最大の顧客数は150人が限界説。。。
美容師の仕事に1つの仮説を立ててみます。
ポジティブでもあり、ネガティブでもある仮説です。
今回は「美容師の最大の顧客数は150人が限界説。。。」という内容になります。
【結論から】
美容師の顧客数について1つの仮説、それは
「美容師の最大の顧客数は150人が限界説」である。
それを説明するに
1、ダンパー数
2、ミラーの法則
3、ユニットエコノミクス
をあげてみる。
顧客一人ひとりに対して、ある程度個別に合わせたコミュニケーションをとり、安定的な関係性を築くための限りある範囲としては、ダンパー数の150人に落ち着くと感じる。
また、美容師が行う仕事の内容から「7 ± 2」のチャクラが範囲となり、それ以上の仕事は「キャパオーバー」となる。
新規集客に頼りすぎたり、より多くの顧客数を担当しようとすると、CAC が上昇 し、LTV が低いまま離脱が発生してしまうため、結局「少数かつ高リピートのお客様をいかに満足させるか」に落ち着く。
その数はダンパー数に限りなく近い。
よって「美容師の最大の顧客数は150人が限界説」を提唱する。
【美容師の顧客数について】
美容師の顧客数について1つの仮説を立ててみます。
終始「筆者の個人的な考え」の範囲を出ることはありません。あくまでも「個人的な見解である」ことが前提で、その考えをもとに筆者は、日々の仕事をしています。
その内容が「美容師の最大の顧客数は150人が限界説」です。
* 正確には150人~200人以内。概ね150人の値で考えています。美容師によってその数値は150〜200人に推移します。
この考えをもとに、150人(〜200人)以上の顧客は持たず、それ以上になる場合は「単価アップ」「ロイヤルマネジメントで予約枠のコントロール」を行います。そうすることでより高い質、より高い利益を低コストで得ることが可能です。
つまり広く遍く担当するわけではなく、150人の顧客数で推移するような施策をとり「質を高める」ことに尽力するのはどうか、、、このような仮説です。
【顧客数とは?:前提の一致】
顧客数の理解を一致させておきます。2段階の切り分けがあるので、確認してください。
まず第一に、顧客数とは「月間に担当する客数ではなく《総カルテ枚数》のことである。」
例えば、公式LINEやインスタグラムなど「連絡のつく顧客全て」のことを指しています。また「カルテ管理のシステムやアプリに登録されている全ての顧客」を顧客数として考えています。
月間で担当する「客数とは異なる」ことを明確に切り分けておきます。
第二は、そのすべての顧客数から「最終来店から1年以内に再来店している」顧客です。1年以上の来店がないお客様は「顧客とはカウントしない:失客」と切り分けます。
カルテ枚数+1年縛り(期間)=今回の顧客数の意味
このように前提の一致をしておきます。
【考えの元はダンパー数から】
今回の「美容師の最大の顧客数は150人が限界説」を提唱する中で3つの考え方が軸となっています。
1、ダンパー数
2、ミラーの法則
3、ユニットエコノミクス
これら3つの考え方 × 美容師 (顧客数)を考えてみます。
主にダンパー数を軸に、この仮説をさらに有意義なものにするために、ミラーの法則やユニットエコノミクスを補完させています。
では、なぜ「美容師の最大の顧客数は150人が限界説」なのでしょうか?
その考え方をまとめています。
1、ダンパー数
まず前提として「ダンバー数 」とは、人間が安定的に維持できる社会的な関係性の上限が 150 人前後であるという仮説です。
進化人類学者のロビン・ダンバー(Robin Dunbar)が霊長類の脳容積と群れの大きさの相関を研究した結果「ヒトの場合はおよそ 150 人が社会的な関係性の限度である」と言われます。
この 150 人前後という数字には、「一度顔を合わせれば互いを認識できるレベル」「個人的な関係性を継続的に保てるレベル」というニュアンスが含まれます。SNS の時代になり、フォロワー数が数千・数万人いる状況も珍しくないですが、実際にお互いを“知り合い”として認識し合う関係は 150 人程度にとどまるというのがダンバーの主張(ダンパー数)です。
①. ダンバー数と美容師の顧客数は関係があるのか
今回の「美容師の最大の顧客数は150人が限界説」
解像度を上げると「美容師が担当できる顧客数(カルテ枚数)はダンバー数の範囲に収まるのではないか」という仮説について考えてみます。
ここでいう“顧客を維持する”というのは、多くの場合
【 顧客一人ひとりに対して、ある程度個別に合わせたコミュニケーションをとり、安定的な関係性を築く 】といったことが必要になります。
この点で「顧客ごと(個別)にある程度深いコミュニケーションを取る」という意味において、ダンバー数と通じる部分があると考えられます。
たとえば、1 人の美容師が 1,000 人以上のカルテを抱えても、そのうち密にコミュニケーションを取れるコア顧客層は 150 人(〜200人)であるかもしれません。
つまり、ダンバー数が示すように、個別の事情や特徴をしっかり覚え、定期的なコミュニケーションを通して“関係性”を保ち続けられる顧客数は、それほど多くない可能性があるという考え方です。
