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【三部作 Part.3】最大幸福と利益の最大化を比較する

三つに分けた投稿三部作の最後、三部作目です。
1、利益の最大化を言語化する
2、最大多数の最大幸福を考える
3、最大幸福と利益最大化を比較する
このような内容を三つに分けて投稿していました。

前回2つの内容は、こちらから

今回は『最大幸福と利益の最大化を比較する』このような内容になります。
最後は、ここから得た示唆を「美容室の経営」に置き換えています。


【結論から】

最大多数の最大利益と利益の最大化を比較してみると
「お互いが近い考えに向かっている」ように感じる。

なぜならば、近年のビジネス環境においては、社会・環境への配慮やコンプライアンス、従業員の満足度などが長期的な利益に繋がるようになった。この観点から、二つの距離は近づきつつあり、二つの比較はとても重要な示唆になる。

美容室に置き換えると
「短期の利益の最大化」と「長期的な幸福最大化」のバランスを意識しつつ「スタッフ満足」と「顧客満足」の両面を高める(バランス)経営となる。
美容室は労務管理、技術、接客など人材依存度が高く「スタッフ・顧客」との関係性が経営の要となる。そのため、利益最大化だけを目指すと短期的にうまくいっても、長期的にはスタッフの離職や顧客離れを招く可能性がある点に強く注目するべきである。

【今回のゴールは】

今回の三つの投稿のゴールは「最大多数の最大幸福と利益最大化を比較すると、どのような示唆を得ることができるか…」
最大多数の最大幸福と利益の最大化における「合理的な意思決定」は近しいですが、同じとは言えません。二つをを比較すると、対象範囲、時間軸、評価軸などの違いが明確になります。
近年のビジネス環境においては、社会・環境への配慮やコンプライアンス、従業員の満足度などが長期的な利益にも繋がります。その観点から、二つの比較はとても重要な示唆になります。

【基本的な枠組みの違い】

最大多数の最大幸福と利益の最大化についてPart. 1 、Part. 2 で説明しました。少しだけおさらいをします。

[最大多数の最大幸福(功利主義)]

目的:
• 社会全体(または組織全体)の「幸福」を最大化する。
• 幸福は金銭的利益だけでなく、生活の質、健康、教育、心理的満足など幅広い要素を含む。
評価軸:
• 幸福総量が増えたか。
• 多数派の幸福を大きくしつつ、少数派の不利益を最小化するバランスも考慮(ただし功利主義には“少数派切り捨て”のリスクもある)。

[利益の最大化]

目的:
・利益の最大化とは、事業の本質を追求し、価値を最大限に引き出すこと
・ビジネスや経済活動において、主に「収益(利益)」を最大化する。
評価軸:
• 投資対効果(ROI)、NPV(正味現在価値)、IRRなどの財務指標を用いて、「金銭ベース」で最適な選択を行う。
・近年、ESG投資に代表されるように、環境・社会・ガバナンスを特に注視されるようになってきている

最大多数の最大幸福:
長期的、定性的、金銭的利益だけではない、社会全体の視点

利益の最大化:
短期的、定量的、主に金銭的な利益、組織や投資家にとっての視点

最大多数の最大幸福と利益の最大化の共通点としては、、
結果を重要視している、多くの人を幸福に導くことができるプロセスとなり得る。少数派や弱者に対しての配慮や対策が欠けてしまう場合がある。
利益の最大化もサステナビリティを重視することで長期的な利益を生み出すことができる。

【二つを比較すると見えてくるポイント】

[対象範囲(ステークホルダー)の違い]

最大多数の最大幸福:
• 広く社会全体や、少なくとも複数のステークホルダー(従業員、顧客、地域住民、環境など)を考慮する。
• 社会的コスト(公害・温暖化などの外部不経済)や社会的便益(教育、医療など)にも目を配る。

利益の最大化:
• 企業や投資家、株主といった特定の利害関係者の利益にフォーカスする傾向が強い。
• 企業の決算書に直接的に表れないものは、重視されにくい。

得られる示唆:
• 社会全体の視点とステークホルダーの視点では、最適解が異なることがある。
• 「社会的責任投資(ESG投資)」が注目を浴びる背景には、“利益最大化”から“幸福最大化”への視点の拡張がある。特に最近はSDGsも含め大きく拡張してきている。

[短期 vs. 長期の視点]

最大多数の最大幸福:
• 長期的な視点が重要。教育・環境・医療などの社会投資は短期的にはコストでも、長期的に幸福総量を大きくする。
• 持続可能性を重視する傾向が強い。

利益の最大化:
• しばしば短期利益に偏りがち(株主からの短期圧力など)。
• 近年は「長期的な利益の最大化」を志向し、従業員満足度やブランド価値の向上を取り入れる企業も多い(従業員エンゲージメント投資が長期利益に繋がる)。

