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寺でバイトした思い出~12月編~
私は大学1年~4年+転職の合間の計5年間の年末年始、川崎市の某大規模寺院にてアルバイトをしていた。
過去にサブチャンネル動画でも内容を語っているものの、ここでは語り尽くせないくらい濃い内容だったので、もう少し詳しく記録しておく。
元々、このバイトは弟が高校1年の頃(2009年度)に先に始めていて、弟に勧められて私も大学1年次(2010年度)に始めることになった。
何が良いかというと、私の場合は地元なので徒歩10分ほどで通勤が可能。
そして、給料は7時間労働(8時間拘束・休憩1時間)で日給8000円。当時の学生バイトにしては時給が良い。また、バイトといえば短時間勤務が多い中で、冬休み期間に丸一日働いて一気に稼げる。さらに、昼食に仕出し弁当が支給されるので昼食代もかからない。こんな良いことだらけのバイトはやるしかないと応募。
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面接は10月頃に行われた。地元では人気のバイトなので、落ちる人は落ちる。ただ、私は仏教に関する教育が行われる駒大に在学しており、さすがにそれで寺のバイトに落ちることはないだろうと面接に臨んだ。面接官と話した感じだと、やはり私が落ちることはなさそうだ。
バイトの勤務期間は12月31日~2月12日と案内されていた。地元民として、三が日と1月中の土日が混むのは分かるが、間の平日はバイトが必要なほどなのか?と少々疑問だ。面接の際に、この期間の勤務可能な日を書いて提出してくれとのこと。とりあえず1・2月は大学もほぼないので、大半の日を勤務可能として提出した。
12月上旬、無事に選考に合格した旨と、勤務表が届く。最初の勤務は12月31日で、その後の1・2月も可能と書いた日は平日休日問わずほとんどシフトが入っていた。これは物凄い稼げそうだが、いまだどんな内容の仕事なのは未知数なので不安もある。
12月20日頃、寺から連絡があり、12/25~12/30の期間に出勤してくれないかとのこと。そんなこと言われても、12月下旬は他のバイトの予定もあり、ほぼ寺の勤務はできない。何とか12月26日の一日だけは勤務できるので、そこで初出勤することとなった。
緊張感のある中で初出勤。私の部署は「信徒会館」という部署なのでそこに行くよう案内される。この部署は社員が5名ほどと、バイトが11名という構成で、バイト11名の内訳は男3女8。
この寺のバイト全般として、寺のバイト=巫女(ただし、巫女は神社なので寺ではない)というイメージが強く、女性の応募が多いようだ。そのためバイトは女性が多い。
また、意外と電車通勤の人も多い。私は地元民なので、てっきり地元民が大半なのかと思ったら、11人中徒歩通勤は2名。大半は電車通勤だった。私はもらえないが、交通費も全額支給される。
そして信徒会館のバイトは昨年で卒業した人が多く、大幅にメンバーが入れ替わり、2年目以上が5名、新人が6名という構成。寺のバイト自体は高校生も募集しているが、部署によって大学生以上しか勤務できない部署もあり、この信徒会館もそういった部署だった。どうやら様々な能力が求められる部署らしいが、何をするのか。
まだ年が明けていない中で、先輩から仕事の指示を受ける。護摩札(木のお札)を入れる袋が段ボールに何千枚と入っているが、これを10枚ずつの束に分ける仕事や、参拝客に渡す品(数種類のパンフレット等)を一つ一つ小袋に詰める仕事など。
ラーメン屋がオープン前に仕込みを行うように、寺でも仕込みが必要だ。特に3が日は参拝客が大量に押し寄せて忙しい。部署にもよるが、多くの部署は12月のうちに、1月に大量に消費するものを事前に準備しておき、当日に備える必要がある。それなら最初から12月も勤務があると言ってくれれば良いのに、と思ったが、部署ごとに違うのでそうもいかないのだろう。
パンフレットを袋に詰める等の単純作業なら難しい仕事ではない。せっせと詰めていくと先輩から
「綿貫くん、そんなに早くやったらダメだよ。すぐ仕事が終わっちゃうから」
意味が分からなかった。早く終わればそれはそれで良いのではないか。私はまだピュアだった。
よくTwitterで「仕事を早く終わらせても新たな仕事が増えるだけ」「人が減ったのに同じ仕事をこなしてしまったら欠員は補充されない」などの話題が出るが、まさにそれを防止するための策が先輩に言われた仕事をゆっくりやることだろう。今までやっていた駅員のバイトはその時間帯にいること自体が必要な仕事なため、早いとか遅いとかの問題ではなかった。
しかし、世の中の大半の仕事は歩合制ではなく時給制でありながら、早く終わらせても何の意味もないという事実。それを知ったのがこの寺でのバイトだ。
わざとゆっくりやるのも抵抗があるな、と思いつつ、ゆっくり作業をした。まだ参拝客はいない時期なので、先輩方と色々と談笑しながら作業が出来て、楽しい時間だった。
他にも年内にやることがある。この寺では、1月1日に祈祷した護摩札は「元旦修行」という特別な印字が入る。この「元旦修行」を予約だけしておき、受取は後日ということも可能だ。
この私が配属された信徒会館の部署は、
「2万円以上の高額な護摩札を、元旦修行の予約をした人に1/1~1/7の期間に引き渡す際の対応」
というのが主な仕事の内容だ。1/8以降は別の仕事内容となるが、それは後述する。
1月1日に護摩札自体は出来上がるものの、引き渡すまでタイムラグがある。そうすると、一時的に大量の護摩札が手元に在庫としてある状態になる。
どのように保管しておくのかというと、廊下に臨時の棚を作り、そこに名前順に並べておくことになる。護摩札自体は1月1日の0時以降に随時完成するので、年内にできるのはこの棚を組み立てることだ。棚自体は毎年使っているので、倉庫から持ってきて組み立てていく。なかなかの力仕事だ。
ちなみに、男性が少ない部署ではあるものの、こういった力仕事が必要な場面は多い。男性のバイトは3名いるが、全員が毎日出勤しているわけではないので、男性が私1人だけという日も多々あった。この勤務初日もまさにその状況だった。
私は少年野球以来運動をしておらず、体力には自信がないが、それでもさすがに力仕事は男性が率先してやるべきだろう。男社会の鉄道会社でのバイト経験が長いので、女性の方が多い職場という環境に少々戸惑いつつ、何とか12月26日の勤務を終えた。
(長くなるので続きは次回以降)