結果、年間・月間の売上を安定的に支えてくれる「いつものお客様」の数は、ダンバー数の 150 人前後と重なることは充分あり得ます。
ダンバー数は「人が継続的かつ安定的に保てる関係性の上限」として「コア顧客をどこまで深く把握し、リピートを促すか」という観点では示唆があると感じています。
2、ミラーの法則
ジョージ・ミラー (George A. Miller) が提唱した「人間の短期記憶の容量は『7 ± 2』チャンク (かたまり) 程度」という法則。
例えば、「電話番号を一時的に覚えるとき 7 桁前後なら覚えられる」が、その数を超えてくると一気に記憶が曖昧になる……といった「経験則」で知られています。
ここでいう「チャンク (chunk)」とは、意味のある 1 まとまりとして記憶を整理する方法を呼んでいます。
例えば「03-1234-5678」という電話番号を、「03」「1234」「5678」の 3 つのチャンクに分ければ覚えやすくなる、というイメージです。
①. 美容師が顧客管理で必要とする「チャンク」: 美容師が覚える情報の例
美容師がお客様一人ひとりを担当する際、主に以下のような情報を記憶・管理する必要があります。
1. 髪質・頭皮の状態
クセの強さ、太さ、ダメージ度合い、アレルギーの有無 など
2. 施術履歴・好み
前回いつ来店したか、どんなメニューをしたか、普段のセットやカラーの好み、似合うスタイル など
3. コミュニケーションの履歴
前回の会話内容(仕事・趣味・家族構成など)、注意すべき話題 など
4. 次回の提案やアフターフォロー
「次回はパーマをおすすめしたい」「トリートメントが必要」などの施術提案や季節の変化に合わせたアドバイス
上記をすべて個別に管理しようとすると、かなりの情報量になります。これを「髪質・頭皮」「過去の施術と好み」「会話ネタ・人柄」「次回提案」といった 3~4 つのチャンクにまとめても、1 人のお客様につき複数のチャンクを同時に扱う必要があります。
②.「7 ± 2 チャンク」で何が起こるか
ミラーの法則に従うと、人間が瞬間的または短期間でスムーズに処理できる情報は「7 ± 2」チャンク程度と言われます。しかし、美容師が実際に仕事をする際は、
• 予約や施術の進行状況(常に複数名が同時施術になる場合もある)
• カルテから細かい情報を引き出して、確認しなければならない
• レジ対応や SNS 運用、商品の在庫管理などのサロンワーク全般
といった “施術の内容 + お客様個々の情報 + サロン全体のオペレーション” を同時並行でこなす必要があります。
すると、美容師の頭の中の「7 ± 2 チャンク」はどんどん使われていくわけです。常に複数の情報を処理する中で、「1 人あたりに割ける記憶・認知のリソースが少なくなる」可能性があります。
③.なぜ「約 150 人」が“最適化”に近いのか
1. チャンク化でストレスなく対応できる上限
お客様ごとに髪質・会話の内容をパターン化することで記憶負荷を減らし、同時に関係性を深めるには限界がある。
これが150 人前後というダンバー数と重なる部分がある。
2. サロンの稼働時間・単価・リピート率とのバランス
施術時間・単価・リピート率などを考慮したときに、「自分が無理なくこなせる人数」が自然と 150~200 人程度に落ち着く、というケースが多い。
ここは筆者も美容師を少しだけ続けていて強く感じる部分です。
そこまでの人数であれば、1 人ひとりに丁寧な接客ができて、なおかつ質の高い安定したサービス提供、および売上を見込める。
3. 情報量の限度
ミラーの法則は短期的な記憶容量を示しますが、実際は長期記憶やカルテ管理(顧客管理ツール)をうまく活用することで、扱える“トータルの情報量”は大きくなる。
しかし、いくら外部ツールや経験の蓄積で補っても、顧客と“密に関わり続ける”ためには限界がある。そこで 150 人というダンバー数が目安になると考えています。
3、ユニットエコノミクス
ユニットエコノミクスとは、、
「1 人(または 1 単位)の顧客を獲得・維持するためにかかるコスト」と「1 人(1 単位)の顧客から得られる収益や利益(LTV: 顧客生涯価値)」を比較し、“1 ユニットあたりで黒字になるかどうか”を分析するフレームワーク。
企業全体や店舗全体ではなく、“顧客ひとり”あたりに落とし込んで考えるため、効率的に利益を生み出すにはどうすればいいかを見極めやすいです。
①. 美容師における「1 人の顧客」に関する指標
ユニットエコノミクスで考える際、美容師の立場で特に重要になる要素をまとめました。
1. CAC (Customer Acquisition Cost):顧客獲得コスト
• 新規顧客を獲得するために必要な広告費や集客施策のコスト。
• ホットペッパーなどの美容系サイトへの出稿費、SNS 広告費、キャンペーン費用など。
2. 維持コスト(顧客を失わずにリピートさせるための費用。またその時間も含まれる)
• 既存顧客とのコミュニケーションやサービス向上のための取り組み。
例:DM や SNS での情報発信、アフターフォローの電話・メッセージ、誕生日クーポンの発行など。
3. LTV (Customer Lifetime Value):顧客生涯価値
