【Part 1】退社が止まらない。。。 一旦、整理して理由を明確にしてみた
先日、友人の正社員雇用の美容師さんと、15分ほど立ち話をしたことをブログにしています。それは「美容師の退社について」です。
その友人が読んでくれると嬉しいです。
すでに知られたことですが、正社員雇用サロンの美容師の退社が止まりません。特に中間層(ここでは30歳前後)の退社が止まりません。
今回は、退社が止まらない理由を、きちんと構造的に整理して考えたみた、、、そのような内容となります。
文字数が多くなったので、パート1とパート2にわけてお送りします。
【結論から】
正社員雇用のサロンの給与とシェアサロンの報酬(お金)を比べると、正社員雇用のサロンは給与全体を高くすることが困難である。
それは費用の制約(固定費など)が大きく占めるからである。
また、サロンが一定の利益を確保しながら給与を支払うため、収益性が制約される。そのため給与に回せる金額も影響を受けてしまう。
正社員の場合、サロン全体の売上を皆で支えるため給与水準に制約を設けざるを得ない部分もある。
このことから給与水準でシェアサロンなどと「条件」で争うことには無理がある。
だからこそ「明確なキャリアパス」を生み出し、柔軟な働き方の実現、福利厚生などの強化、、、
つまり
《働く環境や将来のビジョンを提供する》
当たり前だが、ここのデザインが離職率低下につながる。
【なぜ、こんなに人が辞めるのか?】
友人の正社員雇用の美容師さんとちょっとした話をしました。
15分ほどでしたが、とても考えさせられる内容に、その日から数日間考えてみました。
友人美容師「人がたくさん辞めてしまう。また、今の部下も辞めるかもしれない」「どうしてこんなに辞めるのか」「会社としてどうにかできないのか」
「そもそも会社は給与水準を改善できないのか…」このような話でした。とても人柄が良い方なので「会社の従業員がもっと良くなることができないのか。。。」ここが話の軸になっていました。
【美容業界の現状を一致】
美容業界のトレンドは「シェアサロン」に代表される「フリーランス化」が都市部を中心に猛烈な勢いで進んでいます。
美容師のメッカ、青山・表参道・渋谷・原宿の美容室の勢力図は「シェアサロン」の店舗数が最多となり、美容室の勢力図を塗り替えたばかりです。
ではなぜ?シェアサロンを代表とするフリーランス化が起きているのか。
シンプルに「自由、お金がいい」圧倒的にここです。
正社員とそれは全く違います。
また、SNSが拍車をかけています。SNSの影響としては
①個人集客
ホットペッパーを代表とする集客が「個人で行える」(集客の民主化)が起きた。昔から面貸しスタイルは居たが、集客ができないのでイマイチフリーランス化が起きなかった。
②隣の芝は青く見える
フリーランスの美容師が日常をSNSであげることで「自由でおしゃれ」「随分と暮らしっぷりが良い」が共有されるようになりました。
SNSは非情にも同じ美容師の仕事でも「大きな差」を感じさせることになりました。こうなると今の仕事の環境や暮らしに不満と不安を持っている美容師は、ますますフリーランスに憧れます。
正社員美容室とシェアサロン(業務委託サロンも)が、なぜ大きく条件が異なるのか、、ここを整理してみます。
【正社員美容室の給与について】
一般的な正社員サロンとシェアサロン、業務委託サロン(フリーランス)とを比較すると以下のように考えられます。
*難しいファイナンス用語は使わずに説明してます。
【給与水準を高くできない理由】
固定費の高さ
利益と人件費
みんなで支える
このように切り分けてみました。
[1、固定費の高さ]
正社員を雇用する美容室は、給料以外にも社会保険、福利厚生、教育研修などの費用(主に固定費)がかかります。これにより、給料全体が高く設定できないことがあります。雇用されている美容師さんには、最終的に口座に振り込まれる金額の前に、多くの費用(人件費:会社がかけてくれている費用)が引かれています。最終的な(源泉徴収された)ものが実質賃金になるので、頑張りより少なく感じてしまう、、これはあると思います。
例:教育研修をする人は会社から「役職と手当」のようなものが出ていると思います。役職手当は「固定費:人件費」となっています。
[2、利益と人件費]
