あとすこし
1年ぶりに海沿いに町に出張に行った。
天気は快晴。日差しが眩しさが気持ちいい
潮風がなびく。潮の香りが心地よい
海と空。青のグラデーションがすばらしい
波の音。この風景に欠かせないバックミュージック
なんていい日なんだろう。なにかわからないが、身体全体で”今”のすばらしさに包まれている。
1年前。同じ場所。同じ時間。私はこの景色に”無頓着”だった。そんなことより、”今”から逃げ出したいという一心であった。
”生きる”という定義からは果てしなくかけ離れていた時間。
命を絶つ前に「悲しむ人のことを考える」とか「誰かに相談すること」なんて考えられない。それは自分が身をもって感じたことだ。その選択肢すら思い浮かばない状況に置かれるのだから・・・。
1年前の私の心は崖の上にいた。あと一歩踏み出せば、下は断崖絶壁。後ろには戻れない”過去”が迫ってくる。
「うずくまるか?いや、どうせなら・・・。」
私は勇気を振り絞った。生きるすべを最後まで模索すると決意した。そして一歩踏み出した。
・・・。
下に落ちることはなかった。私が立っていた場所は平面だった。崖はトリックアートで書かれたただの絵だったのだ。
「ぷっ!」っと、笑ってしまった。
「死」に真剣に向き合った後の世界は、果てしなくすばらしく無限だった。
そこからは、1日1日が本当に楽しい日々。
むしろ去年より、忙しい。しかし考え方や感性は全く違う。心が生まれ変わったのだ。
あの一歩のおかげ。あと少しの底力のおかげ。
そのおかげで、今を生きられている。
様々な出会いと経験があった。
去年の自分の選択に感謝しかない。
よくやったな。自分。
そして今頑張っている人、悩んでいる人。
あとすこし。