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営業組織の拡大期における「育成」の壁

株式会社ブレーンバディの石原と申します。
当社は①営業プロセスのアウトソーシング②セールスイネーブルメント構築のコンサルティング2つのサービスを提供する営業支援企業です。

これまで数多くの営業組織の拡大を支援してきた中で見えてきた、共通する「育成の壁」の存在についてまとめました。


営業組織の成長プロセス

営業組織の拡大に伴って、組織の仕組みを成長させていく必要がありますが、弊社では成長フェーズを仕組みの観点で4つに区分しています。組織の成長段階を示すモデルとして有名な「タックマンモデル」で使われている「形成期・混乱期・統一期・機能期」という言葉を使用していますが、組織開発の観点とは一切関係のないことをご理解ください。

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営業組織形成期:
創業メンバーのリファラル採用で組成された、ハイプレーヤーを中心とした営業組織状態です。属人的な営業により成果が創出できています。

営業組織混乱期:
サービスの成長に伴い、公募採用が始まりチームの細分化も進みます。一定の数値管理やマネジメント体制の構築が必要となますが、育成に関しては属人でも大きな問題は発生しません。

営業組織統一期:
組織の階層構造化が進み、セールスオペレーションの構築も進みます。データによる管理体制が構築され、育成においても一定の体系化が必要となります。

営業組織機能期:
セールスオペレーションを効率的に実行するための体制が構築され、実行推進者としての「セールスイネーブルメント部門」が立ち上がります。データ主導での改善PDCAが回り始めます。

各成長フェーズでの具体的な取り組むべき内容は別のnoteにてまとめますが、ここでは多くの営業組織がぶつかる壁についてお話ししていきます。


営業組織統一期への大きな壁

世の中の営業組織を「形成期・混乱期・統一期・機能期」に分類すると、おそらく多くの営業組織は「混乱期」もしくは「混乱期と統一期の狭間」に位置します。これは、サービスや市場に起因するものもありますが、私の実体験からは、営業組織統一期に大きな壁が存在することに起因することが多いからだと考えています。

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タイトルにも記載している通り、この統一期への大きな壁が「育成」です。(あくまで私がコンサルタントとして相対している企業様をベースに話を進めているため、商品特性・商品単価・営業先部門・顧客特性などによって必ずしも当てはまらない可能性もあります。)

多くの営業組織では、統一期への成長を目的としてセールスオペレーションの改善と管理体制の構築が進んでいきます。下記の図のようなイメージでオペレーションが改善され、その実行体制を管理するために様々なデータが収集され、メンバーへのマネジメントポイントが明確化されます。

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このオペレーション改善の連続の中で発生するのが、「オペレーションの実行にメンバーのスキルが追いかない」という問題です。

統一期に差し掛かるフェーズでは、サービスがPMFし売り筋も見えてみてきている中で「顧客数の拡大」と「顧客獲得コストの維持(低下)」の両立が大きなテーマとなっているはずです。年収1000万プレーヤーのようなトップセールスではなく、ジュニアクラスのセールスによって顧客数を拡大することが重要であり、その結果実行スキルが伴わないという問題が発生します。

最適なセールスオペレーションの構築や管理体制の構築は1人の優秀な人材がいれば実現可能ですが、実行スキルの育成は1人では実現が難しく、結果としてこのような状態に陥っている営業組織を多く見てきました。

この「育成の壁」を乗り越えることが統一期への重要なテーマであり、営業組織の成長には「オペレーション構築×管理×メンバー育成」がセットで行われる必要があります。

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営業育成における罠

では、多くの営業組織では「育成」を一切やっていないのか?と問われると、そんなことはありません。どの営業組織においても「育成」は大きなテーマだと認識されており、様々な育成の取り組みが実行されていることの方が多いと思っています。

ここでは、そんな育成においてよくある失敗ケースを2つご紹介します。

1.本質的な営業力の育成に寄りすぎる
2.理想の営業todoを実行させようとする

1.本質的な営業力の育成に寄りすぎる
「営業育成に取り組もう!」と考えた際に、すぐイメージできる施策の一つにヒアリング、課題解決のフレームワーク、クロージング技法などの研修をメンバーに受けてもらうというものがあります。

おそらく商談プロセスを「関係性構築・ヒアリング・課題設定・解決策提案・プレゼン」などのように分解をし、ボトルネックとなっているポイントを言語化した上で行うのであれば、非常に重要かつ価値のある施策だと思います。