正社員雇用では、サロンが一定の利益を確保しながら給与を支払う必要があります。しかし、売上の一部を固定給(その他の固定費も)として支払うため、収益性が制約されがちです。一方で、業務委託やシェアサロンは報酬(賃金)が成果報酬型で、固定費が抑えられるため、より高い報酬を提供しやすいです。ここのビジネスモデルの差の理解が必要ですね。
[3、みんなで支える]
1、2、にあったように「制約」が多いのが正社員の給料の特徴でもあることが分かったと思います。
さらにそこに加え「サロン全体の売上でみんなの給料を支える必要がある」ため、さらに制約が加わります。アシスタントやレセプション、バックヤードの管理業務の社員などのお給料も、現場のサロンのスタッフ全体で支える必要が出てきます。
例:
売り上げ>かかった費用>サロンを維持するために必要なお金>利益>みんなのお給料を按分(分け合う)
【シェアサロン、業務委託だとどうなるか?】
[1、固定費が安い]
①シェアサロン
月額利用料金と材料費のみなので、運営側は固定費が安いです。
その分、最終的に美容師に払い出される報酬(賃金)は高くなります。
②業務委託サロン
成果報酬型の仕組みなので、運営側は固定費が抑えられ、シェアサロンほどではないですが、美容師の報酬はある程度高くなります。
[2、自分の売上は自分の取り分]
マンツーマンで施術する人が多いため、サロン全体や他の人を支える必要がありません。単価が高くなければ修羅の道ですが、それでも売上は自分の取り分になるため多くの報酬(賃金)を手にすることができます。
[3、集客力]
正社員からシェアサロンや業務委託サロンに移る美容師の多くが「顧客数・集客力」が判断の中心になっていると思います。
若くても「集客力」があればフリーランスになって高い報酬を得ることができます。運営するシェアサロンでは22歳でフリーランスになった方が二人もいます。
つまりシェアサロンは「集客力」がある美容師からすると「魅力的」な存在になります。
余談になりますが、社会保険や雇用保険、その他の保険に関することは「公助と共助」になり、フリーランスはその分を「自助」でカバーすることができます。社会保険はあるに越したことないですが、本質的には、自分自身で準備していれば、社会保険はお小遣いみたいなものです。
それはまた、別の機会に。。。
【求められるのは条件ではない部分で戦うビジネス】
【給与水準ではないアイデア】
給与水準ではないところで正社員雇用サロンは戦うことが、非常に重要になります。なぜならば、先ほど示したように「賃金に関してはビジネスの構造が違う」ことがわかります。同じ美容室であっても、収益や費用の構造が違います。そのため「条件(賃金など)」でシェアサロンと戦えないことがわかります。
つまり「条件」ではないところで戦う必要があります。そのアイデアを5つ+α でまとめています。
キャリアパスの明確化
教育やスキルアップのサポート
柔軟な働き方の導入
給与体系の見直し
福利厚生の強化
+α
[1、キャリアパスの明確化]
今回の対象が中間層、つまり30歳前後としています。
30歳前後のスタイリストは、次のステップとして経営や教育などに興味を持つことが多いです。経営やマネジメントのスキルを提供し、キャリアの成長機会を明確にすることで、長期的なビジョンを持たせることが可能と考えます。ふわっとした役職の職務ではなく、KGI を策定、KPI を定量的に持たせた職務が求められます。
[2、教育やスキルのアップデート]
サロン内で新しい技術や最新のトレンドを学べる環境を提供することで、個人の成長をサポートし、スタイリストが他のサロンに移る理由を減らせます。成長を感じさせる職場は、マンネリせず「新しいやりがい」を持たせることができます。
正社員雇用のサロン=教育サロンと呼ばれるように、アシスタントからスタイリストに成長させる仕組みがあります。
教育に慣れた人たちが多いのが特徴です。
キャリアパスと同様に、社歴のあるスタッフにもマンネリさせない学びの提供は求められます。
[3、柔軟な働き方の導入]
正社員であっても、シフトや休暇の柔軟性を持たせることで、自由な働き方を提供できます。ワークライフバランスを重視する現代の人材にとって、これは大きな魅力です。
例えば「有給休暇」
これは法律で決められた内容です。自由に取れない、そもそもない、、
このような環境は是正するべきだと感じます。
[4、給与体系の見直し]
基本給に加えて、業績に応じたインセンティブや歩合を取り入れることで、シェアサロン水準は無理でも業務委託サロンに近い収入モデルを提供することができます。これにより、収入面での満足度を高めつつ、正社員としての安定感も提供できます。