得られる示唆:
• 「長期的に持続可能な利益の最大化」を志向することで、結果として社会全体の幸福にも貢献できる場合がある。
• 逆に、短期的な利益最大化が環境破壊・従業員疲弊をもたらし、長期的には社会の幸福や企業価値も損なうケースがある。

[数値化のしやすさ]

最大多数の最大幸福:
• 「幸福」を数値化するのは難しい。経済学ではGDPや幸福度指数などがあるが、主観的・複合的要素も多い。また、GDPを代表するように抽出する数字によって結果が大きく変わる。
• 社会保障や福祉などの政策評価でも、必ずしも金銭指標だけで測れない価値を伴う。

利益の最大化:
• 金銭的指標によって測定しやすいため、定量的な意思決定プロセスが確立している(投資回収率 ROI や利益率など)。
• 数値化は容易だが、その裏で見落とされる社会的・環境的コストがある場合は評価が偏る。数値には表せない部分が浮き彫りになる。

得られる示唆:
• 金銭的な利益指標は意思決定における“わかりやすさ”を提供する。
• しかし、社会全体の幸福は多面的で計測が困難なため、利益指標だけでは把握しきれない価値があることを認識する必要がある。

[行為の倫理性やプロセスへの配慮]

最大多数の最大幸福:
• 効果(最終的な結果)重視の功利主義的要素が基本軸。近年は少数派保護や公正さなど、プロセスや権利の側面も重要視される。
 利益の最大化:
• コスト削減や効率追求の手法が、労働者や環境に悪影響を及ぼす場合もある。
• CSR(企業の社会的責任)やコンプライアンスの強化は、行為のプロセスや倫理性を重視する動きと言える。

得られる示唆
• 両者とも「結果」が重視されがちだが、近年は「どのような手段で」利益や幸福を得るかというプロセスの倫理性が問われる。
• ビジネスでも利害関係者との公平・透明性を考慮したうえで利益を追求することが、長期的信頼(リピート客や優秀な人材確保)に繋がり、結果的に企業価値向上をもたらす。
・逆も極めて重要になっている。多くの人に幸福をもたらすブランドでも、その裏で多くの犠牲を生み出していると企業価値を大きく毀損する。

【比較からの要約ポイント】

[ステークホルダーの範囲と目的が異なる]

• 「最大多数の最大幸福」は社会や組織全体の福利を目指す。
• 「利益の最大化の合理的意思決定」は特定組織(企業や投資家)の財務的利益を第一に考える。
→ 自組織の意思決定でも、社会的な影響・環境への影響を考慮することで、結果的に企業の評判や長期利益を高める場合がある。

[ 長期的視野が交差点になりうる]

• 一見、利益最大化と幸福最大化は対立しそうだが、長期視点で見ると両立可能な部分がある(従業員満足度、顧客満足度、ブランド価値など)。
• 適切なCSR活動や環境投資は、短期的にはコストでも、長期的には企業の持続成長と社会の幸福向上をもたらす可能性がある。

[数値化された指標だけに依存しないことの重要性]

• 利益指標は意思決定に有用だが、“人間の幸福”という多面的・質的要素はマネタイズしきれない部分が大きい。数値で測れない要素である。
• 社会全体や組織の幸福度を検討する際には、アンケート調査やインタビューなど定性的なアプローチも組み合わせる必要がある。

[行為の手段・プロセスにも倫理的配慮が必要]

• 功利主義は結果主義だが、少数派の犠牲や権利侵害が起こる場合には問題が生じる。
• 利益追求型の組織でも、内部統制やコンプライアンス、サステナビリティを重視することで、企業倫理を守りつつ長期的利益を実現しやすくなる。

「最大多数の最大幸福(功利主義)」は、社会全体の幸福を増やす観点から行為を評価する。。一方で、
「利益最大化の合理的意思決定」は、特定の組織や投資家にとっての金銭的リターンを高める視点をベースにします。

二つを比較すると、、
・対象範囲(社会全体か、企業や投資家の利益か)
・時間軸(短期か長期か)
・評価軸(幸福の多面性か、金銭指標か)
このような違いが明確になります。
しかし、近年のビジネス環境においては、社会・環境への配慮やコンプライアンス、従業員の満足度などが長期的な利益にも繋がると理解されつつあります。

純粋な利益最大化ではなく、CSR、ESG投資など、「社会の幸福(価値)を高めながら組織の持続可能な成長を図る」アプローチが近年、特に注目されています。最大多数の最大幸福と利益最大化の「接点」や「ハイブリット」を模索する動きが強まっています。
これは、意思決定者にとって「短期的な利益」だけを求めるか、「社会全体の幸福や長期的利益」も合わせて考慮するかによって、採るべき戦略や評価基準が大きく変わってくることを示唆していると言えるのではないでしょうか。。