ここで考えるべきポイントは、「目指すべき成果水準によって必要となる知識やスキルは変わる」です。例えば、何かの商材を年間300台売れる状態と、年間100台売れる状態を比較したときに必要となる知識やスキルは同じか、ということを考えてみると、どうでしょうか?
おそらく異なることが多く、下記の図で言うと育成プロセスAとBでは全く違う育成が必要になります。

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付け加えるなら、育成プロセスAにおいては「知識>スキル」が重要となるケースの方が一般的には多く存在します。

もしかすると、年間100台売れる状態(育成プロセスA)にするためには下記の図のように育成していくことが最適かもしれません。しかし、この本質的な営業力の育成に寄りすぎる罠にはまっている企業では、目指すべき成果水準を設定せずに、右側の本質的な営業スキルに注力し、本来必要となる左側の知識については入社時の研修でインプットするのみになっています。

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つまり、「どの成果水準を目標にするのか?」の設定がない育成は短期成果にヒットしない可能性があることを理解する必要があります。


2.理想の営業todoを実行させようとする
組織内の営業レベルを一定にしようと考えた際に、営業のPlayBookを作成して実行するという施策があります。これは当社でもコンサルティングの一環で提供するサービスの一つであり、商談フェーズの分解とフェーズ進行のための営業to doを言語化するという作業には非常に価値があると感じています。

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この営業PlayBook化にも、多くの営業組織が陥る罠が存在しています。それが、「理想の営業todoを実行させようとする」こと。

上記のように商談フェーズを定義し、to doを設定してSFAでパイプライン管理をしている企業は多くなってきていると思います。このように商談パイプラインをダッシュボードで管理すること自体は非常に重要で、適切なフォーキャストを出すためや遷移率を見にいくことで商談における課題が明確化することは確かです。

しかし、例えば「”課題合意フェーズ”への遷移率が悪い」ということが数字上把握できた際の打ち手として、to doを徹底するためにマネジメントを強化することが、短期的な成果インパクトにつながらないケースも多々あるます。

それは、Playbook上のto do(営業アクション)が理想の営業アクションでしかなく、実行難易度が高くなってしまっている場合です。結果として、「1.本質的な営業力の育成に寄りすぎる」と同じ状況が発生していることがご理解いただけるかと思います。


育成プログラム設計の4ステップ

上記のような罠にハマらないためには、適正な育成プログラムを設計していく必要があります。ここの詳細は別記事にてまとめていきますが、大きなステップのみ記載しておきます。

①目指すべき営業成果水準の設計
②営業プロセスの細分化とto doの設計
③各to doに必要な知識・スキルの言語化
④知識・スキルのコンテンツ化

目指すべき成果水準毎に必要な営業to doは異なるという前提に立ち、成果水準を達成するために最低限の営業to doを各営業プロセス毎に設計していきます。各to doを実行するために必要なスキル・知識の言語化ができれば、そのインプットのためにどんな育成を行なっていくのかを決めることが可能になります。

当社では、この育成施策として「コンテンツ化」を推奨していますが、成果水準に基づいたto doの実行支援であればOJTや研修もワークすると考えています。

ただ、「オンラインでの育成体制を構築する必要性」や「”育成時間=上司のリソース”になる問題」を考えるとコンテンツ化が望ましいというのも事実です。従来の育成には、上司から部下へのインプットも部下から上司への質問も”上司のリソースやスキル=育成の上限”という構造が存在していました。

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この構造を変化させるためには、育成コンテンツの作成が必要となります。組織統一の育成コンテンツを作成することができれば、上司のリソースによらない十分なインプットが実現でき、インプット内容も上司のスキルを上限値としないため、組織毎にばらつきが生まれる可能性を最大限減らすことが可能になります。

統一期から機能期への成長にはこの育成コンテンツの作成が重要となり、現に機能期に属する企業ではto do実行を支援する育成コンテンツが充実しており、専属の「セールスイネーブルメント部門」を持っているケースも増えてきています。

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最後に

ここまで「育成の壁」についてと、「罠にはまらないための育成プログラム設計の手法」についてまとめてきましたが(育成プログラム設計方法の詳細は別noteにてまとめます)、どれだけいい育成プログラムを設計しても、組織内で適切な運用をされないと全く意味がありません。

この運用・浸透のための仕組みについても今後まとめていきたいと思っているので、もしご興味をお持ちの方は続編もお読み頂けますと幸いです。

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株式会社ブレーンバディでは、世のトップセールスたちの元に足を運び、新人時代や売れていない時代からどのようにして売れていったのかを追っていく”私の未達時代”を連載中です。こちらも是非お読みください。

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