ボクが正社員雇用のサロンをやるときは、すでに決めている給与体系があります。退職をとどめるための給与体系です。
全体の人件費の割り振りを変える、、、制約のあるリソースをどのように按分するか、、、ここが重要です。
ボクでアイデアがあるくらいですから、誰でも考えつくと思います。
[5、福利厚生の強化]
給与だけでなく、長期的な安定性を感じさせることが重要です。特にライフステージが変わるタイミング(結婚や子育て)では、安定した環境が重要視されることが多いです。
子育てママ美容師は、アシスタントの教育を見ないという理由で「アシスタントが使えない」なんて事例を聞きます。
アシスタントと仕事ができなければ「売り上げにブースト」がかけられないので、短時間&低収入、、、このような状況を我慢している人が多くいます。
ママ美容師こそシェアサロンが合っていると思いますが、そう簡単にいかないママ美容師さんが多いのも理解しています。
ママ美容師さんに対しての福利厚生の強化も求められます。
[6、+α]
今までの5つは当たり前すぎて埃をかぶっているような内容です。
最後はボク自身の持論です。
「会社は集団幻想」
年齢もキャリアも、経験も、出身までも違う人たちが、1つの目的のために仕事するには「圧倒的な共通するもの」が必要だと感じます。
また、フリーランスが烏合の衆だと仮定すると(運営するSolon は違います)会社は比較的「秩序ある集団」だと思います。
つまり集団として「まとまる」ことが非常に重要で、ここをどのようにデザインするかが求められています。シェアサロンが盛況となる一方で、正社員雇用サロンは、経済合理性で戦うのではなく「同じ想い」のようなもので、経済合理性の戦いから遠ざかるべきかと思います。
同じ想いを「集団幻想」と呼んでいます。
例えば、お金は紙なのに1万円としての価値をみんなが共有しています。
他の国では1円にもならない場合もあります。(両替できなければ)
つまり「集団で1万円の価値」を信じているわけです。
会社は「集団幻想」です。
経済合理性の外で語られるもので、社員の秩序やまとまりをデザインする。
それが「会社に居続ける意味」になります。
正社員雇用サロンこそ、合理的に語られる今こそ「集団幻想」ような想いの共有が必要だと思います。
これらのことを組み合わせ、働く環境や未来のビジョンを提供し、スタイリストの離職防止、、
むしろ率先して会社の成長に寄与するようになります。
【長くなったので続きはパート2へ】
長くなったので、続きはパート2に続きます。
パート2の内容のハイライトは
「正社員雇用のサロンが働く環境やビジョンを十分に提供できない理由」として、以下の点が考えられる。
経営者や役員、管理者のリーダーシップの課題
資源(お金)の限界
管理能力の限界
競争激化への対応ができていない
短期的な視点
伝統的な「業界文化」
このような内容をパート2にあげていきます。
【まとめると】
正社員雇用の美容室の給与とシェアサロンの報酬(お金)を比べると給与全体を高くすることが困難である。
それは固定費が大きく占めるからである。
また、事業者が一定の利益を確保しながら給与を支払うため、収益性が制約されがちです。そのため給与に回せる金額も影響を受けてしまう。
正社員の場合、サロン全体の売上を皆で支えるため給与水準に制約を設けざるを得ない部分もある。
このことから給与水準でシェアサロンなどと「条件」で争うことには無理がある。
だからこそ「明確なキャリアパス」を生み出し、柔軟な働き方の実現、福利厚生などの強化、、、
つまり
《働く環境や将来のビジョンを提供する》
当たり前だが、ここのデザインが離職率低下につながる。
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みんなの日常のヒントになれば。
#美容師をちょっと良くするブログ
美容師をちょっと良くする活動中
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(表参道・錦糸町・船橋・市川)
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美容室の経営をわかりやすく指導!
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