど、六級→五級→四級→三級→二級→一級までは昇級率1割(1年に1回)ほどのようだった。
さらに一級以上は鬼のように昇段の難易度が高く、私が参照している「書鏡 2002年7月号」においては約6000名の会員の審査結果が載っているものの、この月は誰1人昇段者がいなかった。
もう少し細かく昇級・昇段の仕組みを書くと、提出した作品は「無印」「〇(丸)」「◎(二重丸)」「(三重丸)」の四段階で評価される。大半の作品は無印で、これだと昇級しない。丸の場合は一級昇級。二重丸の場合も一級昇級だが、丸との違いは会誌に自分の作品の画像が掲載される。そして三重丸を取れば昇段および画像掲載という流れだ。そしてこの三重丸が滅多に発行されないということである。九段に相当する段位(準師範)まであるようだが、この当時の小6では三段が最高位で、恐らく大人になっても何十年も続けて高みを目指すという仕組みのようだ。ということで、私が左利き+そもそも昇級しづらいという理由により四級という結果になった。
では硬筆四段はどのように取得したか。丸で昇級、三重丸で昇段という仕組みは同じである。6000人いて1月に1人発行されるかどうかの三重丸を四回も取得したのかというと、そうではない。
まず、毛筆と硬筆は同じ協会ではあるものの、硬筆は学生(中3まで)と一般で会誌が分かれていた。なので、中三までに最高位(錬士・七段相当)を目指すという性質と思われる。そのため、小6でも毛筆は三段が最高位だったのが、硬筆は六段相当(錬士候補生)までいた。
毛筆の八級スタートと違い、硬筆は十級スタートなものの、もはや一級までは半分くらいの確率で上がる状況。2ヶ月に1級上がる計算なので、1年半あれば十級から一級になる。しかし一級から先は三重丸を取る必要があるので難しい。毛筆ほどではないものの、三重丸は大体30~50人に1人くらいの確率で付与されていた。これだと3~4年に1回昇段できる計算だ。
私も一度だけ三重丸を取ったことがあり、学年に1人だけ掲載される大判の写真で作品が掲載された。
なんか思ったほど上手く見えないものの、これが三重丸を取得した作品だ。この作品の級位の欄には初段となっている。これにより、初段から二段に昇段した。
しかし、一級から四段に昇段するには三重丸が四回必要になる。私は三重丸は一回しか取得したことがない。どういうことか。
硬筆に関しては、年に1回(1月)、昇位試験というものが実施されており、毎月の提出に加えて、昇位試験の課題を出すことにより昇段の審査を受けられる。これの合格率がかなり高く、段位者でも5割くらいの確率で昇段する。これを活用し、小5の試験で1級→初段に昇段。さらに小6の8月に先ほどの三重丸で二段に昇段。そして小6の冬、最後の昇位試験。合格すれば三段に昇段かと思ったが、なぜか飛び級で四段に昇段した。何かのミスかと思ったが、会誌を見るとたまに飛び級で昇段している人もいる。結果として、毛筆とは大違いで硬筆はこの昇位試験を攻略していけば着実に昇段できる仕組みとなっており、四段で終えるという結果になった。
ここまでまとめてみて、毛筆四級で硬筆四段なのは単純に自分が左利きで毛筆が下手だからだと思っていた。しかしあらためて会誌を見返すと、毛筆と硬筆でここまで昇級の難易度に差があったことを気づき、ものによって段位が示すものは全然違い、簡単に信用できないということを学んだ。
また、私自身、動画で直筆で字を書くことは時々あるが、大抵は雑な字で下手である。それでも、この書道教室で字の書き方の基礎を学んでいるので、字を書くにあたっての基礎的な部分は身に着いているはずである。どうしても私は綺麗な字を書くにはかなり時間を使うので、時間短縮で普段は雑な字を書くが、雑な字であっても致命的な部分は外さない字を書いているつもりである。手書きをする機会が減った現代でも、割と手書きのものを動画に登場させたりするのも、私は手書きすること自体が好きだからだ。今後も手書きの良さを忘れずに過ごしていきたい。
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