• その顧客が生涯(または一定期間)にもたらしてくれる売上や利益の総額。
例:1 回の来店で 10,000 円の利益 × 年 6 回の来店 × 通い続ける年数(5 年)= 10,000 円 × 6 回 × 5 年 = 30 万円
4. リピート率・離脱率
• 顧客がどのくらいの確率で定期的に来店し続けてくれるか。
• この数値が高ければ、1 人あたりの LTV が大きくなるため、新規集客コストを抑えても安定的に利益を確保できる。
②. なぜ「概ね 150 人」が最適化に近いのか
CAC を下げ、LTV を上げるカギは「深い関係性」にあると考えます。
新規顧客を一度に大量に獲得しようとすると、広告費や施策コストが膨らみやすい。
また、競合が低価格戦略をとってきた場合、さらにコストが膨らみやすい。
逆に、常連客が増えれば増えるほど、1 人あたりの獲得コスト(CAC)は実質的に下がり、LTV は高まりやすくなる。(コストが下がるから利益が高まる)
ただし、「顧客が増えすぎる」と一人ひとりへのコミュニケーションが疎かになる恐れがある。予約が取れないなどの不満足が高まります。
結果、リピート率が下がり離脱が増えるので LTV が伸びなくなってしまう。
ここで 「人間が安定的に関係性を維持できる上限(ダンバー数:約 150 人)」 を超えると、一人ひとりへの手厚いフォローが難しくなるため、再来店率(リピート率)の低下 → LTV の低下 につながるリスクが高いとかんじます。
③. 維持コストと施術のクオリティバランス
1 人の美容師が 150 人の“コア顧客”を維持し、定期的に来店してもらう体制が整うと、余計な広告費やキャンペーン施策を抑えられます。値引きをする必要がなくなります。
同時に、「顧客ひとりに十分にコストをかけられる → 施術の満足度アップ → リピート率アップ」という好循環が生まれやすくなります。
しかし、顧客数が 200~300 人以上の規模に膨らんでしまうと、1 人あたりの対応時間の減少や施術の雑さ(忙しさによる疲労や集中力の低下)が発生しやすくなる。結果、クオリティダウンにより離脱率が上がる可能性があると考えています。
アシスタントのいる正社員サロンの悪循環はここにあると思います。
美容師として多くのお客様を携わりたい、、
給与のことも考えると多くの売り上げをあげたい、、、
このような美容師の根源的な欲を満たすために、キャパを超える(ダンパー数を大きく超える)顧客をかけることで数字の「頭打ち」がきます。
本来は「量」の領域を超えて「質」を高めるタイミングなのに、相変わらず「量」を求めているスタイリストがいます。
一人ひとりの美容師ではなく「サロン全体」で 300~500 人の顧客を回している場合でも、担当スタイリスト(またはチームごと)で見ると 150 人程度に分散されるケースは多いと感じます。
* 店長をしていた時に、常時10人前後のスタイリストの顧客数・サイクル・単価の3大係数(スタイリストの3要素)を長年、分析した経験から、そのように感じています。
つまり、顧客との深い関係性を構築しリピート率を高めるには、1 人もしくは少数チームで対応できる上限数は 150 人(〜200人)前後になることが多いと感じます。
【サロンの設計の1つの目安に】
新規集客に頼りすぎたり、より多くの顧客数を担当しようとすると、CAC が上昇 し、LTV が低いまま離脱が発生してしまうため、結局「少数かつ高リピートのお客様をいかに満足させるか」が大事になります。
1 人あたりのコストと利益のバランスを考えると、“深く長く関わる”顧客を 150 人ほど抱える体制が、もっとも CAC を抑えつつ LTV を高めやすいことがわかります。
“150 人” という数字は、ダンバー数の概念だけでなく、ユニットエコノミクスの観点からも、安定的なビジネスモデルを組み立てる上でひとつの目安になると考えられます。一人のスタイリストの顧客の目安を150人(〜200人)とし、想定単価と来店サイクルから年間の予算を試算することで、どのような規模感のサロンをデザインすればいいかも見えてきます。
より強く再現性の高いサロン(ビジネス)設計が描けることがわかります。
【まとめると】
美容師の顧客数について1つの仮説、それは
「美容師の最大の顧客数は150人が限界説」である。
それを説明するに
1、ダンパー数
2、ミラーの法則
3、ユニットエコノミクス
をあげてみる。
顧客一人ひとりに対して、ある程度個別に合わせたコミュニケーションをとり、安定的な関係性を築くための限りある範囲としては、ダンパー数の150人に落ち着くと感じる。
また、美容師が行う仕事の内容から「7 ± 2」のチャクラが範囲となり、それ以上の仕事は「キャパオーバー」となる。
新規集客に頼りすぎたり、より多くの顧客数を担当しようとすると、CAC が上昇 し、LTV が低いまま離脱が発生してしまうため、結局「少数かつ高リピートのお客様をいかに満足させるかに落ち着く。
その数はダンパー数に限りなく近い。
よって「美容師の最大の顧客数は150人が限界説」を提唱する。
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