【示唆を美容室に置き換える】

この示唆を美容室に置き換えてみます。
とはいえ、サロン経営は「人」と「サービス」が密接に関わるビジネスですので、両視点のバランスがとても重要です。
サロンでは、「定量(利益)」と「定性(顧客やスタッフの満足度)」の両方を管理するハイブリッド型が特に望ましいと考えられます。

《サロンで働く私たちが大事にしたいこと》

1. お客様もスタッフも「幸せ」になれるサロンを目指そう

サロンはお客様をきれいにする場所であると同時に、「働くスタッフがやりがいを感じる場所」でもあります。
どちらか一方だけが満足していても長く続きません。スタッフが気持ちよく働ければ、お客様に自然といいサービスを提供できるようになります。
→美容師が輝くと、お客様はもっと輝く(筆者の考え)

美容室は労務管理、技術、接客など人材依存度が高く、「スタッフ・顧客」との関係性が経営の要となります。そのため、利益最大化だけを目指すと短期的にうまくいっても、長期的にはスタッフの離職や顧客離れを招く可能性がある点に注意が必要です。だからこそ、長く働ける環境を整えることは、長期的な視点から見ても重要な投資になります。


2. 利益も大事だけど、それだけでは長続きしない

サロンを運営するには売り上げや利益も必要です。でも、短期間で利益だけを追い求めると、長時間労働をさせてスタッフが疲れたり、お客様の不満が溜まりやすくなったりします。
 一時的には売り上げが伸びても、スタッフが辞めてしまったり、お客様が離れてしまうとサロンを長く続けられません。

サロン経営では「技術力・接客態度」「スタッフの定着」「口コミ・リピート客」が重要な要素です。短期の売上至上主義だと、長期にわたる顧客ロイヤルティやスタッフのスキルアップが阻害されるリスクがある点が示唆されます。

3. 「みんなが幸せになる」接客・お店づくりのポイント

スタッフ同士の助け合い:
忙しいときには助け合ったり、得意分野を生かしてフォローし合うと、みんなが働きやすい雰囲気になります。
スタッフが気持ちよく働けると、お客様にも明るい気持ちが伝わります。

お客様としっかり対話する:
カウンセリングや施術中の会話など「じっくり話を聞く時間」を大切にする
お客様の悩みや希望をしっかり把握することで、満足度もアップし、リピーターになっていただける可能性が高まります。

自分のスキルアップを応援し合う:
技術や接客の勉強会を定期的に行い、みんなで成長できる環境を作ると、スタッフ同士のやる気も高まります。
 スキルが上がれば、お客様により質の高いサービスを提供できて、お店全体の評価も良くなります。

サロンは“体験価値”を売るビジネスでもあるため、利益最大化のための手段が接客の質やスタッフの心身の余裕を削ってしまうと、かえって長期的な顧客満足を損ねることにつながりやすいと感じます。

4. 短期と長期のバランス

短期的には、メニューの提案や物販などで売り上げを上げることが大切。
でも、スタッフが疲れすぎてしまったり、お客様に無理に勧めすぎてしまうと、長期的には不満につながります。
長く愛されるお店にするには、スタッフが無理せず笑顔で働ける環境や、お客様が安心して相談できる空気づくりが欠かせません。


5. 結果:みんながハッピーだと、お店も伸びる
スタッフが「ここで働きたい」「もっと技術を高めたい」と思い、ずっと続けてくれると、お客様との信頼関係も築きやすくなります。
お客様が「また来たい」と思う気持ちが増えれば、お店の評判も売り上げも自然と伸びていきます。
「大勢が幸せ」になれば、その結果としてお店の利益も安定的に上がりやすくなるという好循環が生まれます。

“利益だけ”でなく、“スタッフの働きがい”や“顧客の体験価値の向上”に注目すると、最大多数の幸福に近い経営ができるのではないでしょうか。
またSNSを通じた、美容師が美容室への口コミの影響力も大きくなっています。こうした状況では、「短期の利益最大化」と「長期的な幸福最大化」のバランスを意識しつつ、スタッフ満足と顧客満足の両面を高める経営が、結果的に利益にもつながりやすいと言えます。

【まとめると】

最大多数の最大利益と利益最大化を比較してみると
「お互いが近い考えに向かっている」ように感じる。

なぜならば、近年のビジネス環境においては、社会・環境への配慮やコンプライアンス、従業員の満足度などが長期的な利益にも繋がる。この観点から、二つの距離は近づきつつあり、二つの比較はとても重要な示唆になります。

美容室に置き換えると
「短期の利益最大化」と「長期的な幸福最大化」のバランスを意識しつつ「スタッフ満足」と「顧客満足」の両面を高める(バランス)経営。
美容室は労務管理、技術、接客など人材依存度が高く、「スタッフ・顧客」との関係性が経営の要となる。そのため、利益最大化だけを目指すと短期的にうまくいっても、長期的にはスタッフの離職や顧客離れを招く可能性がある点に強く注目するべきである。


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